博士課程の就職活動について
noteを始めた理由の一つは、就活の記録とそこで得たある種の教訓を残して置きたかったんですよね。
博士の就活生って人数が少ないのに加えて、選考方法や時期が多岐に渡りすぎていて自分に合った情報や体験談を見つけるのが結構難しくて苦労したので。
これから博士課程で就活をする(もしくは検討している)人々に参考になれば嬉しいです。
はじめに
この記事では理系博士課程で就活する人全員に重要そうなことをまとめようと思います。
特に対象としているのは「自分は、、、これ(研究)ばっかりやってきたので、、、」という具合で、就活を始めようにも何から始めればいいのかわからない人です。
ただし、注意点としては(なるべく一般的に重要なことを目指すつもりですが)完全に僕の体験 or 伝聞した話という主観100 %で記事を書くということです。
後述しますが、博士課程の(博士課程でなくても?)就活方法は多岐に渡っており、完全な一般論を書くのは僕には無理です。
ですので、当然抜け漏れている視点や情報があるでしょうし、場合によっては僕が誤解して嘘を書いているかもしれません。
この記事が参考になれば僕としては嬉しいですが、あくまで情報の活用は自己責任でお願いします。
また、就活ではスペックも重要になるのと、どういう立場の人間が主観的に書いているか明確にしておいた方が良いので、身バレしない範囲で自己紹介を書いておきます。
適宜参考にしてください。
学歴:東京一工現役→そのまま博士へ
研究分野:応用物理(詳しく書くと簡単に特定できるのでこれで許してください)
業績:査読論文1本、国際会議発表多数
その他:DC2(D2の2次審査で滑り込み)、atcoder茶色(に上がった次の回で灰色に戻って萎えてからやってない)、TOEIC受験歴なし、資格は普通自動車第一種運転免許(AT限定)のみ
就活で見た職種:金融系、IT系
博士課程の就活方法について
まずは一般的な方法が確立されていないと言われる博士課程の就活で、現在どれくらいの選択肢があるのか見ていきたいと思います。
僕が知ってる方法は以下の通りです。
博士専用の制度を使う
学校推薦を使う
学部生や修士と混じって普通に就活する
それぞれ簡単に説明します。
博士専用の制度を使う
これは博士課程の学生しか応募できない枠を利用する方法です。
イメージとしては、製薬系やメーカーの研究職に多い印象です。
特徴としては
募集時期が早い
そのくせ大手の就活情報サイトには情報が出てこない
研究内容と業務内容の関連が非常に重視される(気がする)
といったことが挙げられます。
まあどの企業が募集を出しているのかはある程度まとめられていたりします(https://reashu.com/hakase-syusyoku/)が、自分で該当企業の採用情報を
確認しに行くのが確実でしょう。
あとは大学で博士専用の就活イベントが開催されていたりもします。
何から始めていいのかわからないって人は、まずは参加してみるのもありかもしれません。
(詳しい経緯は聞いていませんが、僕の友人はそこから選考に進んで内定をもらえたようです。)
学校推薦を使う
大学が用意している推薦枠から応募する方法ですね。
この制度を使う利点は、面接が何回か免除されるなど選考課程が簡略化することです。
自分の志望している業界・企業への推薦がもらえる場合は、積極的に活用するといいと思います。
まあ僕は使ってなくて詳しいことは知らないので、詳しい制度は大学の就職担当窓口に聞いてください。
学部生や修士と混じって普通に就活する
これは3月1日の情報解禁、6月1日の就活解禁に合わせてB4とM2と一緒のスケジュールで就活する方法ですね。
実は博士学生も新卒扱いなので、普通に就活することが可能なんですね。
(ちなみに僕もこの方法でした。)
一般的な就活方法であるため、上の2つに比べると情報は集めやすいと思います。
ですが、最近は選考過程がどんどん早くなっていること、また博士学生は研究もしないといけないため、就活以外にすることがないB4と同程度には就活だけに注力できない点には留意する必要があります。
どうすれば上手くいくのか?
ではこれだけ色々と方法がある中で、一般的な対策として何をすればいいのでしょうか?
