月見酒
スーパームーンの皆既月食の日。
ダンナは出勤し、子供は学校へ行き、久しぶりに朝からひとりになった。
ようやく、夕方まで自分だけのペースで暮らせる日がやって来た。夕食の支度だけ出来ていればいい。
溜まっていた雑事を片付けよう。
ということで、朝っぱらからアルコールを摂取した。
◇
景気づけの一杯! ではない。
酒好きだけれども、さすがに朝から呑んだりしない。
でも、休みの日なら、誰にも咎められることもないんだろうに、どうして呑まないんだろう?
昼間からビールを飲むのは、ひとりで十数人分のキャンプ飯を制作しているときくらい。……正直に言うと、そのときはほぼやけ酒みたいなものだ。
(キャンプについては山ほど語りたいことがあるので、いつか披露しようと思う。多分、ほとんど全部愚痴になるような気がする。ちなみに、一度書きかけたのだが、長くなりすぎて書いてる自分が飽きたので消した)
付け加えておくと、なんでも飲むけれど、ビールは好きではない。
◇
このタイミングを逃さずにやりたかったのは、梅酒の梅を取り出すこと。
梅酒の瓶を見るたびに、「梅が入ってるなー」と思うこと早数年。
この梅酒を漬けてから、多分十年近くが経っている。
一年後に取り出さなかった梅の実を、十年近く経った今取り出すことに意味があるのだろうか?
そして、梅を取り出したら、ついでにしたいことがあった。実は、ついでのほうが先で、梅を取り出すのがあとづけの理由だったりする。
◇
年に数度蓋を開けて、この瓶の梅酒を飲むのだけれど、毎回味に不満がある。もちろん漬けたのは自分である。十年前の私。
……甘味が足りない。あえて甘味の少ないレシピで作ったのは間違いないけど、もの足りない。いい加減、機嫌良く呑みたいので、思い切って砂糖を追加しようと思った。
そのために味見をした。ストレートで。
それが、朝っぱらからの飲酒である。
◇
果実酒瓶の赤い蓋を外した途端に、梅の甘い香りがする。美味しそう。
まず、ずーっと気になっていた梅を取り出す。この瓶の梅はふっくらしている。この前の年に作った梅酒(飲み切ったので、もうない)の梅は、皺々になっていた。……いい感じの梅だから、梅ジャムでも作ろうかな。
さて、本題の梅酒の味見をしよう。
ストレートで少し飲んでみると、かなり美味しい。熟成が進んでいる。素晴らしい。
……割らないでストレートで飲むなら、このままで十分好みの味だ。でも、割らないと度数が強い。
どうしようか……悩みながら、引きあげた梅も食べてみた。少々のえぐみというか苦味があるけど、甘味があって美味しい。美味しいけど、アルコール強い!
だめだ、ちょっとふわふわしてきた。
……ほろ酔いで気分が良くなったのも手伝い、色々どうでも良くなったので、適当に氷砂糖を投入しておいた。甘さ控えめで作ったんだから、少し増やしておけばいいだろう。
今日のお風呂上がりには、梅酒を呑むことに決めた。
スーパームーンの皆既月食を眺めながら呑むのだ。名案だ。
◇
天体ショーは、なかなか楽しかった。スーパームーンだったけれど、思っていたより月は赤くなくて、最大食でも、真っ暗にはならなかった。
回復後の満月
なんだかパワーに満ちている。満月だ! と実感する。
月読命のエネルギーでしょうか。
美しいものを見せていただいて、有難いなと思いました。
楽しい月見酒のひとときでした。