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カスタムギター〝Uguisu〟が完成した

 <エレキギターに興味のある方向け。悪しからず>
 最近、このnoteに限らず、自ら発信/アピールすることが億劫になってしまっている。
 承認欲求/自己顕示欲が減衰している?
 ――そうなのかも知れないなぁ‥‥。
 がしかし、これはUpしておきたい!
 (この件には承認欲求が働いているッ!?)

 今年2024年年始『2024年にやりたいこと』という記事をUpした。
 その中で〝ギターの練習〟を掲げている。残念ながら練習自体はさほど捗っていないが、このとき記した〝自分の思いを反映したカスタムギターが欲しい〟は今年2024年中に実現した。

 実は2023年の暮れごろから動きはじめていた。
 東京都江戸川区のギター工房『Trafzck Guitar Services』に話を持ち込んだのが2023年の暮れ。仕様をかためて正式にオーダーしたのが2024年1月。
 部材材集からはじまって、ギターヘッドに入れるロゴのデザインなども行い、2024年11月下旬に完成した。

 こちら ↓ が完成したMy-Guitar。――命名〝Uguisu〟。

 まず設計のコンセプトとして、以下3点あった。
 <1> 低音弦はタイトに、高音弦はメロウに鳴ってほしい
 <2> 色いろな音色を出したい
 <3> なんちゃってテレキャスター

 ということで、一見フェンダー・テレキャスタ―のようなフォルムだが、細かな仕様が異なる。

 まず、弦長スケールが異なる。
 フェンダーで採用されているロングスケール(25・1/2インチ=647.7mm)ではなく、P.R.S.で採用されている25インチ=635mm仕様。
 それに合わせてボディも少し縮めてあり、フェンダー・テレキャスタ―のボディ形状と完全イコールではない。

 材は――
 ボディ・バック;マホガニー
 ボディ・トップ;ゼブラウッド
 ネック;ローステッドメイプル
 指板;同上(貼メイプル)

 特にこだわったのが、PUピックアップとその配置、そしてこれらの回路circuitである。

 まず、ギターに詳しい人ならば一目で気がつくかも知れない、リアPUの逆スラント(傾き)だ。

 コンセプト<1>の〝低音弦はタイトに、高音弦はメロウに〟を実現させるための仕様である。
 ジミ・ヘンドリックスのストラトキャスターとか、ジャック・E・リーのストラトのフロント、センターPUとか。自分の記憶では、高崎晃のギターにもシングルコイルPUを逆スラントでマウントしたものがあったような‥‥。
 自分が、ギターをカスタムオーダーしようと決めたのはこの点で、こういう仕様のテレキャスターが販売されていないから、しょうがない造ってしまおう――となったわけである。フェンダーカスタムショップでも、左利き用テレキャスターのオーダーは受け付けているけれど、逆スラント仕様のオーダーは受け付けていないと思われる。
 PU自体はセイモア・ダンカン「STK-T2b」。スタックタイプでノイズレス。ネットでの評判が良さげで、気になっていたものだ。

 フロントPUが曲者クセモノだ。
 コンセプト<2>〝色いろな音色を出したい〟を実現すべくチョイスした。
こちらもセイモア・ダンカン製。「TBPR-1b」P-Rails Trembucker。

 YouTubeで観てから気になっていた。
 レールシングルPUとP-90タイプPUが並んでマウントされていて、それぞれ単独の音に加えて、二つを直列にしたり並列にしたり、自由な組み合わせが可能だ。

 その〝自由な組み合わせ〟を引き受けるのがネック寄りのトグルスイッチ。英国ブランド〝Free-Way switch〟の6way仕様トグルスイッチだ。最近、ヌーノ・ベッテンコートのWashburn製テレキャスターに搭載されて、広く知られるようになったかと。
 (声を大にして言っておくが、ヌーノのテレキャスターが紹介される前に〝Uguisu〟の仕様は決まっていたから!)
 6wayの配線/組み合わせは以下。
 Position1:レールシングル単独
 Position2:レールシングル・P-90並列【正相】
 Position3:P-90タイプ単独
 Position4:レールシングル・P-90直列【逆相:レールが逆】
 Position5:レールシングル・P-90並列【逆相:レールが逆】
 Position6:レールシングル・P-90直列【正相】
 リアPUの位相はP-90タイプと合わせてある。
 ちなみに、もうひとつのトグルスイッチは一般的なフロント/リアPU切換えの3wayスイッチである。

 上記バリエーションに加えて、直列配線のPosition4,6に効いてくるP-90のコイルタップバランサーを設けた。
 YouTubeでP-Rails Trembuckerを観たとき、直列(ハムバッキング仕様)の音が〝ちょっとクセ強〟に聞こえたからだ。
 〝コイルタップバランサー〟とはあまり聞き馴染みのない言葉かも知れない。昔、Greco製の「Boogie」に搭載されていたもので、シングルPUふたつを直列接続するときに一方のPUの混ざり具合を加減するものである。この回路により、シングルコイルPUからハムバッキングPUへとシームレスに音色変化をコントロールすることができる。
 〝Uguisu〟にはこのコイルタップバランサーを――〝シームレスに音色変化〟という点は敢えて退しりぞけ――トリマ(半固定抵抗)にし「リミッター」としてボディ背面のパネルに設けた。
 「リミッター」なので常時半固定抵抗を噛ます仕様とし、トーンのぶを引くと半固定抵抗が切り離される仕組みになっている(「リミッター」解除スイッチ)。

