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7/22~23 夏の思い出 尾瀬

久々の本州遠征企画。

尾瀬の山を計2日間かけて制覇する企画を実施しました。本州に遠征しに行くのは記録を見る限り2019年以来。久々の大型企画です。
尾瀬と言えば日本を代表する唱歌「夏の思い出」でも歌われているので、山好き、自然好きでなくとも名前を聞いたことはあるのではないでしょうか。夏が来れば思い出す 遥かな尾瀬 遠い空…
では、企画の記憶を書いていきます。

いきなりの大アクシデント発生!

管理人と3年装備係の2人のみ(男2人登山キモチェ――)と、人数で見ればささやかな規模の企画。管理人は無事、尾瀬に向かう夜行バスの発車点である新宿に到達できました。日本の男ならパワーチャージは牛丼だろなどとほざきながら新宿のすき家で飯を食っていた管理人の元に、不穏なLINEが…

ダメだ これ無理だわ

飛行機が遅延したことで本来乗るはずの電車に乗れず、尾瀬への夜行バスに間に合わないという連絡でした。日暮里で0分乗り換えを成功させる、バスが奇跡的に8分遅れるというわずかな可能性にかけるも、すべて潰え、管理人のみがバスに乗って尾瀬に向かうことに。取り残された3年装備係は快活クラブで一晩を明かし、翌日在来線と路線バスで尾瀬に行き宿泊する山小屋にて合流と約束し、1日目、互いに単独行になることが決定。

まずは尾瀬沼を目指す。

ここからはしばらく管理人の一人登山の記録をお届けします。大清水バス停に下ろされた管理人は、当初計画通り尾瀬沼を経由し、燧ヶ岳に登り、尾瀬ヶ原見晴地区に下りて山小屋泊という日程で進みます。

まだまだ暗い道。

大清水バス停を下りた段階では暗く、少し明るくなってから出発。最初は歩きやすい道が続きます。まだまだ最序盤、いいペースで歩いていきます。オーバーペースで飛ばしすぎると後で困るので、ペースをうまくコントロールしながら。

一ノ瀬休憩所。ここまでバスが出る。

YAMAP標準で1時間かかる所を35分~40分で、最初の休憩地点である一ノ瀬休憩所に到着。朝5時くらいからは、大清水からここまで送迎バスが出るので積極的に利用したいですね。ちなみに夜行バスに乗れなかったもう一人のメンバーは大清水からここまでバスが来ていることを知らなかったらしく、道を歩いていた所バスに追い抜かされたらしい
自販機もあるけど、さすが山価格。コーラが250円‼コーラ大好き人間の管理人でも、ほとんど疲労していない状態の時250円のコーラは買えない…

一ノ瀬休憩所を出て、しばらく行くと本格的な登山道の始まりと思しき曲がり角があります。ここから本格的に登りが始まりますが、相変わらず登山道は良く整備されており、ペースを落とさずに進んでいくことができます。

一部腐敗した木道があるので注意。

登山道は三平峠まで到達すると、尾瀬沼に向かって下り始めます。ここまでこれば尾瀬沼まではあともうひと頑張りです。最高地点まで登って、少し下って湖(沼)を目指すというのはスポーツ観戦大好きの管理人にとっては箱根駅伝の5区を彷彿とさせます。テレビの見過ぎですね。

尾瀬沼。花の百名山の一つ。

尾瀬沼のほとりで休憩。

尾瀬沼までは2時間くらいで到着。いいペースで来ることができたため、ここいらでちょっと長めの休憩をとり朝飯を食べることに。
尾瀬沼は燧ヶ岳の噴火により誕生した堰止湖で、日本では最も標高が高い所にある湖沼らしい。田中澄江著の花の百名山でも紹介されています。管理人は尾瀬沼山荘に泊まる人々の声を聞きながら新宿のセブンで買ったメロンパンとおにぎりをほおばります。管理人、メロンパンが菓子パンの中では特に好きで山に行くときはついつい手を出してしまうことが多いです。グミ(安定の)も少し食べようと、袋を取り出したら気圧の差でパンパンに膨らんでいました。

