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聖夜のつぶやき
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12月、1年最後の月に入るやいなや、街はクリスマスカラーに包まれる。
店のあちこちにクリスマスツリーが飾られ、クリスマスソングが流れ出し、クリスマス商戦の火蓋が切って落とされる。
私は個人的にクリスマスの時期は神戸のルミナリエを見に行っていたのだが、ある年に、ふと気がついた。
ルミナリエを鑑賞に来ている客のほぼ100パーセントが、カップルなのである。
阪神淡路大震災の鎮魂の祭典は、いつのまにか恋人たちのラブストーリーの舞台にすり替わっていた。
寒さも極限の12月、私は恋人たちにぎゅうぎゅう押されながらルミナリエを歩いた。急に別の意味で寒くなり、それ以降、神戸には足を向けていない。
シングルであるということは、まだまだ、日本社会では肩身の狭い想いをする。
ある一定の年齢を越えてもシングルでいたら、まるで人間として欠陥でもあるかのような視線を向けられることも少なくない。
いろいろな事情があって結婚を選ばない人もいるのだ。
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女性が100人いたら100人のクリスマスがあるように、日本中のシングルたちにも、ひとりひとりの鮮やかなクリスマスがあると思う。
ちなみに私の場合、いつもよりちょっとだけ高いチーズとシャンパンでひとりクリスマスを祝うのが恒例だ。
すこし、寂しいような気もするが、コレはコレで結構気に入りのすごしかたになっている。
ぶらりと旅に行くのは暖かい季節の楽しみに取っておいて、冬はひとりで、神の子の誕生と聖夜の静けさを楽しむ。
1人だって良いじゃないか、と呟くひとは多いんじゃないか、ふと星空を見上げてニッコリ笑う。
クリスマスって、きっと、優しい気持ちが降り積もる日のことだよね。と柄にもなく呟いてみる。
日本の終生未婚率は年々上がっている。
まるで、クリスマスのお祭り騒ぎに異を唱えているようにも思えるのだが、みなさんはいかがだろうか。