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#4 インド ・コルカタ(で働く)日本人エスコートガールについての”想像”

複雑怪奇、根深い闇深いインドの性産業

#2,#3ではコルカタ・ソナガチをまわった体験をルポ形式で書いた。
#4以降では、ソナガチで働く女性はどこからやってきたのか、を手がかりに外的情報を記していこうと思っ……ていた。が、軽く調べたり本を読んでみるとすぐにわかったが、この問題、非常に根深い。そして闇が深い。

そもそも、セクシャルワーカーは人身売買でやってくるのか、それとも、自らの意思で働いているのか。おそらく両者いると思うが、確たる情報になかなか辿り着けない。
表層的な情報としては、南アジア地域におけるインド周辺国の貧困村から被害者が続出している、と言える。しかし「誰が」「誰を」「どうやって」売り飛ばしているのか、これが見えてこない。
一方で、#3で紹介したDMSC(インドのセックスワーカーのための組織)には大きな目的があって、それは、セックスワーカーの地位向上である。DMSCは性産業の廃止をうたっているのではなく、あくまで、セックスワーカーたちの地位向上を目標としているのだ。この事から、性産業従事者の大半が、自らの意思に反し、労働を強要されている、とは考えにくい。事実、インドのエスコートガールの中には、中流家庭出身で、普通に働くよりも給料がいいし、楽だから、という理由で働く女性もいる(インドのコールガール 高級売春婦たちの世界と生活、プロミラ・カプール著、鳥居千代香訳、1993年、新宿書房)。

この情報のソース元、30年ほど前の本なのでちょっと古いが、信用できると考えていいだろう。だって、今の日本でもそういう人はいるじゃない。誤解なきように一応言うが、僕は別にそれが悪いとも思ってない。

ちょっと寄り道してしまった。
とにかく、インドのセクシャルワーカーというこの問題、ジャーナリストでもない僕のような人間が、一朝一夕で扱うのは、”誤情報の流布”になりかねないことに気づいてしまったのだ。責任を持ってインターネット上に公開することは、まだ難しいと判断した。しっかりまとめてから、改めて綴りたい。

じゃあ、インドでの観光日記でも書こうか、というのも、なんだかよくないよな、関係なさすぎて。でも何を書けばいいのかな、と考えあぐねていたら、随分と時間が経ってしまった。

ということで苦し紛れではあるが、「インドで働くセクシャルワーカー」という観点から、今回は日本人のエスコートガールについての”想像”を書きたい。結局想像である。うーん。

エスコートガールとは?

外国で夜遊びをしたことがある人は知っているとは思うが、たいていどの国でも、エスコートという性サービスがある。日本的にいえば、デリヘルである。
語っておきながら実は僕、エスコートを使ったことがない。しかし、サイトは見る。ちょっと申し訳ないのだけど、確認したくなるのだ。どんな国籍の女性がいるのかを。そして大抵、こう思うのである。なんでわざわざこの国へ出稼ぎしているのか? と。

アジアにいるアメリカ国籍(自称)のエスコートガール

よくいるのはアメリカ国籍の女性だ。ベトナムとかタイに居るのはまだ理解できるが、これがネパールとかカンボジアやなど、比較的貧しい国にいることもある。1食4000円もする国から、わざわざ、1食100円の国に行って、出稼ぎをしようと普通思うだろうか。実はバックパッカーか何かで、同じ外国人の旅行者や、現地の駐在員を客層として、体を売りながら旅行を楽しんでいる、という人も中にはいるかもしれないが、多くはないだろう。残念ながら実際にそうやって旅している人に会ったことがないので、あくまで想像の話だが。
結局、情報がないうちはこのように想像で書くしかないので、非常に良くないのだけど、この問題、日本人女性も他人事ではないよ、ということを今回、伝えたい。

