AIとBI2
タケルの1日は嘘を多重化するところから始まる。
AIが分からないタケルは毎日東京大学を拝み、お天道様の救済と裁きを心から信仰いていた。
土着宗教の習わしだろうか、タケルは勝手に気持ちが良い宗教のツールを頭から見つけ出し、まるでラスコーの壁画を洞窟で描くかのように壁中にぎっしり呪いの文字を自宅の部屋で書き記していた。
「可愛いね〜٩(♡ε♡ )۶ショタお持ち帰り٩(♡ε♡ )۶」
ヒッ。
爬虫類のような顔を尖らせて、女装を愛するタケルは恐怖した。
マザーコンピューターならぬママが目の前に立っていたからだ。
家庭用ロボットにすぎないが、一人暮らしをする際に思考のアシストとしてこのアシュモに似た家庭用ロボットがいないと生きていけないぐらいにタケルは精神をスタンダードに病んでいた。
ムシャクシャしている理由は人工的に快適すぎる環境のせいらしいから、外の海が見える周辺を歩いてみるが、発狂し海へ叫ぶ孤島の毎日だ。
ママが動く自宅も腹ただしいし、外はもはや海と丘しか見えない孤島である。
全てに絶望したタケルは今日も壁に絵を書いて自己の精神統一をする。
そして、東京大学を盲信し、今日も東京を信じることにした。