ENTPのせい
私は、小さな頃から生きづらかった。
何故か、私の発する言葉は、他人に受け入れられなかった。
例えば、いじめっ子がいじめをしている時、それはいじめだよと言ってしまうのだ。
教師が生徒を故意に泣かせた時、謝りなさいと教師に言ってしまうのだ。
このエピソードからは、まるで心のない発言ロボットのように見えてしまうだろうが、実は人一倍傷つきやすい。
それは、他人への優しさ故では無い。
自分への過度な期待感や絶対感、そういうプライド故なのだ。
それが過度にも過度すぎて、些細なことで傷ついてしまう。
自分を守るための術を、この20年間で手に入れた。
人に優しくすれば、人から慕われ、プライドが保たれ、気持ちよくもなれる。
こんなに素敵なことは無い。
そして、みんな私の思い通りに動いてくれるようになる。
こんなに素敵なことは無い。
心の奥底で、こんな最低な私がニヤニヤしている。
私は、こんな自分を心の底から嫌悪し続けていた。
私はそんな下劣な人間ではない。
もっと素敵で精錬な人間なのだと信じ続けた。
まるで小説に出てくるヒロインのような、そんな可憐な存在なのだと、信じ続けた。
だからだろう、数年前のMBTI診断では、INFP(仲介者)という診断結果だった。
友人からは、お前は絶対に紫タイプ(論理型)だ!と言われたが、私は仲介者という結果に満足していた。
そして最近になり、私ははたと気がついた。
私が仲介者なわけが無い。
あの診断の時私は確かに、私の理想像に基づいて回答をしていた。
そう気づいてからの診断結果は、ENTP。
INFPの診断結果には一切なかった、私の昔からの「変わり者」な部分が、はっきりと記されていた。
その時私は、涙が出るほど嬉しかったのだ。
私がずっと苦しかったのは、素敵になろうとしすぎていたからだ。
私は、世間的には変わり者で、最低寄りな人間であるということを、この歳でやっと受け入れることが出来た。
肩の荷がおりた私は今、ENTPを謳歌している。
好きな時に議論し、面白そうな話題に飛びつく。
女子グループに無理して入ろうとせず、のらりくらりその場しのぎ。
呪っていた好奇心を、素敵だと甘やかす。
人を傷つけなければそれでいい。
そんな精神で生きている。
性格というのは面白い。
以外にも、生まれ持った特性というのが、ドカンと大きく鎮座している。
人が自分の容姿で悩むように、私は性格で悩んできた。
生まれ持った自分の性格があまりにも少数派で、あまりにも理想と反している。
そんな事実に悩んできた。
だけれども、大人になれば分かるのだ。
学生時代に浮いてしまうような最低さは、大人になれば強みになる。
逆に、学生時代に皆を支配できるような才能は、案外、大人になると役に立たなかったりもする。
だから悩まなくていいなんてことは無い。
悩めば悩むほど、ENTPは素敵なENTPなると思う。
自己を省みないENTPは、本当にただのデリカシー皆無ロボットだ。
人から好かれる方法を探り、自己を省み続けたENTPだけが到達できる、最高の場所がある!
そんな夢のアイランドを探して、今日も頭を働かせる!
頑張ろう、思考型の民!
私たちはきっと、頑張れば幸せになれるよ。
ただ、考えることをやめた時、一気に本物の最低な人間になれてしまうのが、私たちなんだ。
その時は、私が笑顔で脳みそを叩いて、バカにしながら大西洋の真ん中まで連れて行ってあげるから、安心してね。
思考型の屍で作り上げた埋立地に、虚構の夢の国を作り上げる日まで!
バットエンドで申し訳ないけど、これがENTPらしさでもあるよね!
悪魔の代弁者、やっちゃいまーす。