墓場までもっていける幸せの4つの因子

普通であれば、幸せの因子の中に「自己実現」などが入ってくるが、前野隆司さん(幸福学研究所)は違う。彼が見つけた幸せの4因子は—「ありがとう」「ありのままで」「なんとかなる」「やってみよう」(日経新聞2022年4月14日夕刊)―。今の自分、将来(認知症や障害者になったとき)の自分、他者の幸福度を量ろうとする時など、ぴったりな指標だと感じた。(なぜこの4つなのか、という問いは横に置き、)幸せの4つの因子で量ると、幸せが見えてくる!以下掘り下げてみたい。

 「ありがとう」は、自分が生かされていることへの感謝、生かしてくれる環境や人やものへの感謝だと捉えてみる。感謝で満たされることで、自分と他者の命そのものへの祝福につながっていく。

「ありのままで」は、自分を卑下せず、飾りもしない「1分の1の自分」を受け入れること、そして、こころと身体の「ありのまま」を意識し、「今このとき」受け入れること。

「何とかなる」は、赤ん坊のときから大切に育てられた人に備わっているBasic Trust。大きなものに守られている感覚は、神に委ねる祈りにも似ている。

「やってみよう」は、一言目を発する勇気であり、一歩目を踏み出す勇気を表す言葉である。その背中を押す言葉が「ありがとう」「ありのままで」「何とかなる」・・・。そして例え一言目が否定され、一歩目がうまくいかなくても、迂回路がきっとある、自分が生きる道がきっとあるという信頼を表す言葉でもある。

 今の自分だけではなく、将来もし認知症や障害をもつようになったとしても、ベッドで動けなくなったとしても、前野さんの「幸せの4つの因子」で自分を量れば、例え死ぬ間際であっても「幸せだ」といえるのではないか、と思っている。


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