ニッコウキスゲ。夏の尾瀬のシンボル

尾瀬沼のほとりにはニッコウキスゲも咲いていました。
え、夏の尾瀬に咲いているのはミズバショウじゃないの?だって夏の思い出の歌詞にはミズバショウの花が咲いているってあるじゃん…という疑問を持ったあなたは、俳句の世界での夏が何月なのか調べてみてください。疑問は解決するはず…

燧ヶ岳へ挑む。長英新道へ

ツキノワグマに注意という看板にビビりながら(北海道にはヒグマがいるから、それと比べりゃ大したことない…とはなりません笑 普通に怖いです)、尾瀬沼のほとりを抜けると、沼の北側に燧ヶ岳に続く長英新道の入り口があります。

長英新道入口

写真の看板から分かるように、燧ヶ岳へは4.5㎞の登りです。まだ先は長い。
最初の方は長英新道歩きやすくて、これ行けるやん!となりますが、すぐにぬかるみなどが出てきて登山道らしさが全開の道になっていきます。とはいえ、しばらくの間は傾斜も緩くサクサクと上っていくことができるはず。

桧枝岐村が設置してくれた看板

登山道は2合目の看板辺りから厳しさを増していきます。この2合目と書かれた看板、長英新道始まって結構な距離歩いてから現れるので、こんなに歩いたのにまだ2合目…?となること請け合い。メンタルがやられないように注意してください。着実に、強い気持ちをもってこの先の道も頑張りましょう。

一段目が相当高い階段

大きな岩で覆われた急坂や、登らせる気ないだろ!と突っ込みたくなるくらい一段目が高い階段(階段横にある岩などを活用して登ろう!)などがあり、さらに上昇する気温、ジリジリと照り付ける太陽光線の追い打ちを受け思うようにペースが上がらなくなってきます。それでも、森林限界を超えてからは見上げれば目指すべきピークが見え、眼下には通ってきた尾瀬沼が見え、ちょっと元気になれます。

眼下に広がる尾瀬沼

ついに燧ヶ岳のピークへ…

燧ヶ岳は5つくらいのピークを持つ山です。特に標高2356mの柴安嵓(しばやすぐら)北日本の最高峰で、深田久弥の日本百名山にも選出されています。長英新道を登った場合、まず最初に到達するのはミノブチ岳なるピークです。ここでは集団の登山チームと出会い、写真撮影に応じました。ミノブチ岳から20分程度歩くと、俎嵓(まないたぐら)と呼ばれる標高2346mのピークがあります。俎嵓へ続く登山道は終盤かなり急坂。心して登りましょう。

俎嵓から、尾瀬ヶ原と柴安嵓、至仏山を望む

ちょっと疲れたので、ここいらで5分位休むことに。水分をとったり、行動食を食べたりしていると…

1つ上の写真とほぼ同じ方向を撮ったもの。

凄い勢いで雲がやってきて、あっという間に柴安嵓方面を包み込んでしまった。山の天気は変わりやすいとよく言いますが、まさにこういうことですよね。雨は降っておらず、風が強いわけでもなくちょっと待てばすぐに晴れてくれて通行に支障をきたすものでなくてよかった。

ちょっと休んだ後、気を取り直して柴安嵓のピークへ。15分程度の歩きですが、2枚上、俎嵓のピークからとった写真でもうわかりますが、この2つのピークを結ぶ登山道はこれまた結構な急坂。北日本の頂を目指す者に課される最後の試練です。

15分ほど歩き、柴安嵓に到着。尾瀬沼からは、約2時間半。北日本の頂であり、この地より北にこの地より標高が高い地点はありません。群馬県から入山したはずなのに、福島県にいて北日本の頂上に立っているのはとても不思議な感覚。北海道民にとっては、歩いて県境を越えるというのはなかなかない事で、貴重な経験です。
山頂で休んでいるとトンボがすごい数いました。本当にめっちゃくちゃたくさんトンボいました。びっくりした。