 これは偶然なのだが、〝Uguisu〟が完成して工房『Trafzck Guitar Services』に引取りに行ったときに、P-90の出力が想定以上に高いことが判明。リアPUとの音量バランスをとるのにも苦慮する状態であった。そこをPUに裏当てしたあるウレタンの配置/形状を変えたり、P-90のネジ式になっているポールピースを下げるなどして、なんとか調整した。この時、高出力のP-90に半固定抵抗がぶら下がっていて良かったなぁ、と思ったわけである。
 ハムバッキング仕様にするとリアPU「STK-T2b」より高出力になるようで、そうなると「リミッター」はP-90側に掛けるのが良策だ。
 最初からここまで計算できていたわけではなくて、まったくの偶然であったが、結果、「リミッター」設置、大正解。

 ここで名前〝Uguisu〟の由来をギター工房『Trafzck Guitar Services』さんへ送ったメールを抜粋し、開陳しよう。

-> マル_発信 >=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

あと‥‥、戯れ言、少々お付き合い下さい。
昨日、散歩中にこのギターの名前を思いつきました。
「ウグイス」です。
グリーンサンバーストのイメージからか? うぐいす色サンバーストではないですが。
散歩中に思ったのは、ウグイスの声音がカラフルで、それがこのギターの特徴とマッチしているなぁ、と。
このギターはフロントPUだけで8種、それとリアPUとのミックスでもう8種、あとリアのみの音、計17種の音色が出せます。カラフルなウグイスの声音です。リアの音も普通のシングルコイルリアのそれとは違うはずで、特徴的な声音のウグイスのイメージにつながります。
そう思うと、先に作ってあったグリーンサンバーストのイメージもウグイスっぽく見えてきました。
それにそれに、全体の軽量感、シンライン的造作、ちょっと短いミディアムスケール、それらも小鳥のイメージで、ウグイスっぽいかも‥‥です。
(「ウグイス」、英語では「Warbler」、ちょっと勇ましいイメージか?)

色いろ考えを巡らせるうちに、――「トラフズク」さんに「ウグイス」を造っていただく――、その構図がおかしくて、(鳥つながり?)散歩しながら苦笑してしまいました。
「ウグイス」は「トラフズク」さんが造ってこそ、本当の「ウグイス」になるような気がします。

で、「ウグイス」のイメージから追加のリクエストがひとつあります。
ヘッドの黒い突起、〝くちばし〟のイメージから、とどこかで聞いた気がします。ウグイスのくちばしのイメージである(実際はちょっと違うのですが)山吹色に塗っていただきと思います。

戯れ言、すみません。

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=< メール抜粋_以上 <-

 閑話休題。仕様の話にもどる。

 実は、トーン回路も旧来の仕様とは変えてあって、「Greasebucket Tone Circuit」なる回路を採用している。
 フェンダー社によるとこの回路の効能は――〝トーンを下げていくと、低音を強調することなく高音を抑えます。これにより、トーンが濁ることがなくなり、きらめくクリーントーンと優れたオーバードライブサウンドも作成できます〟――とのことなのだが、聴いたところ今一つな感じ(もう少し下品に効いてもらった方が使いやすい?)。コンデンサの容量とか今後微調整したくなるかも。

 ヴォリュームは通常仕様。
 なので、回路全般に関する解説は以上となる。

 他、一般的なテレキャスターと異なる点として、ボディのチャンバード加工が上げられる。
 センターブロックすら排し、ボディ・バックのマホガニーを大胆にくり抜いている。
 自分がこだわった点は、くり抜かれた空間が全てつながっていて、ひとつの大きな空洞として機能すること。
 対して『Trafzck Guitar Services』さん指摘の心配もあった。くり抜く量が多すぎてトップ材が反ってしまうとか、全体的な剛性が弱くなるとか、である。
 この点をカバーするため、全面をくり抜かずに一部を〝島〟として残すことにした。完成時fホールの上下に位置することになる部分を楕円形に残し〝島〟としている。
 ここまでくり抜くと、セミソリッドではなく、まさにセミアコスティック。(しかし、バック材マホガニーの密度があるのか、想像したほど軽量にはなっていない)

 あとはヘッドのテンションピン。(タイトル上の写真をご参照のこと)
 1,2弦のみ、しかも4,3弦ペグのあいだ辺りに配置し、一般的なテレキャスター、ストラトキャスターと比較するとローテンションな仕様になっている。
 しかも、テンションピンにはヘッド木材面との接地箇所と樽型駒の間にそれぞれナイロンワッシャを挿してあり、(効果はほとんど無いかもだが)さらなるローテンションを狙っている。
 ここもコンセプト<1>〝低音弦はタイトに、高音弦はメロウに〟につながるポイントである。
 余談であるが、先出のジミ・ヘンドリックスのストラトキャスターは右利き用ストラトを左利きで使っているのでヘッドもリバースになっている。結果6弦側がローテンションとなり、ピックUP逆スラントによる音色変化が相殺されているとの考察がある。

 その他、細かな点として極太Uシェイプのネック形状とか、『Freedom Custom Guitar Research』のWARM仕様ステンレスフレットとか、fホールの形状とか、トップ材ゼブラウッドの木目を協調するためピックガード無しにしたとか、はたまた自らデザインした〝Uguisu〟ロゴとか‥‥、こだわり箇所はまだまだあるが、この辺でやめておこう。

 以上。
 〝こんなテレキャスターできました〟という報告でもあった。
 実にケシカラン!
 ゆるせん!
 ――と「テレキャスター警察」に捕まるかも‥‥。覚悟します!

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