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保険適用になった今こそ知っておくべき!高度不妊治療であなたが失う17の宝物【辛さの原因と対処法】

【第一章:プロローグ】
高度不妊治療の辛さ――その本当の原因と有効な対処法をあなたは知っていますか?

ポイント:高度不妊治療からくる辛さには『2つのステップ』が存在する

「不妊治療って辛い」

誰しもそう感じています。

では、その辛さについて冷静に、客観的に分析されたこと、あなたはありますか?

結論を先にお伝えすると、高度不妊治療からくる辛さには『2つのステップ』が存在します。

ここではプロローグとして、わかりやすく解説していきます。
本章の内容に入る前に、ぜひ読んでみてください。あなたのその「辛さ」を、あなた自身が客観的にとらえられるようになります。

では、具体的に説明していきますね。

人は「なぜこんなことになってしまったのだろう」という自分では予想できなかった状況に陥ると、不安や孤独を感じます。

さらには、「なぜこんなことになってしまったのだろう」ということを考える間もなく「辛さ」が訪れることで突然に違う世界にいるような気持ちになります。

仕事、趣味、時間、そして夫婦関係――今まで普通に、当たり前に存在していたものに亀裂が入りはじめ、気がつくと今まで手にしていたものがなくなりつつあることに気がつきます。

高度不妊治療を継続する中で漠然と感じる「失った」という感覚。
大きな喪失感。とにかく辛い。もとにはもう戻れない。
かといって無理やりに前に進めても結果が伴うかもわからない。

真っ暗闇の中を進む感覚――今のあなたがそうではないでしょうか。

「こんなはずではなかった」

焦りますよね。

「気がつけばこんなところまできてしまっていた」

自分のまわりを見渡すと、消えていってしまったものが無数にあることに気がつきます。

そうです――「失う」って突然にして気がつくものです。

そもそも「失った」という心理の裏には、「気付かぬうちに」「想定外に」にという心理的状況が少なからずありますから。

それに気がついたときが、まさに高度不妊治療におけるメンタル不調の『ステップ1』です。

そして、その次の段階に移行します。

人は想像を超える辛さに襲われたとき、その「対処法」がわからないため、パニックになるのです。

「どうすればよいのかわからない」
「経験したことがないので、この先の決断に自信が持てない」

そこから訪れる絶望、真っ暗闇の中でも進んでいかないといけない恐怖。そんな状況に置かれてメンタル不調に陥らない人なんて、ほとんどいないです。

これが、メンタル不調の『ステップ2』です。

高度不妊治療からくるメンタル不調はこの2つのステップで構成されており、互いにつながっています。
この辛さの沼に完全にはまってしまうと、自分で戻ってくることは難しいです。

かくいう私もそうでした。今のあなたよりひどかったです。

そうなると、もう限界を認めて治療を諦めるか、メンタルクリニックに通いつつ、休みつつ、治療を続けるか、どちらかの選択になります。

4年間の不妊治療を通じて私が一番怖いと感じたことは、子どもができないという事実よりも、治療を通じて、ひとりの人としての「自分の心」を完全に失ってしまうことです。

一番大切なのは、あなたの心なのです。

もう一度言います。一番に守るべきなのは、あなた自身の心です。

そこで、高度不妊治療を始めるにあたり非常に大事なことを2つお伝えします。
この2つを意識していただくことで、「失うもの」の量を格段に低減していただくことができます。そうすることで、不妊治療からくるメンタル不調を事前に低減することが可能になります。

1つめは、高度不妊治療を始めるにあたり、この先に待ち受けている未来を「先に」頭に入れて、シミュレーションして、擬似体験しておくことです。
「なぜそうなるのか」も合わせて事前に理解しておくことで、「気付かぬうちに」「想定外に」という状況を避けることができます。

つまり、「予想される状況」をあらかじめ認知、整理しておくということですね。

2つめは、対処法を知っておくことです。
つまり、前もって頭で考えて、行動の準備しておくということです。

なぜこれが「辛さの軽減」につながるのでしょうか。
そこを解説します。

うまくいかないとき、人はがんばろうとします。一方で、「がんばらないと」と踏ん張っているとき、人は相当なストレスの中にいます。つまり、ストレスホルモンが多量に分泌されています。しんどいです。

そのような状況の中でも、人が精神的負担から解放されるときがあります。

どのようなときだと思いますか?

それは、「手立て」が思い浮かんだときです。

おもしろいのは、「物事が何らかのきっかけで好転したあと」なのではなく、「手立てを思いついた」時点でストレスホルモンが軽減され、ストレスから解放されるという点です。

これは、そのストレスの原因がどのようなものかに関わらず共通する人間の反応になり、医学的にも証明されています。

そのため、「予想される状況」とともに手立て――つまり「対処法」を準備しておくことが何よりも大切になるのです。

問題は、その「予想される状況」も「対処法」も、高度不妊治療経験者でないと想像すらできないということ。

この部分こそが、高度不妊治療で悩む人が一向に減らず、その闇の深さにどっぷりとはまってしまう原因なのです。

「仕事の悩み」「結婚の悩み」なんかは、もちろん辛い内容ではあるものの、同じような悩みを経験した人が当たり前のように存在し、共感してもらうことも、アドバイスを受けることもできます。

一方で、高度不妊治療からくる悩み、辛さは、このようないわゆる「一般的な悩み」とは内容が程遠く、多数の経験者が存在するなんてことはありません。ここが、ほかの悩みとは大きく異なる点です。

私も、誰にも話せないことで相当しんどい思いをしました。

その経験から、今、思い悩んでいるあなたに向けて「その辛さを少しでも軽減できるもの」を届けたいと思っています。

本書は、自分の経験を正直につづりつつも、苦悩をなげくだけではなく「どのようにすれば辛くなくなるか」を具体的に書いたものです。ぜひお役立てください。

これから高度不妊治療にステップアップしようと考えている方に、ぜひ読んでいただきたいです。

そして、実際に高度不妊治療を始めたあとに辛いことがあったとき、壁にぶつかりそうになったときに、あなたの「お守り」としていつでも戻ってきてください。

プロローグは以上になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回からは具体的な内容に入っていきますので、お時間のあるときにぜひ読み進めてみてください。

2022年4月 磯山ナツ

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