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保険適用になった今こそ知っておくべき!高度不妊治療であなたが失う17の宝物【2】体調

高度不妊治療にステップアップしてすぐに失うものの1つに「体調」があります。

普段は気がつかないですが、当たり前に調子のよい自分の身体というものに対して、懐かしさを感じるようになります。

不妊治療に関わる身体的負担は大きく2つに分けられます。

身体的負担としてまず挙げられるのは、注射や採卵のときに発生する痛みです。とくに採卵の痛みといったら…… 悶絶ものです。局部麻酔を施してくれるクリニックもあります。私は、局部麻酔、無麻酔ともに経験済みです。

確かに、局部麻酔をすると採卵中の痛みは大きく軽減されます。しかし、その「麻酔」の注射自体が非常に痛く、そこは耐える必要があります。

本格的な不妊治療の前段階として、卵管造影検査を受ける方も多いと思います。これも…… なかなかの痛さです。正直なところ、もう二度とやりたくありませんね。

上記とは別の身体的負担として、治療に伴う薬からくる「不調」があります。

採卵時のような瞬間的激痛はありませんが、一日中だるい、異常なほど眠たい、精神的に霧がかかったような感覚、のような状態が数日、長ければ月の3分の2ほど続くことがあります。

私は、この「不調」の方が数倍、辛かったです。

なぜでしょうか?

採卵の痛みは確かに辛いものです。注射だって、こんなにもブスブス刺す生活なんて、普通の人の生活では考えられません。

しかし、その痛みは「その日に我慢すれば明日にはないもの」なのです。

一方で、服用する薬(飲み薬、注射含む)からくる「不調」は、何日も続くものです。

不妊治療に関する薬って、そのほとんどがホルモンに関するものです。しかも、種類を変えながら月の半分以上、何かしらの薬を毎日、飲み続けなければなりません。

そして、風邪のように「治ったら服用しなくてよい」なんてこともありません。決まった日数分、すべて飲み続けなければなりません。

その間、下記のような症状がずっと続くことがあります。

・生理中のような身体のだるさ、精神的な重さがずっと続く
・お腹が張る
・鬱っぽい症状が続く
・なんだか悲しくなる
・朝が起きられない
・夜しっかりと寝ているのに、昼間に我慢できないぐらいの眠気に襲われる

私はすべて経験しました。
正直なところ、不妊治療の薬なんて一つひとつはそれほどきついものではないし、日常生活には影響ないレベルだろうし大丈夫だろうと思っていました。

が、調子が悪い日があれだけ続くと、「こんなにもしんどいものなんのか」と、ある種の敗北を認めざるを得ませんでした。

考えてみれば当たり前ですよね。

採卵のために卵を育てる薬(クロミッドが代表的)によって、本来であれば毎月1個しか育たない卵を、薬の作用で無理やり5倍、10倍、多いときは20倍の量を強制的に育て上げるのですから。

女性の身体にとってはすさまじい圧力になるはずです。
そりゃ、他の部分にもさまざまな影響が出てきますよ。

これ、「なんとか乗り切れるだろう」と甘く見ていると、メンタルがじわじわ蝕まれてきます。
自分では気がつかないうちにかなりのストレスになってくるので、注意が必要です。

やはり、体調が悪いと人間、しんどいものです……。しかもそれが続くとなると、想像以上に辛いものです。これは経験してみないとわからないと思います。

百歩譲って、自分が調子悪いだけだとまだましかもしれません。

薬の影響とはいえ、精神的になんともいえない気持ちの沈みがあり、夫にあたってしまうことも徐々に増えていきました。

そしてその後、自己嫌悪に陥るという悪循環。

悪気はないとはいえ、夫も人間。しっかりフォローしてくれる人であったとしても、このような状況が長く続いてしまうと疲れてしまうのも事実です。これで夫婦の関係が悪化してしまい、不妊治療自体を継続できなくなるという結果になる夫婦も少なからず存在します。

ですので、私はこの部分にしっかりとした対策を打つことをお勧めします。
薬を飲むのは女性側のみ。だからこそ、女性側が「起こりうること」を事前に理解して手を打つべきだと声を大にしてお伝えしたいです。

では、具体的にどのような行動をすればよいのでしょうか。

答えは非常に簡単です。

まず、クリニックに対して、不調が出た際にすぐに相談することです。そして、同じ効果がある薬でも異なるメーカーのものに変えてもらえるか否か、最低限の必要日数を残して、処方数自体を減らしてもらえないかを相談するということです。