見晴新道、ヤバい道…

さて、ここからは下りになります。この下りを終えれば、1日目は終了です。下りに使うのは見晴新道。燧ヶ岳と尾瀬ヶ原をつなぐ登山道です。
この道、下調べでぬかるみが酷いとは聞いていましたが…本当にぬかるみがすごい!想像以上。あっという間に靴は泥まみれ、靴についた泥のせいで岩場を通ると非常に滑るという凶悪なコンボ。何度も転倒しかけました。汗をかいたせいか、体の周りには定期的にアブがまとわりついてきて、うるさいけど加速して逃げようとすると転倒しやすくなるため下手に加速もできない…という状況になり、まあ大変な下りでした。写真撮る余裕なかった。この道を通るときは注意してくださいね。ゲイターがある場合は、着用するといいです。

山小屋とは思えないオサレな料理。

散々な思いをしながら見晴新道を下れば、もうすぐそこに見晴地区があります。見晴地区は尾瀬ヶ原の東端にあり、5軒くらい山小屋があります。
本来10時間の計画だったところを7時間程度で歩ききることができたため、見晴にある山小屋・尾瀬小屋でお昼ご飯を食べることに。何食べようか、散々に迷ってメニューを決めたのですが写真から分かるように山小屋とは思えない高クオリティな料理ですよね。ほかにも、ボロネーゼやワインなど、オシャレなメニューがたくさんありました。

燧小屋の晩ご飯

今宵の宿・燧小屋でメンバー合流。

今回宿泊したのは、尾瀬小屋と同じく見晴地区にある山小屋である燧小屋です。山小屋で、バスに乗り遅れたもう一人のメンバーと管理人が合流することができました。お風呂に入ってべたつく体を洗い流し、写真のようにおいしいご飯を食べることができ、しかもビールと柿ピーで乾杯までできるという、北海道で登山してたらまず味わえない経験ができた(北海道の山には、宿屋のような形でよく整備された山小屋は無い)。
そんな感じで過ごしていると、山小屋の方がおにぎりセットを持ってきてくれました。翌日の朝食提供時間より早く山小屋を発つ登山者には、申告すれば朝ごはんとしておにぎりセットを出してくれます。登山者の朝は早いため、すごくありがたいですね。

2日目出発時点での尾瀬ヶ原 まだ曇っている

2日目、始まりますよ。

おにぎりセットはでっかいおにぎりが2つ、梅と昆布と鮭の3種が1つのおにぎりの中に入っていて、食べていて2つの具が同時に口の中に入らない絶妙な位置関係で配置されていました。さらに、インスタントのお味噌汁と温かいお茶を付けてくれる親切設計。日本の男で、おにぎりをほおばりパワーが出ない者はいません。エネルギーをチャージし、2日目の出発です。

正面に見えるのが至仏山 2日目のメインターゲット

挑むべき山を望みながらの歩き。

2日目、最初は尾瀬ヶ原を西に向かって歩きます。日本最大の高層湿原であり、美しい風景が広がっています。正面に見えているのが、2日目に登る山、至仏山です。尾瀬ヶ原にもニッコウキスゲなどのお花が咲いていました。木道も整備されていて、このエリアはハイキング感覚で歩いていくことができます。ちなみに尾瀬の木道は右側通行が基本。日本は左側通行が基本の国なのに、なぜここは右側なのだろうか。有識者の方、いらっしゃいましたら教えてください。

来た道を振り返れば、昨日登った燧ヶ岳もよく見えます。それにしても、美しい所ですね。
美しい湿原を1時間半くらい歩くと、至仏山の直下、最後の安らぎ所である山の鼻地区に着きます。ここでトイレなどを済ませると、いよいよ至仏山への本格的な登りが始まります。

滑りやすい登山道、注意!

