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今日も火曜日

有線イヤホン

二子玉川駅に着く。
ふと周りを見る。
空いた席。
ヘッドフォンを外して椅子に座ろうとする女子高校生。
急いで車内に戻ってくる男子高校生。
彼女からヘッドフォンをもらって彼はすぐに外へ駆け出す。
彼女は笑顔で見送る。
そのままリュックの中から有線のイヤホンを取り出す。


イルミネーション

押上に着く。
外に出ると、青い光が木を覆っている。
スカイツリー近くに行くと、音楽が流れ、クリスマスマーケットが行われている。
カップル、女の子グループがいつもの押上よりちょっと多い。家族連れ、男子グループは少なめ。
光る押上を見て、もうすぐクリスマスであることを実感する。
去年まではクリスマスがちょっと楽しみで、なぜか期待をしていて、ワクワクしていた。
今年はその気持ちが全くない。冷めているわけではない。クリスマスという行事との縁が薄れた感覚。
22歳。若い人が楽しむクリスマスの経験はない。
だが、悲しみや妬みがない。
そんな2024年。

コーヒーハウスシロウマ

お腹が空いた。
[ 押上 喫茶店 ] Googleマップで検索する。
[コーヒーハウスシロウマ 20:00閉店 徒歩9分]
時刻は 18:30。まだ間に合う。
人通りの少ない川沿いの道を、スカイツリーを背に進む。

到着。
たばこを売るカウンターが隣接している。
店主は、何やら掃除をしている。
中に人がいるかどうかわからない。
営業中という標識が掛けられている。
ドアを開ける。

店「いらっしゃいませ」
店主は座り出した。
私「一人です」

全ての席が空いている、選び放題。
入り口に1番近い、4人席に座る。
ダウンを脱ぎ、メニューを見る。
事前にメニューだけは調べておいた。
立ち上がり、店主と目を合わせる。

私「生姜焼き大盛りとブレンドコーヒーください」
店「はーい」

店主は、温かいおしぼりとお冷を渡してくれた。

待ち時間。本を読む。
テレビが天井付近にある。UFO特集。
店の本棚には、スラムダンク、ゴルゴ13…。
店主と私、2人だけの空間。
肉を炒める音、キャベツを洗う音。

料理が届いた。
ドレッシングがかかったキャベツ、ご飯が進みそうな濃い色の肉、大盛りご飯、ネギと厚揚げの味噌汁。

私「いただきます。」
(きっと店主は、もう今日は閉店まで誰も来ない。そう思っていたの違いない。そんな時、私がドアを開けた。私のためだけに、店主は腰を上げ料理を作ってくれた。)
感謝の意味も込めて、いつもより長く手を合わせた。

ご飯を食べていると、たばこカウンターから、女性の方が店主に話しかける。5分ほど話し続けていた。

ご飯を食べ終わろうとした時、店主は料理と同時並行で淹れたコーヒーを温めてなおした。
コーヒーが運ばれてくる。
店「どうぞ。」
私は会釈をする。熱々のコーヒーだった。水面に浮かぶ不細工な下アングルの自分の顔を見ながら飲み進める。
店主は、掃除を始める。私がドアを開けた時はやめていた掃除を、再開した。

19:30 コーヒーが飲み終わる。
荷物を整理し、レジへ。

店「1410円いただきます。」 「今日は学校?」
私「はい、学校帰りです。」
店「この近く?」
私「いえ、神奈川です。千葉に住んでいるんですけど、ちょうど帰り道で。寄ってみました。」
店「京成に乗り換えか。2時間くらいか。 また寄ってね。」
私「はい。美味しかったです。ごちそうさまでした。」

ドアを開ける。

また寄ってね。という言葉。

店主と私、2人の空間。
素敵な喫茶店を見つけた。

また寄ろう。

来週は、ナポリタンを食べに行こう。
スカイツリーに向かって歩く。

そんな火曜日。

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