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学振デザインガチ勢を目指す:UDフォント編
つい先ほどDC1を書き終えました。
申請者は、日本学術振興会特別研究員(DC)の申請書のデザインを強化する能力に優れています。
申請書のデザインは、読み手となる審査員の可読性を向上させるほか、心証を良くする効果を有しています。
特に、内容面での負荷が高まりやすい学説・理論研究において、デザイン面での工夫は不可欠です。
ゆえに、本ノートは、申請者が用いたデザイン面での工夫を、備忘録的にまとめます。
ここでの工夫が審査に与える影響は、天命の知るところです。
1. 最高のフォントに変えよう
MS明朝は最悪です。ある人には、学振を審査するような老人にはMS明朝が最も読み慣れた書体であるとか意味不明なことを言われましたが、遠視と乱視を持つ私にとって、この自体はとにかく可読性が低いです。私でも近くを見るための中近両用の眼鏡をかけて、目を凝らしながら書類を読まないといけないので、およそ老眼をお持ちであろう審査員の先生方におかれましては、遠近両用の眼鏡をわざわざ取りに行かせるなんて手間をかけてはいけません。
MS明朝 + MSゴシック(太字)というダサいフォントのコンビネーションにかかれば、ユルゲン・ハーバーマスくんの申請書もこんな感じになってしまいます。内容はでたらめです。
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読みにくい
1.1. UDフォントを使おう
それでは最高のフォントは何か。それは、UDフォントです。ユニバーサル・デザインが考慮されたフォントによって、弱視や読字障害を持つ人でも比較的読みやすい文章を執筆することができます。MS明朝を「普通の書体」と呼ぶ人はたぶん差別に加担しています。あるいは、どんな人が審査員の面々に含まれているかに対する想像力が欠如しています。申請者は、インクルーシヴな研究者を目指しています。
※フォント変更の可否について
作成要領19ページをご覧ください。
「なお、フォントの種類、行間の高さ等、それ以外の設定に関する規定はありません。」
出典:令和7(2025)年度採用分特別研究員申請書作成要領(PD)
UDフォントのなかでも学振の申請書で使いやすいのは、モリサワ社が提供しているMORISAWA BIZ UDフォントでしょう。明朝体からゴシック体、教科書体まで様々な種類があります。また、嬉しいことに無償版があります。私は教科書体も好きなのですが、読み手によってはその見慣れなさに拒絶反応を示すようなので、「BIZ UD明朝」を使うのがよいでしょう。
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読みやすい
1.2. UDPフォントを使おう
また、モリサワのBIZ UDシリーズには、通常のフォント(UD)の他に「プロポーショナルフォント」(UDP)の用意があります。通常のフォントが文字の一つ一つに同じ字幅を与えるのに対して、プロポーショナルフォントとは、漢字、ひらがな・カタカナ、英数にそれぞれ異なる字幅を割り当てており、より自然で読みやすい文章を作ることができます。つまり、可読性の向上が期待できます。
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もっと読みやすい
お気づきかと思いますが、ひらがな・カタカナや英数の字幅が小さくなるので、フォントのサイズを変更していないのにも関わらず、文字を圧縮することができます。とにかくページ数が足りない学振ではこんなに嬉しいことはありません。実際、この申請書でも新たに4行錬成することができました。
1.3. フォントを買おう
さて、だいぶ文章の可読性が向上してきましたが、一つ問題が浮上します。MS明朝のときは、MS明朝の太字があまり映えないことから太字部分のみMSゴシックを使うのがセオリーですが、UDP明朝の場合も太字の強調が見にくいのです。かといって、太字部分にUDPゴシックを使えばよいのかというと、フォントの統一感が損なわれて申請書として美しくありません。太字がだめならアンダーラインを引けばいいじゃない!という人もいるようですが、折角の行間を線で埋め尽くしてしまう蛮行に、私は微塵も美学を感じられません。ユニバーサルデザインかつ明朝体によって、太字による強調を用いながら人に優しい美しい申請書を書くことは、人類の叶わぬ夢にすぎないのでしょうか。
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なんかちがう
これらを解決してくれるのが、MORISAWA BIZ+というフォントセットに収録されている「BIZ UD黎ミン」です。このフォントは、①ユニバーサルデザインであり、②明朝体であり、③太さの異なる5つのフォントを使うことができるのです。
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フォントの太さを変えることくらいWordの機能でできることも知らんのか!という人は、Bのボタンがただ細字フォントの輪郭を太くしているにすぎないことをご存じないようです。それに対してBIZ UD黎ミンは、そもそも異なる太さにあわせてフォントが設計されているため、「龘」のような画数の多い漢字でも綺麗に表示することができます。
それよりも学振の申請書で嬉しいのは、上記の最も太いフォントであるHeavyを使えば、通常のフォントと比べてかなり目に付くかたちで、しかしフォントの一体感を損なうことなく、申請書を書くことができる点です。これを用いると、次のようになります。
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最高のフォント
このフォント、有償フォントです。「BIZ UDP明朝」のシリーズは無償で使うことができますが、太さの異なるバリエーションフォントは存在しません。一方で、「BIZ UD黎ミン」を収録しているMORISAWA BIZ+のフォントセットは、様々な字体のUDフォントを様々な太さで用いることができます。ただ問題は有償なのです。修士院生はお金が欲しいから学振を書くのです。有償というのは大問題ですね。
とはいえ、お値段は、1ヵ月プランが330円(1年間プラン3,960円)です。しかし学振を書くときだけ買えばいいので、実質330円です。一日くらい昼食を学食のラーメン(650円)から、カレー(320円)に代えればこのくらい捻出できます。ね、そんな高くないでしょ?
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1.4. おさらい
それでは、最後に見やすくなったユルゲン・ハーバーマスくんの学振書類を見てみましょう。
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ね、読みやすいでしょう。誤差じゃないです。何より頭に入ってきやすいフォントと、そうでないフォントがあるということが、学振の申請書ではとても重要なことだと思います。わずかな違いではありますが、藁にも縋る思い。330円の課金、おすすめです。私は買いました。
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おわりに
いかがでしたか?
続いて行間や文字の大きさ、色使いなどについての様々な工夫を書いてみようと思いましたが、330円のもとをとるという目的はここまでで達成されてしまったので、続きはまた今度書き足していこうかと思います。
今回はフォントまで。合否については善行を積んで天命を待とうと思います。
みなさんも良い工夫があったら色々と教えてください。