正直に言うと志望企業や個人差によるところが大きいですが、僕の意見では以下の3点は多くの人に共通してやっておいた方がいいと思います。
早い段階から積極的に情報収集する
説明会やインターンに参加して、業務についての具体的なイメージを持つ
企業側が業績を確認できるように個人ページを作っておく
、、、書いていて一般的に言われている就活論?と変わらない気がしてきました。
(まあ僕は早くから情報収集できていなくて、さらに入社後に何をしたいのかを具体的に詰められるようになったのが就活終盤だったのでかなり苦労したのですが。)
とりあえずそれぞれ具体的に説明しますね。
早い段階から積極的に情報収集する
これが間違いなく一番大事です。
100%断言できます。間違っているなら木の下に埋めてもらって構いません。
早くから情報収集した方がいいのは、社会にたくさんの企業・職種があるということもありますが、一番は締め切りを過ぎてしまうことがあるからです。
前述した通り博士課程対象の募集は企業にも依りますが一般的な就活情報解禁(3月1日)よりも半年程度早く行われます。
また、最近は一般的な就活も早期化が進んでおり、6月頃には大手企業の夏インターンの募集がかかります。
なんなら僕は外資系金融が4月にインターンの募集をかけているのも見たことがあります。
そのため、「アカデミアに残ろうか、それとも就活しようか」と迷っているうちにあらゆる締め切りが過ぎてしまい、選考で優遇を受けられる企業の事情がよくわかるので選考が有利になるインターンに参加できない、あるいは受けたい企業に応募すらできないといった事態が普通に発生します。
(僕はこのミスをしたせいで外資系金融は選考を受けることすらできませんでした。)
このように情報を集めきれないと就活が非効率になって長期化してしまい、本業の研究を進めることができないなんてことも余裕で起こります。
(情弱の僕は結局約半年間ほとんど研究を進めることができなくなりました。実験などで拘束時間が多い人にはそもそもこんなに就活に時間を使えないと思います。)
ネガティブなことを色々と書きましたが、これから就活しようと思っている人はとりあえず就活情報サイトに登録するところから始めればいいと思います。
メールがいっぱい送られてきて、嫌でも企業の情報や締め切りが近い募集の案内が目に入るようになるので。
また就活サイトによって得意な領域が異なってくるので、複数のサイトに登録することをオススメします。
僕も色々と登録していましたが、結局この3つにだけ登録していれば大丈夫だったので、何に登録していいのかわからない人は参考にすればいいと思います。
マイナビ(有名なやつ、大企業から中小企業までだいたい何でも載っている)
アカリク(院生向け、博士が欲しい企業から連絡が来ることもある)
外資就活(外資の情報が載っている、外資以外にも高学歴の人が好きな大企業の情報が載っていて結構参考になった)
説明会やインターンに参加して、業務についての具体的なイメージを持つ
これは先に挙げた情報収集の一環として、特に重要だと思います。
大学院の研究室選びの時に研究室訪問はやっておけとよく言われますよね?
あれと理屈は全く同じです。
また、インターンで実務を簡単にでも経験できていると、入社後にやりたい業務(俗に言うキャリアプラン)の解像度が大幅に上がるため、選考に間違いなく有利に働きます。
例えばブラックホールをやっている研究室があったとして、「ブラックホールが研究したいです!なんか凄そうだから!」って言ってくるやつを積極的に受け入れようとは思いませんよね?(こういう人間ほど学力試験が良いことが往々にしてあるのでなんとも言えないですが)企業もコストをかけて採用活動をしており、ミスマッチは避けたいはずですので、入社後の業務をある程度理解してそれを選考でアピールすることは重要です。
あとは説明会やインターンでは企業が自社の特徴や強みをわかりやすくまとめてくれるため、自分で情報を集める手間がかなり省略できるのも魅力的でした。
企業側が業績を確認できるように個人ページを作っておく
僕が面接を受けていて驚いたのが、多くの企業が僕の業績を確認した上で面接を行なっていたことですね。
(もちろんエントリーシートには業績なんか書いていません。)
ある企業は僕が研究会の集録で書いた文章を目の前で読みながら面接してきました()。
まあこの流れは昨今SNSでやらかしていないのか確認するために企業が志望者の名前を検索するという噂を踏まえると自然な気もします。
重要なのは、完全に選考外にも関わらず自分がちゃんと研究をやってきたこと、そこで成果を出し続けてきたことをアピールできる点です。
ですので、業績を第三者が確認できる個人ページは是非作るべきでしょう。
また、研究会で求められる集録などもしっかりとしたものを提出しましょう。(決してあからさまに手を抜いたものを出したり、悪名は無名に勝るとか言って提出をすっぽかしてはいけません。)
個人ページを作りたいけど、自分で一から作るのがめんどくさい!という人は、ページ作成のフォーマットが整っているサービスを利用するといいと思います。
例えば「ラボっこねくと」というサービスは向こうが用意してくれているフォーマットに従うだけで研究概要や業績をまとめてくれるので、非常に使い勝手が良かったです。
https://labo-connect.com/profiles
最後に
さて、ここまで色々と就活について書きましたが、勘のいい(or 真面目に研究やってる)博士学生なら気がついたと思います。
そうです、学振を書くときと重要な点は就活でも変わらないんですよね。
学振を通そうと思ったら早い段階(3ヶ月以上前?)から申請書の書き方や研究計画のための情報収集は必須になります。
(就活は気がついていたら締切が過ぎているのを防ぐためなので、何度も添削が必要になるために早く動かないといけない学振とは少し違いますが、情報戦が重要という点では間違いなく共通です。)
また、学振に記載する研究計画はいわゆる「実現性が高い」計画を作成することが求められます。
そのためには研究計画を深く理解して具体性の高い文章にしたり、これまでやってきたことやそこで得た能力・経験等から計画している研究を遂行する能力が備わっていることをアピールすることになります。
上の文章の「研究計画」や「研究」という言葉を「業務」に置き換えれば、なんと就活の選考でアピールしないといけないことを示した文章になります。
不思議ですね。
(僕はまだまだ世間知らずですが、論理的に自身を売り込もうと思ったら必然的に学振のような文章の書き方になるのかもしれません。)
このように、就活には研究活動を通して得た経験・知識が活かせる部分がかなり多いと個人的には感じています。
ですので、僕からこれから就活する博士学生にできるアドバイスはまとめるとこの2点だけです。
アカデミアに残るか就職するか迷ってるならできるだけ早く就活サイトに登録だけでもする。(D1の春休みまでに登録しておけば締め切りのせいで選択肢が消滅することは避けられるはず)
ちゃんと研究活動(研究、論文執筆、研究会参加、研究費獲得)する。
就活は精神的に厳しいことも多いですが、社会や企業の仕組みを色々と知れて楽しいことも多い(?)と思います。
ごめんなさい、勉強にはなってもやっぱり楽しいなんてことはありませんでした。
取り敢えず僕は博論を書くので、皆さんも後悔がないよう頑張ってください。