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FGOについての調べ物用メモ 4 イベント

FGOの「イベント」について

※このノートはFGOをプレイする時間のない人が内容を把握するための記事となります。(果たしてマーケティング的にここまで知っておく必要も余りないとおもいますが)ネタバレ要素を多分に含みますので、これからプレイして楽しもうという人は閲覧をお控えください

どうもこんにちは。無事に先週末に第二部第二章をクリアしました。
このFGO関連の紹介ノートもおそらく今回が最後です。

諸事情(つまり書ききれない)で日本系サーヴァントがメインとなるイベントにのみ絞らせていただきます。ざっと集計したら過去に30個以上開催されていましたので……

  イベントとは
  鬼哭酔夢魔京 羅生門
  天魔御伽草子 鬼ヶ島
  節分酒宴絵巻 鬼楽百重塔
  葛飾北斎体験クエスト
  ** ここまでで解ること **
  オール・ザ・ステイツメン!〜マンガで分かる合衆国開拓史〜
  ** 今後はどうなる? **      

  余禄
  おわりに

イベントとは

 FGOに限らず、スマホ向けソーシャルゲームのほとんどに「イベント」と呼ばれる期間限定クエストが時折開催されます。ついでにクエスト、クエストと無定義でここまで書いてきましたが一連のnoteでは(FGOについては)「ストーリーパートと戦闘ゲームの組み合わせ」くらいの定義で書いております。

 FGOについて言えば、期間限定クエスト(以下イベント)は以下のような利点があり、ユーザーも必死にストーリー進行と周回(アイテムを一定数集めるために同じクエストを何度も繰り返す行為=周回)を行います。
期間限定サーヴァントの配布(有料ガチャではなく、期間内に一定条件までクリアすれば誰でも入手できる。それなりに慣れていれば無料でも取れる)※全てのイベントで配布されるわけではない。
・普段手に入りにくいアイテムが簡単に手に入る

では過去のイベントの概説に入ります。
文体が変わりますがあしからず。

※以下のイベントについてはこちらにまとめてあります。
ぐだぐだ本能寺
ぐだぐだ明治維新
ぐだぐだ帝都聖杯奇譚

鬼哭酔夢魔京 羅生門

 2016年5月(および復刻が2017年5月)開催
FGO史上2度目の「高難易度イベント」で、当時実装されていた最新章、第一部第五章までをクリアしたユーザーのみ参加可能だった。
 特筆事項としては、事前に東京メトロ新宿三丁目駅構内の地下通路に長大なポスターを貼り、その上から無料配布シール(袋入り)を貼り付け。数百枚の配布シールをファンが取りきると下から「サーヴァント・茨木童子を討伐せよ」というイベント内容と茨木童子のイラストが出てくる仕様。新宿三丁目はFGO以外の様々なコンテンツでもよくデコレーションされて利用される。

登場サーヴァント
★4 茨木童子(現在は通年でガチャ入手は可能)
★5 酒呑童子(期間限定ガチャのみ。復刻ガチャでしか入手不可)
※★は男性モデル→女性化サーヴァント

 このとき酒呑童子や茨木童子は話題にはなったが、書籍などが大幅に売れた、という現象はなかった(個人の観測範囲ですが)。
 まだ開始一年でFGOも第一部が完結しておらず、ユーザーも現在に比べると少ない、ということで注目も薄かった可能性がある。
 筆者は触媒(ガチャの験担ぎ)で北条氏綱関連の書籍を並べたら2回引いただけで酒呑童子が出ました(ただの偶然ですが、霊験あらたかな湯山学先生著「北条氏綱と戦国関東争奪戦」このイベントの直前2016/4/30に発売されていたのであります)
 ※氏綱はサントリー美術館蔵の酒呑童子絵巻を作成させていたエピソードから。酒呑童子の出るガチャが復刻する場合の触媒(験担ぎ)には良いかもしれません。

