マーケティング:SNS広告編
はじめに
クラウドファンディング、オウンドメディア、アフィリエイトの次に僕たちが取り組んだのがSNS広告です。
オウンドメディアやアフィリエイトは検索まわりの施策のため「トートバッグが欲しいな〜」と思って、Googleなどで検索をするユーザーには効果的な施策です。
しかし、それだけだと検索ボリューム以上の顧客獲得や売上を作ることは難しいため検索以外で購入してくれそうなユーザーにアプローチする必要があります。
その最も効果的な方法がSNS広告です。
このパートでは自分たちの失敗例と成功例をデータを公開しながら解説していきます。
SNS広告をはじめた当初は全く利益出ずに赤字が続いていましたが、今は利益を出しつつ顧客獲得が出来るようになってきました。
「粗利(売上 - 原価) - 広告費」が黒字になっているため、その黒字分をさらに広告に投下するという良いサイクルに入ることが出来ました。
では実際にどれくらいの利益が出てきたのか?を解説しますが、今後はすべてROAS(Return On Advertising Spend)で紹介していきます。
ROASとは?
投下した広告費に対して、どの程度の売上を出せたかの指標です。
(参考例)
売上 100万円 広告費 20万円 → 100 ÷ 20 × 100 = 500(%)
ROASの意味が理解できたと思うので、実際に僕たちのデータを見ていきましょう。
2019/06:- 238%
2019/07:264%
2019/08:0%(運用なし)
2019/09:335%
2019/10:287%
2019/11:330%
HushTugは粗利率が約60%なので、ROASが167%以上なら利益が出ることになります。つまり初月以降は利益を出しながら運用が出来ているということですね。
ちなみになぜ7月に利益出たのに8月止めたのか?ということですが、当時はCV計測が出来ていたにも関わらず、確認方法が分からず利益が出ていないと誤解しており、予算が少なかったのでビビって止めてしまいました。苦笑
こんな感じのROASの推移ですが、これだけ見てもよく分からないと思うので、続いて、どんな施策で失敗したのか?どんな施策で利益が出始めたのか?を説明していきます。
今回は主にfacebook・Instagramの運用について解説しますが、ECサイトにピクセル(CVしたユーザーを特定するためのコード)を埋め込んでない人はまずはそれをやりましょう(https://service.plan-b.co.jp/blog/ad/6752/ こちらが分かりやすいです)。
それをやっていない場合は今回話す成功事例を一切活用できないので。
結論を先に話すと、成功のポイントとなったのは配信方法です。
・ペルソナをしてから推測でユーザー定義&配信 → 失敗
・自社の購入者に類似するユーザーに配信 → 成功
以下で上記を1つずつ解説していきます。
【失敗】ペルソナをしてから推測でユーザー定義&配信
まず初月にやった僕の最大の失敗をご紹介します。
その名も「25~34歳の男性へノンタゲ配信」です。ウェブマーケをかじったことがある人ならこの無謀さがわかると思いますが当然、撃沈しました。笑
当時の僕の考えでは、
「ノンタゲで配信 → CVユーザーの特徴を分析 → その特徴から徐々にターゲットを狭めていく」
という広い間口から徐々に狭めていく手法が効果的だと仮説を立てていたのですが、これはCVする可能性がある人には漏れなくアプローチしたいエセ完璧主義が招いた悲劇でした。
ここで抜けていた考えは「結局、そのデータ集めるのにいくら赤字垂れ流すの?」ということ。
そもそも倒産ギリギリでお金の余裕が全く無かった当時には、この手法は全然通用せず、CVする前にビビって配信を止めてしまっていました。
ちなみになぜ25~34歳の男性に絞ったのか?は当時、最も購入率が高かったのがその層だったからです。
ここから学習したことは、SNSアドの基本戦略は
「最も狭くターゲティングし、採算があったら条件を徐々にゆるくし拡大させていく」
ということです。
狭く攻めて、うまくいったとこをグリグリ広げていくイメージです。
そして次にやったことは、過去の顧客のアンケートで「なぜ買ったか?」という動機から、似たようなことに興味を持つ人たちにアプローチする手法です。
上図のように社会問題に関心が強い人たちにアプローチしました。
広告費全然かけてないじゃんという話は置いといて、(当時は超お金にビビリながら運用していました)当然CVは生まれず。
広告セットごとに年齢が違うのは、それぞれで潜在リーチ数が違っていたので、facebookが推奨するリーチ数になるように適宜絞っていたからです。
ちなみに、コンバージョン目的ではなくトラフィック目的でこれらの広告セットを運用し、リマーケティング(一度広告を見た人に再度出稿すること)でCVを狙うということも行ったがCVは生まれませんでした。(というか、結果が出る前にビビって止めてしまった)