花の名山、至仏山。

至仏山は燧ヶ岳と並ぶ尾瀬のシンボルである山で、日本百名山・花の百名山に選出されています。山体は蛇紋岩でできており、その特異な環境が高山植物の宝庫を作り出しています。一方で、登山者にとって蛇紋岩は大きな敵となります。なぜなら蛇紋岩って滑りやすいから。しかも前の日、午後から雨降っていて登山道は濡れています。長時間にわたり、岩場が続く登山道のため気を付けないと足元すくわれて怪我します。他の登山者も多いので、無理のないペースで着実に上がっていきます。
なお、今回登った山の鼻から東斜面を攻略するコースは植生保護と危険防止のため夏季は下り禁止です。通ってみて、確かにこのコースを登ってくる人とすれ違いながら下るのは危険だと感じましたし、貴重な自然を守るためにもルールは守りましょう。たまにルールを守らず下る不届き者がいるという話も…

さすがは花の百名山 お花畑

前日からの長時間・長距離にわたる歩行で疲労が出てくる中、お花畑が見えてくると癒されます。管理人は植物同好会部長を名乗っていながら植物にあまり造詣が深くなく、花の名前は分からない(それでもニッコウキスゲくらいは予習した)のですがやっぱかわいくていいですよね、お花。

2時間ひたすら上って山頂に。

下りが無く、ひたすら登り続ける登山道でなかなか厳しかったのですがなんとか山頂へ。ちょっとガスかかってましたね。仏に至る山、ってことはこの山登ると仏になっちまうのか? …くだらないギャグはなしにしておきます。至仏山に登ったからって死んだり、仏になったりはしないので安心してくださいね。管理人、今もピンピンしていますよ。山頂には日中二か国語を操るお兄さんや、スニーカーを泥だらけにして登ってきた2人組のお姉さんなど、いろんな人いた。
ところで、燧ヶ岳の山頂でも思ったのですが山頂にある石碑って誰がどうやって持ってきたのでしょうか。すごく重そうで、これをもって登るのはなかなか厳しいような気がしますが…尾瀬には歩荷の方がいますが、そのような方の手にかかればこれくらいは余裕なのかな…などとあれこれ考えてみたり。結論は出ていません。

至仏山からの帰り、結構きつい。

小至仏山への登り返し、ここを乗り越えれば…

至仏山山頂からは南面の登山道を鳩待峠へ下りていきます。小至仏山という山が途中にあり、至仏山山頂を出るといったん下ってまた登り返すという登山道になっていて、この登り返しがまあまあきつい。
ですが、この小至仏山を超えて、少し下るまでを耐えきれば徐々に登山道は整備されてきて、歩きやすくなっていきます。

階段や木道が整備されるようになり、それらが無い区間でも道幅は広くぬかるみもないため歩きやすく、サクサクと下りていけます。
2時間半くらい歩けば、今回の登山の終点・鳩待峠に到着です。お土産処やご飯処、今は工事中で使えませんが鳩待山荘という山小屋もあり、尾瀬の旅の拠点となります。
我々はここから乗り合いタクシーを使って尾瀬戸倉まで戻ります。1人1000円です。戸倉まで戻ると、温泉があるのでひとっ風呂浴びてさっぱりしていくことができますよ。戸倉から、高速バスに乗って新宿まで戻ろう…としたのですが、夏休み最初の日曜、関越道、混まないわけがなくしっかりと渋滞に巻き込まれました。高坂SAで休んでいるときに、運転手さんからも案内があって川越で降りて電車で新宿を目指したほうが早いという結論になり、その方法で新宿に帰りました。

あとがき。

かなり大型の企画だったので文章もかなり長くなってしまって、書いている管理人も疲弊しました。今年はもう1つ本州で行う大型企画が計画されています。11月中旬に記事公開となりそうですので、お楽しみに!
次回の記事は「限界への挑戦 幌尻岳」となる予定です。大雪山系以外では北海道唯一の2000m峰で日高山脈の主峰である幌尻岳に挑む企画の様子をお届けします。

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