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保険適用になった今こそ知っておくべき!高度不妊治療であなたが失う17の宝物【1】時間

今回からはあなたが失ってしまう宝物について、具体的な内容に入っていきます。
ただ、必ず「具体的な対処法」とセットでお伝えしますので、最後まで読んでいただければ嬉しいです。

高度不妊治療にステップアップしてあなたがまず最初に失うあなたの宝物、それは「時間」です。

より具体的に表現すると、「自分で自由にコントロールできる時間」ですね。これは、高度不妊治療で最も負担となる部分です。

タイミング法や人工授精も立派な不妊治療ですが、高度不妊治療となると、通院回数が激増します。注射の回数が増え、採卵日を確定するための事前チェックの回数も増えます。そして、卵巣が腫れた場合に対処するために、採卵後の卵巣チェックという項目も増えることが多いです。

来院が少ないクリニックでも月に4~5回、多いクリニックだと7~8回におよぶことがあります。しかもそのすべてが「数日前に決まる」という事実。来院し、その結果をふまえて「では、次は○日後の○日に来てください」と言われます。これ、本当にストレスですよね。事前に調整ができない、状態によっては、やっとの思いで今日の都合をつけて来院したのに、「明日、もう一度来てください」なんていうこともあります。

ただ、不妊治療の特性上、致し方ないという歯がゆさがあります。苦しいですよね。

この部分に対処する方法を事前に考えておかないと、両立が困難になり、精神的に相当なストレスになります。2~3カ月なんとか踏ん張って妊娠できればよいですが、大半の患者は半年以上、年単位の長期戦になります。

そのときに、今までがんばってきた仕事と不妊治療を天びんにかけることになってしまい退職を選ばざるを得なくなる、逆に不妊治療を継続できなくなることも。後々、「あのときもう少し続けていれば、もしかしたら……」という後悔につながることもあります。

それって辛いですよね。結果が出るか否かは自分で決められるものではないですが、ある程度「継続」しないと結果につながらないのが不妊治療ですから。

では、どのような準備をするべきなのでしょうか?

「仕事と両立できるように、上司に早めに打ち明けておく」
「フレックス制度を利用する」
「テレワークの日とうまくマッチングさせる」

これは確かに有効な策です。
一方で、高度不妊治療においては根本的な解決にはならない策といえます。

なぜだかわかりますか?

理由は2つあります。

まず、上記の方法は「事前に予定がわかっているもの」に対しては非常に有効な策ですが、逆に、事前に調整できない予定に対しては効果を発揮しにくい制度・策になります。

次に、対応できる「制度」や、理解し調整してくれる「相手」を職場、つまり自分とは別の方面に求めると、いつしか小さなズレが発生し、限界がきます。

それよりも先に手を打つべきことが1つあります。
それは……、

「必須来院回数が少ないクリニックを事前に調査し、そこで治療をすること」です。

根本的な発生要因である「来院回数」を最初から自分側で減らしておくのです。

具体的に説明します。
私は東京都にある加藤レディスクリニック(以下、KLC)で治療を継続し、最終的に子どもを授かることができました。ただ、高度不妊治療にステップアップしたとき、実は別のクリニックで治療をしていました。

治療方針や実績などはここでは置いておいて、来院回数だけに着目してお話しします。

実は、KLCの前に通院していたクリニックは自宅から2駅で、徒歩の時間を入れて片道30分もかからないような比較的、近距離にあるクリニック(以下、A院)でした。自宅から近いということも、そのクリニックを選択した理由の1つでした。

逆に、KLCは自宅から片道1時間30分。往復だと3時間以上かかりました。

しかし、「治療の継続」という観点で見ると、意外かもしれませんがKLCに転院した後の方が格段に楽でした。

理由は「必須来院回数」です。

A院はクリニックの方針もあって、「直接患者に伝える」「チェックはより入念に」ということに重きを置いたクリニックでした。そのやり方は、確かに安心感にもつながっていました。

排卵の薬を体内に入れた後は「確実に排卵しているか確認のため」に来院。
採卵後は「受精結果を伝えるため」に来院。
その数日後は「最終的な凍結結果を伝えるため」に来院。
そのときに「卵巣が腫れていないか」を診察にて確認。

そんな感じて、毎回「来院」が必要でした。
自宅から近く、結果の報告のみだとすぐに終わりますし、時間指定もありません。それほど負担にはならないと思っていましたが、重なるとやはり「負担」でした。クリニックの滞在時間がいくら短くても、そのために「調整しないといけない」という事実が、それこそがストレスなのです。

「自宅から近いからまだまし」

そんなふうに勘違いしていたことを、KLCに転院してから知りました。

KLCは「受精確認」「凍結確認」がすべて専用サイト上で行われます。
「排卵させる薬は今日の夜○時に」という指示を受けて自宅で処置した後は、「確認のための来院」はありません。指示通りに処置しているのだから、ちゃんと排卵しているものとして、治療を組み立ててくれます。

低刺激や高刺激、実際に採卵した数によって多少は変わると思いますが、KLCでは採卵後の来院は基本的に必要ありません。(注:採卵数が多いと念の為の診察があります)

この点も、ありがたかったです。

「その『1回』がないだけで、こんなにもストレスが少ないのか」と感じました。
もちろん、必要な来院はしっかりと指示がありますし、そこは確実に来院する必要があります。

ただ、診察しないとわからないような内容ではなく、ただの報告や事実確認などの項目はウェブ上で確認できる、最低でもメールや電話など「来院が必要ないシステム」で運営されているクリニックの方が、限られた時間の中での調整、職場との調整がききやすく、非常に助かるというのはまぐれもない事実です。

注射が必要な場合、できるだけ自己注射(自宅で、自分で処置する)にすることができるか否かもポイントです。

補足しますが、来院回数を少なくするシステムがあるからといって、実績のない、結果が期待できないクリニックを選ぶのは本末転倒なので、その部分も同時に重視すべきことはいうまでもありません。

来院回数やシステムに関しては、各クリニックの説明を聞くのもよいですし、今ではウェブ上にたくさんの不妊治療専門サイトがあり情報がアップされています。Twitterなどでも、リアルな情報を拾えます。ぜひご自身で確認、比較してみてください。

高度不妊治療を始めるにあたり、最初に失われるあなたの宝物「時間」についてお話ししました。

上記の対処を事前に行っていただくことで、最も負担となる「時間」に対する苦悩をできる限り減らすことができます。

高度不妊治療は、これ以外にもさまざまな苦悩が次々に生まれてきます。ただ、よい結果につなげるためにまず必要なことは治療を継続することであり、継続できる環境を自分で自分に用意してあげることが重要です。

その大きなポイントになる部分が「時間」です。まずはここに対して手を打ちましょう。

次回も、高度不妊治療に大きく直結する内容についてつづっていきます。

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