天魔御伽草子 鬼ヶ島

  2016年7月開催(2017年6月に復刻)
 こちらは高難易度ではなく全員参加可能なイベントとなる。
登場サーヴァント
 ☆4 坂田金時[ライダー] クリア後配布
 ☆3 風魔小太郎
 ★4 茨木童子(再登場だがここでガチャ入手可能となった)
 ★5 酒呑童子(再び限定ガチャで入手可能)
 ★5 源頼光
 ※★は男性モデル→女性化サーヴァント

 茨木童子、酒呑童子に引き続き、源頼光がまさかの女性化。日本系サーヴァントについてはストーリーが優先され、考証は二の次である場合が多い。(岡田以蔵は割と例外の域なのではないか)
 特に風魔小太郎は軍記物(北条五代記)を出典としているとしながら(身長や外見は五代記と異なると明記しつつも)、北条氏直ではなく北条氏綱に仕えた、とプロフィールにある。明らかに「早雲の軍配者」でのみ見受けられる設定で一部ファンからも指摘がある。
 やはり個人的観測範囲で関連書籍が売れた、というような話題はなかった

節分酒宴絵巻 鬼楽百重塔

2018年1月開催。現時点で復刻はない。
2017年10月に登場したアーチャー・インフェルノ(真名:巴御前)をメインにした節分関連イベント。第一部のクリアが参加条件となっており、また、イベントの独自ルールなどもあり、比較的難しいイベント。観測範囲ではやはり書籍などに大きな影響はなかった
登場サーヴァント
 ☆4 巴御前
 ☆5 坂田金時[バーサーカー](再び限定ガチャで入手可能)
 ★4 茨木童子(再登場だがここでガチャ入手可能となった)
 ★5 酒呑童子(再び限定ガチャで入手可能)
 ★5 源頼光(再び限定ガチャで入手可能)

葛飾北斎体験クエスト

 2018年1月、前触れもなく唐突に開催。★5 葛飾北斎が実装された。娘の葛飾応為(作中ではお栄さん)に、(クトゥルフ神話の旧神と何らかの接触を果たした)父・北斎が憑依……という形か。小説「北斎と応為」を思わせる設定で、2018年1月の美術館展示や各種イベントとのコラボの側面が強い。もともと人気の高い北斎で特にFGO効果という騒がれ方はしなかった模様。
 ※個人的にはFGOには珍しく浮世絵などについての考証も良心的で、直前に配信された1.5部 異端なるセイレムの続編とも言える内容。期間限定クエストなのは惜しいレベル。美少女としての実装も娘・応為が父の遺蹟を継ぐ、というような設定で、ストーリーを読むとなかなか頷ける。
 ただし過去の安易な女性化が祟ってか『江戸時代から男性キャラクターの性転換は人気の題材でした』という解説付きで太田記念美術館に関連浮世絵を紹介されてしまった。

ここまでで解るのは・・・

・FGOに登場している、というだけで大きく話題になるサーヴァントは意外と少ない
・FGO開始2年目くらいまでは書籍に大きく影響したのは柏書房さんの「歴メシ!」くらいで、特定のサーヴァントだから、というよりはSNS上での書店や出版社の潜在的なファンへの働きかけがきっかけ。
・FGOオリジナルのイベントであるよりは、Fateのほかのシリーズとのコラボになると注目度が非常に高くなる(帝都聖杯奇譚など)

 どうしてもストーリー本編に登場するサーヴァントについては、各章それぞれ登場サーヴァント数が多く、一人ひとりが埋もれやすい。
(ストーリー各章の登場サーヴァント数を確認すると分かりやすい)

 たとえばビリー・ザ・キッドは白水社の「ビリー・ザ・キッド 全仕事」が爆発的に売れた、という話はない(一瞬Amazonランキングで1位になったらしいが、すぐにサリンジャーに取って代わられた)
 自費出版の「ビリー・ザ・キッド 真実の生涯」はSNS上で600冊の申し込みがあったものの98冊にとどまった(オンデマンド版でなければ大変な損害になった可能性も。ちなみに昨今の復刊騒動で訳者がサリエーリ騒動に言及したことで知名度が上がり、7/23→24の1日で252冊までのびたとのこと)