同時に、夫に対して、「このような薬を○日間、服用している」「それによってこのような副作用が出ている」ということを普段からしっかりと共有しておくこと、合わせて「最近、調子が悪い」「気分が沈む」「今日、日中に異常な眠気があって1時間横になってしまった」と、リアルタイムで伝えることが大事です。

私が実際にやってよかったと思うことを、もう少し具体的にお伝えしますね。

今まで大きな病気をしたことがなかった私は、これだけ「薬漬け」になった経験ももちろんありませんでした。

「高度不妊治療って、薬が多いな。でも、まあなんとかなるでしょう」
これが当初の感想でした。

その後、薬を飲む回数が急激に増えてからじわじわと調子が悪くなってきたのですが、そのような経験も過去になかったため、「気分的なものだろう」と思っていました。

でも……、やはり徐々にしんどくなってくるのです。

上に書いたような症状が毎日、入れ替わりでやってきて、毎日がなんだか「ずっと曇り」のような状態が続くようになりました。

ホルモンの薬って、ある意味で本当にすごいなと、少し恐ろしくもなりました。

かといって、自己判断で減らしたり止めたりすることもできません。当たり前ですよね、卵も育たなくなりますし、ウン十万円の治療が無駄になってしまう可能性もあります。とにかく我慢の日々です。

そんな日々を3周期ほど繰り返した頃、採卵後に処方されるピル(私が通院していたクリニックでは残留卵胞の発生を回避するために処方されていました)が、どうしても合わないということがわかってきました。

人によって影響を受けやすい薬はさまざまだと思いますが、私はとにかくこのピルが苦手で、どうしても鬱っぽくなってしまうというか、眠気もすごいし、とにかく辛く、いつしか飲むのが怖くなっていました。

そこでクリニックに相談。

服用しない場合のデメリットについて説明を受け、納得したうえで「一度やめてみる」ことに。正直、帰りの駅までの道で飛び上がって喜んだことを憶えています。結果、いつもの不調は出てきませんでした。気持ち的にも非常に楽でした。

しかし、やはり少し影響が出てきてしまいました。
次の周期で残留卵胞がいくつかできてしまい、診察を通してクリニックの先生も「うーん」という感じ。やはり、デメリットもあります。それは致し方ないこと。

もう1つの選択肢として、薬のメーカーを変えてみてはどうかという提案がありました。

私が通院していたクリニックでは、ピルについては2種類の取り扱いがありました。そして相談の結果、今まで飲んでいたものとは別の種類(製造メーカーが異なるもの)を服用することに。

不思議なものですが、そのメーカーのものは不調を感じることが非常に少なく、眠気はたまに感じるものの、自分でも嫌になるほど鬱っぽくなったり、気持ちが重たくなったりすることがなくなりました。

同じ効果の薬でも、成分が多少異なることにより身体への影響も違うと説明を受けました。どちらがよい、悪いという問題ではなく、その薬が自分に合う、合わないってあるのだなと、初めて感じました。

そして、このような日々の小さな経験、感じたことはリアルタイムで夫と共有していました。

そして、どのような薬をいつ飲んでいるかを可視化して(一覧にして)冷蔵庫に貼っていました。
服用している薬が多いので、自分で忘れないようにということもありますが、実際にこれだけの薬を毎日(毎食後)飲んでいるということを、しっかりと共有することも私は大事だと思っています。

薬を飲むのも、服用時間を管理するのも女性側の仕事です。「私はこれだけ薬漬けなのよ!」なんてアピールする必要はありませんが、しっかりと可視化しないと、男性側もそりゃわかりませんよ。

いつ、どれだけの薬を、どの程度の期間、飲み続けないといけないか。薬ってとてもとても小さなものですが、それが及ぼす影響は驚くほど大きいです。

このようなことを普段から話しておくことで、薬の影響で疲れ果てたとき、「1周期だけお休みしたい」と夫と相談しやすくなるというメリットもあります。

以上とまとめると、自身の「体調」を守るために、クリニックへの働きかけ、夫への働きかけを自分からやる意識を普段から持っておくことが何よりも大切です。

そうすることによって、普段は当たり前すぎて気がつかない宝物である「体調」を、できるだけよい状態でつなぎ止めることができます。

ぜひ、ご自身の体調に重きを置きつつ治療を進めてください。

この部分、わかりやすく目に見えるわけでもなく、人によっても異なる部分なので、あなたご自身で主体的に意識を向けることは本当に大切なことですよ。

次回も、不妊治療に直結する内容についてつづっていきます。

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