日本人エスコートガールはどこからくるのか? の想像

実はコルカタ滞在中、現地のエスコートサービスを閲覧していたところ、Momo(仮名)という源氏名の、日本人とされる東アジア系の女性を見つけた。いや、Momoだけじゃない。結構いるぞ。Natuki、Mikako……いずれも仮名だが、ここで仮名にする意味があまりないくらいに、簡単に見つかる。

エスコートガールの紹介ページには、写真、可能な性行為の種類、スリーサイズや国籍などが載っている。テキストはもちろん日本語ではなく、英語である。
エスコートそのものが国際色の強いサービスであるので、この点は不思議ではない。もちろん日本にもあって、tokyo escortでも検索すれば、たくさんの日本人女性のプロフィールを英語でみれる。

違和感はやはり、インドの性サービスで日本人が働いている、という点だ。残念ながら会っていないので、彼女らが本当に日本人かは知らないし、そもそも画像本人とは別人が実際に来る可能性だってある。ひどければ、中国語がやたら達者な日本人ガールの可能性もある。つまりだ。結局、以降の文章、推論に推論を重ねていくしかないのである(まあジャーナリストじゃないし、許して欲しいとは思うが、やはり良くないよなと、思う)。
しかし、じゃあやめます、だといよいよ何も書けない。仕方がないので、本当に彼女たちは日本人だとしよう。

先述したが、やはり疑問が湧く。なんでインドでセックスワーカーをするの? 日本でやらないの? と。

現地での相場は、大抵は1時間、$100程度だ。$200のこともあるが、まあ1時間に15,000~30,000円を稼ぐのだとしよう。もちろんここから、仲介のエージェントに天引きされたり、なんなりで、全額手元に残ることはないだろう。となるとだ。アメリカとかなら、旅費や滞在費は出してくれるかもしれないが、インドでそれはちょっと考えにくい。インドってホテルは意外と高いのだ。サダルストリートにあるドミトリーとかならまだしも。そんな環境で、客前に出るための準備が十分にできるとは思わない。つまりだ。わざわざインドで出稼ぎをする理由って、あまりないのではないように思える。

外国人男性がOKならば、国内でエスコートをやればいい。倍くらいの相場だと思うし。ちょっと譲って出稼ぎがしたいのなら、ロシアの女の子みたいに、ドバイとかもっとお金持ちがいそうな国に行けば良いではないか。

やはり、不自然さを感じざるを得ない。日本人ガールたちが、気候も衛生環境も過酷なコルカタの街で、さして稼ぎもよくないのに、セックスで生計を立てる? 日本人ガールたちは、そんなにタフなのだろうか? というか、国内で性サービスに就職できないのか?

ここで思い出したのが、巷でよく聞く、闇バイトという言葉。
即金性や報酬額の高さに釣られた結果、犯罪に加担せざるを得ないという状況に追い込まれてしまう人が多い昨今だが、外国に出稼ぎに行った女性が、現地でパスポートを没収されてしまって、帰るに帰れない、という話も聞く。

海外、性サービス、出稼ぎ、といえば、「海外出稼ぎシャルム」か。
今年4月の出来事と記憶に新しいが、本件の要点は、売春斡旋である。応募者もそれなりに報酬を受け取れていたと報道されている。率直に思ってしまった感想が、良心的、だった。多かれ少なかれトラブルに巻き込まれているので、応募者は被害者ではあるのだけど、まだ報酬を受け取れていたのだ。しかも日本で性サービス業に従事するよりも、断然。

果たして、コルカタのエスコートで働く日本人の女性たちは、どうだろうか?
真相は知る由もない。彼女たちが自らの意思で来たのか、それとも騙され、強要されているのか。

それをルポしてくれよ! とセルフツッコミしつつ。
スマホの向こう側で、艶やかな姿で微笑む、肌の白い”日本人ガール”。
彼女の写真をみて、日本人だろうがなかろうが、この人が納得して働いてくれていたらいいな、と思うのだった。

さて次回は、ちょっと路線を変えて北インド・ラダックでの奮闘記としようと思う。

インドのセクシャルワーカーというトピック、辛抱強く書いていくので、またいつかの機会に。

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