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防具・指輪2

一年ほど前から、指輪を愛用している。

仕事柄、指輪は邪魔になるので、結婚指輪もそうそうに外してしまった私が。
(お察しの通り、結婚指輪はもう入らなくなってしまった)

「この指輪はお守りになる」と直感して以来、ほぼ毎日嵌めていたのだけれど、さすがに私のお守りの役目を果たすのはブラック企業さながらだったのか、一年と少しが過ぎた頃、石が取れた。
ひとりリビングでお茶を飲んでいると、かすかなカツーンという音がして、床を見たら赤いスワロビーズが落ちていた。拾いあげたところ、ビーズなのに穴が空いておらず、「はて? どこから落ちた何?」と小皿に置いておいた。後に指輪から赤い石が消えているのを見て、「あれか!」となった次第。

とにもかくにも、お守りである。
なくなったら困るので、製作者に連絡して修理していただいた。指輪は復活したが、「今後は指輪を交代制にしよう」と思った。しかし、なかなかこれといったものが見つからなかった。

最近ようやく気に入ったものに出会えて、自分への誕生日プレゼントに購入。かなり奮発した。
これで、私・指輪1・指輪2、みんなで仲良くやっていけるだろう。


そんなある日。

私は、指輪2を供に連れ、視えちゃう人に会っていた。
何があったわけでもなく、ただ一緒に茶を飲んでいた。

と、彼女が私の手元を凝視しているではないか。

…………。

これは、なんか視てる。と思い、視線が外れるのを待って、「何視てるんですか?」と訊ねると、「指輪に剣が入っているね」と。

「それって何? 石に入ってるの?」

「そうそう。悪いモノを切ってくれるんだろうね」

「……お守り的な?」

「うん」

ブラボー、私っ!

仲良くしようね。指輪2。

さらに詳しく聞いたところ、この剣は石が切り出された時に入ったものではなく、私が身につけているうちに入ったものらしい。
こういう性質のものは、出たり入ったりするというので、一生私のところにいてくれるものでもないらしい。

……出来るだけ長く、とどまっておくれ。


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