人生の終わりまで生き続けるのに必要な4つのこと
受け入れ続けること、動き続けること、人と会うことを喜びとすること、求められること・・・介護を通して父の人生を感じ、父から教わったことである。
①5年ほど前、父は医者からいつ死ぬことがあってもおかしくありません、そのときは天寿を全うしたと思ってください、といわれた。それを受け入れ淡々と生きてきた。母はそれに寄り添う形で2人で生活をしてきた。その母が事故で入院すると、いままでほとんど家から出なかった生活は老人ホームのロングステイに変わった。「そうしないとみんなが困るから」と受け入れた。
②身につけた習慣によって動き続けること・・・朝定時に起きて顔を洗い、新聞を読む。それから食事をし、30分後に5種類ほどの朝の薬をのむ。今日のスケジュールを聞く・・・これらは何かの拍子に崩れてしまうと、もはや取り戻せない年齢である。動き続ける習慣を守るのが介護。
③車椅子を押していると近所の知り合いに会う。手を上げてご挨拶。一寸したお出かけのときも並べた洋服から一番いいものを選ぶ。会う人全て、タクシーの運転手さんにも笑顔で挨拶し、お礼をいう。人と会うことが喜び。
④入院している母から父は、「また一緒に暮らすことが生き甲斐」といわれている。生きることを求められることも、生き続けるのに必要なことである。
父が生き続けるのに必要な優先順位は①→②→③→④。若い世代はおそらく④→③→②→①であろう。どんなに人から生きることを求められても、動きつづける習慣が崩れてしまったら、そして環境の変化を受け入れられなければ、死んでしまう。優先順位の逆転はわたしにとって新しい発見だった。