ここで、日本のサーヴァントではないが、「人気のある他コンテンツとのコラボ」で書籍の売り上げに大きく関わった例として、ちくま文庫「巨人ポール・バニヤン」が売れたイベントを紹介。

オール・ザ・ステイツメン!〜マンガで分かる合衆国開拓史〜

 正確に言えば「他コンテンツ」ではなく「FGOを元にした漫画」である「マンガで分かる!Fate Grand/Order」とのコラボイベント。単行本の発売に合わせて2017年8月に開催(2017年7月末に復刻)。
 このイベントをクリアすると★1 バニヤンが配布される。
通常のサーヴァントと異なり、元々上記漫画で人気の有ったキャラクターであること、また、イベント内で登場する新規サーヴァント数が少なく、シナリオ内で主役としてバニヤンがクローズアップされた、などの特徴がある。

(これは書籍の売り上げに関わるのか判断は付かないのだが、ゲーム上で初心者にも扱いやすい、解りやすい性能をしていると人気も出やすいのではないか……という気はしている。バニヤンも岡田以蔵もレアリティが☆1や☆3と低い割に、かなり扱いやすい、端的に言うと強いと言われやすい)

 結果としてちくま文庫「巨人ポール・バニヤン」はヒット。重版に至った。2017年でゲームも3年目でユーザー数の裾野がかなり広がっていたことも大きいと見られる。

岡田以蔵の場合だと以下の要因が該当している。
・「人気Fate作品とのコラボ」(コハエース)
・「登場サーヴァント数が少なくストーリー中で目立つ」
・的確な時期でのSNS上での公式広報による宣伝

 これに加えて「正伝 岡田以蔵」の以蔵像が解りやすく、コハエースやイベントシナリオの以蔵とも親和性が高いと思われ、初期購入者のポジティブな感想の口コミも大きかったように見受けられる。

今後の可能性(安倍晴明など)

 「ストーリーに登場していながら、ガチャには出ていない未実装サーヴァントについては実装時に大きな話題になる場合がある。

 現時点では「蘆屋道満」とされたキャラクター(作中では「キャスター・リンボ」と仮名でしか名乗っていない)がそれに該当する。
このキャラクターは第2部内での再登場が予告されている。
 また、このキャラクター(蘆屋道満?とされ、晴明を詐称した)の実装に伴い、「安倍晴明」も高レアで実装される可能性が指摘されている。ただし晴明については現時点で明確な予告はない。

 晴明については扱いが小さい、ということはあまりなさそうではある。が。既に第二部に出てきている☆5サーヴァント、アナスタシア、ナポレオン、北欧神話のシグルドで特に関連書籍が大きく動いた、という実績はないので(北欧は書籍販売側のアピール不足の可能性は指摘されている)慎重に対応したほうが良さそうではある。

おわりに

 この辺りで口調を戻します。ここまでお読みいただきありがとうございました。あらためて過去の章やイベントを振り返ると単に「FGOに登場する」だけではヒットしないことが明確になりました。結果的には様々な要因があると思いますが、「正伝 岡田以蔵」は良い本だったから売れた、これに尽きると思います。
 単にFGOだから、ということでしたら、イベントは6月中に終わっていますし、もう触媒!と言って画面の前に本を供えても以蔵はガチャから出てきません。ゲームを超えた評価が広まったのだと思います。

 世の中には「一次史料からなんて示しても、一般の読者には解りはしないだろう」どころか、一次史料の存在にすら触れないテレビ製作者、著者がたくさんいます。
 適当にごまかされた情報ではがゆい思いをし続けた自分にとって、初めて「ウソ偽りのない」明確な出典の示された本が、たまたま手に取った「図説 太田道灌」でした。
 以降、日本史専攻でも学術関係者でもない、興味だけの自分に多くの本を提供してくださった「本当にいいもの」を出す出版社さんの「本当に良い本」がこうして多くの人に読まれたことは我が事のように嬉しく思っております。

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