四幅、100mの五百羅漢図
村上隆の五百羅漢図展をみにいった(森美術館2016年3月6日まで)。国際的に最も高い評価を得ている現代美術家の一人、とある。羅漢たちは、市街地を焼き尽くす大火の中、大津波の中でも、宇宙空間でもアッケラカンとしている。そこにいるのにそこにいないような感じだ。問いかけられたり、託されたりして身体が重くなるようなことはない。五百羅漢に自らのつまらない感情を託してしまうと身が軽くなった。
私に何らかの関心をもってくれる人が、この瞬間この世に500人いる、と考えてみる。そして私も羅漢の一人になり、500人のひとと、その人につながる家族のことを考える、と想像してみる。不思議なことに、生きていることに感謝する気持ちが湧いてくる。村上隆にあるのは、写真の「欲望の炎—金」、祈りや救済、それらをひっくるめた世界の昇華にあるように思う。
この展覧会の隠れた秀逸はナビゲーター斎藤工の音声ガイドである。まるで村上隆をよく知っているともだちが一緒に歩いているよう。是非お試し下さい。(550円)