護ってもらってる、ので。
「動かない物事」を無理に動かそうとしたり、どうにもならないのに気にしてばかりいるよりも、ずっといい方法がある。
それが、「あと一個片付ける」。
ひとつずつ何かを片付けていった結果、本当に物事がスムースに進むようになるなあと、実感した。
不本意ながら、断りきれずに引き受けてしまった仕事があったのだ。
その仕事は、年末から断り続けていた。
理由は、新型コロナ対策。施設勤務のダンナを持つ私は、出来るだけ普段行かない場所には行かないし、人混みにも入らない。本当に、必要最小限の人間としか顔を合わせない生活を続けているのだ。
普段行かない場所で仕事をするので、お手入れの予約も最低二週間はお断りすることになる。本業に支障を出してまで家族への感染リスクを上げるなんて、意味がわからない。
他にも色々あり、もう、そことのお付き合いはしたくなかったのだけれど、取り次ぎをしてくださっている方が、どうしても私でなければと言ってくださる。
仕事で求められるのは、ありがたいし喜ぶべきところなのだけれど、そこの環境がどうにも私に合わない。一週間程度の短い期間だし、我慢できなくはないのだけれど、そのあとのダメージなどを含めて考えると、割に合わない仕事なのだ。
つまり、「感染リスクを上げないため」は、もちろん大切な理由なのだけれど、もうひとつも、平和な生活のために重要なんである。
……おそらくは、曰くのある場所にその仕事場がある。詳しく知りたくないので、調べたことはない。
おそらく、その会社の方々は知らないと思うし、知らせないつもりなので、それを理由に断るわけにもいかない。取り次ぎの方の猛プッシュに、諦めたのだ。
「少人数シフトなら」と。
もう、仕方がない。今回は諦めて働こう。
◇
で、六月最終日の七月六日、「あと一個」と思いながら頑張った。
その日は、例の換気扇工事があり、押入れの片付けをした。
色々やりきり、「今日は、新しい布団で眠れるぞ❤️」と思いながら夕食の支度をしていると、電話が鳴った。
取り次ぎさんからだ。
「はみちゃん〜、例のとこなんだけど、勤務形態変わって、離れじゃなくて、工場になったわ」
「……」
「あの狭いとこに十人くらいになるんだけど、大丈夫?」
「大丈夫じゃないです」
「……だよね」
「くれぐれも少人数シフトで」と、お願いしたのだ。密だなんて、ありえない。
その仕事は、立ち消えた。ラッキー。
運気を色々動かすには有効だな、「あと一個」。
◇
そして本日。本来なら、行くはずだった仕事の最終日。
実家のお墓の掃除にいきます。私の住んでいる地域は七月盆です。
嫌々、仕事のオファーを受けたとき、なんとなく心の中で、「この仕事行かなくて良くなったら、お盆の墓掃除に行こう」と思ったのだ。
今思うと、ズルい。私、ズルい。
これは、おじいちゃんに対する脅しである。
「お墓掃除に来て欲しかったら、なんとかこの仕事なくしてよ」と、同義である。
実は去年の八月盆に、ダンナの運転で用事を足していたのだけれど、何故か特に通る必要のないうちの実家のお墓がある霊園のそばを走ることになった。
「……実家の仏壇お参りしてきたけど……これ、呼ばれてね?」
ということになり、慌てて水と仏花とお菓子を買い、お墓参りをした。重ねて言うが、我が家は七月盆である。……さみしかったのか。
その後、視えるひとと会う機会があったので、「いやー、お盆らしいお盆だったわ。墓に呼ばれた」と話したところ、笑われた。
「おじいちゃんが、はみや、それはおまえの仕事だから、って言ってるよ」
「ハゲてますか」
「うん。ハゲてる」
……おじいちゃんだわ……。ていうか、あのお墓、おじいちゃんとおばあちゃんしか入ってないけども。
嫁に出た孫に、「おまえの仕事」と言われましても。
とは思ったんだけど、そう言われてしまうと気になるので、春のお彼岸には墓掃除をして、お参りをした。(秋のお彼岸は、前述の仕事が入って行けなかった)
で、今回の出来事が、これ。
……本当に、いろんな意味で行きたくなかったんだ……。ありがとうおじいちゃん。
約束だからね。行くわ、お墓掃除。
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