次に類似ユーザーに訴求する配信方法に興味を持ち実験してみることにしました。
この配信方法をざっくり解説すると「特定の期間で特定の行動をしたユーザーを抽出し、そのユーザーに似た特徴を持ったユーザーを自動抽出してくれる」というものです。
「CVユーザーに似たユーザーに配信?これは売れそう…!」と思いましたが過去180日間で100人以上のデータが必要とのこと。
SNS以外からの経路でCVした人のSNSアカウントを特定できればそのデータも使えるようでしたが、全員分を取得できるわけではないので約200人のCVデータが必要でした。
赤字垂れ流しで無理やり100人集める方法もありましたが、当時はそんなお金無かったため泣く泣く断念することになりました。
他のターゲティング施策は無いかと模索して次に選んだのがECサイトの滞在時間上位5%に類似した人たちというターゲティングでした。
CVユーザーの約80%が10分以上滞在するセッションを過去に1回以上していることが分析の結果で分かっていたので、その類似に配信しました。
これはいけるんじゃね??とかなり期待していましたが結果は全然ダメでした。ここまでが7月です。
上述した通り勘違いしてビビっていたため8月は療養しました。笑
そして9月。
この頃はSEOでのアフィリエイトで着々とCVユーザーが溜まり、ついに100人を突破しコンバージョン目的・CVユーザーに類似・性別年齢ターゲなしで配信することが可能になりました。
【成功】自社の購入者に類似するユーザーに配信
7月時点ではCVユーザー数が不足していたため出来なかった配信方法が配信可能になったことでROASを向上させることに成功し、利益を出しながら顧客獲得が出来るようになりました。
全てはアフィリエイトで大きなリスクを取らずに集客できていたからで実現できたことなのでアフィリエイト編(ページはこちら)をまだ読んでいない方は合わせて読んで頂けると理解が深まると思います。
CVユーザーの類似配信として試した方法は以下の3つ
①thank_you(サンクスページのディレクトリ)が含まれるページを踏んだユーザー
②過去の600人くらいの顧客データの名前・住所・電話番号・メールアドレスをすべてインポートしたもの
③facebook側が自動で取得してくれたCVユーザーデータ(ブラックボックスだからちょっと嫌い)
そしてROASの結果は以下のとおりです。
①:310%
②:186%
③:751%
なぜか③がダントツで結果が良かったのですが、原因は分かっておらず今でも分析を続けています。
とはいえ結果が出たので③をグリグリ広げることに。
少し細かい話ですが、類似ユーザーの機能で自分が設定したユーザーにどれくらい似てるかの割合を10段階で設定できます。
0~1%が最もCVユーザーに似ており、恐らく最もCVRが高くなるだろうと予想しここだけで実験し、その後、結果が出たので、1~2%、2~3%・・・9~10%とどこまで黒字運用していけるかを実験しました。
ROAS167%(利益トントン)を長期間下回るものから徐々に配信停止をしていきPDCAを回しています。
類似ユーザーに関してfacebookの推奨は1~3%で運用すべきとされていますが、僕たちの研究した結果だと1~5%くらいが採算合っているかな?との印象です。
配信面についても少しだけ解説
配信面についても少し解説しておくと、最初に出していたのはインスタのフィードのみでした。
「facebook広告なのにインスタ?」と思った方のために補足しておくと、facebookはInstagramを買収して子会社化しているため、facebook広告の管理画面でインスタにも広告を出稿ことが可能です。
出してたのは、HushTugの全商品をカルーセル広告で10枚出したもの。
それぞれの画像は、ECのユーザー行動分析などから最も顧客が反応したと推測されたものです(各画像ごとにA/Bテスト&最適化して、最強のカルーセル10枚を作ればもっとCVR上がると思います)。
それぞれにUTMパラメーターを付与し、どの写真が最もクリックされCVRが高かったを同時計測しました(UTMパラメーターとは:http://tech-blog.rakus.co.jp/)。
一つのクリエイティブで何日間黒字運用できるのか実験中のため、広告差し替えはまだ行っていません。
インスタフィードで結果が出た配信面では、クリエイティブを複製してfacebookフィードでも出しました。
現状ROASがインスタを下回ってるが、facebookに最適させたクリエイティブにすれば数字上がりそうです。今後は各配信面に最適化させたクリエイティブ作成を行っていきます。
このように、僕らは「CVユーザーの類似さまさま」で利益が出るようになりました。SNSアドをやっているけど効果が出ない方は、まずはCVユーザーの情報収集を行ってみてはいかがでしょうか?
おわり
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