ろびいちゃん
下の人にだけ見えてたろびいちゃん。
いつ頃からか、ひとり遊びしてる時はいつもろびいちゃんと一緒だった(ようだ)。
「きょうはろびいちゃんが来てるから、ろびいちゃんとあそぶ」
何も無い空間に私が座ろうとすると
「あーちゃん(子どもたちが小さい頃は私をあーちゃんと呼んでた)、そころびいちゃんいるから座らないでね」
とよく言われたものだ。
上の人が幼稚園に行って退屈な時はいつも、ろびいちゃんと遊ぶか絵を描いていた下の人。
小学校に入っても、まだろびいちゃんはいた(ようだ)。
相変わらず下の人と遊んでくれていた(ようだ)。
でも小学3年生頃から、ろびいちゃんの名前を口にしなくなり、上の人と遊んだり友達と遊ぶようになった。
ろびいちゃんはきっと大きくなった下の人から、ろびいちゃんを待ってる次のお友達のところへ行ったのだろう。
下の人に限らず見えないお友達がいるお子さんは少なくない。
「怖い!」「変なこと言わないの!」
大人はそう思うかもしれないけれど、その時期に必要な大事な大人には見えない大事なお友達だから、あなたのお子さんにもそんなお友達がいたらそっと見守っていてあげて欲しい。
見えないお友達は子どもたちが大きくなるとそっと別れていってしまう。
それまで心に寄り添ってくれて子どもたちの世界を何かしらで満たしてくれているのだから。
ちなみに言うと、下の人が想像力や妄想力豊かかと言われると、まったくそんなことは無い。
絵が上手なクラスで割と頼りになり、割と誰とでも仲良くする普通の人に成長している。
「割と」と書いたのは、家では相変わらず甘ったれで上の人任せ母任せの末っ子丸出しだから。
ろびいちゃんはきっと別のお友達のところで、今日も一緒に遊んでいるのだろうなぁ。
あの頃下の人と遊んでくれてありがとね、ろびいちゃん。