見出し画像

伊藤正夫の歯ミング噛ミング 静岡編一話インフルエンザ


 わたしは、歯科インプラントの手術を行う口腔外科医ですから、題字はハミングとカミングに掛けています。歯のこと喰うこと生活のこと、旅の中で楽しく語っていこうと思います。

 静岡編では、静岡県にゆかりの人や出来事や土地を取り上げて、お話をします。もしよろしければ、YouTubeでも同じ内容を動画にしていますのでご覧ください。今日のタイトルは「インフルエンザ」です。

 夫婦であれ、恋人同士であれパートナーがインフルエンザや肺炎にかかったりすると、断然それはロマンスから現実的な話になり、少しでも距離を置きたいと思うわけです。このようなウイルスの侵入経路は鼻や口です。だから昨日まではいやだったマスクを急につけたりして、なんとなく微妙な感じになりますね。
 
 菊池寛という古い小説家で、文芸春秋社を興した人の小説に、「マスク」というタイトルがあります。頑健な身体つきの主人公なんですが、実はお医者さんから、どうやら心臓病らしいと宣告されます。そして当時流行っていたのが、スペイン風邪というインフルエンザでした。
 
 そのシーンはこんなふうです。
「貴君なんかも、用心をしないと、いつコロリと行くかも知れませんよ。第一喧嘩なんかをして興奮しては駄目ですよ。熱病も禁物ですね。チフスや流行性感冒に罹って、四十度位の熱が三四日も続けばもう助かりっこはありませんね」と言われ震え上がってしまいます。
 
 主人公はもうマスクが片時も離せなくなり、街でマスクの人を見ると同志のように感じるのですが、気候が暖かくなりもういいだろうとマスクをしなくなったのです。人々もあまりマスクをしなくなりました。そんな時に、突然同じ方向へ行く人が、黒い鴉天狗からすてんぐのようなマスクしていたのです。はじめ主人公は鴉天狗からすてんぐに何か妖怪じみた薄気味悪さを感じたのです。しかし歩くうち次第に、その人が決然とマスクを離さない生き方に、感動すら覚えるようになったというお話です。 

 マスクは、コロナ以後微妙なアイテムになりましたが、人それぞれの感じ方があるようです。
 
 インフルエンザの予防には、ワクチンやマスクも大事でしょうが、口腔粘膜を良い状態に保っていただくことも大切です。わたしもうがいをします。いちばんよくうがいをするのは、歯磨きの後です。歯を磨く時歯に付着したデンタルプラークが口の中に浮遊します。この時唾液中の細菌濃度は、磨く前より高くなります。小説の主人公は過酸化水素水でうがいをしておりましたが、現代では良いうがい液があります。高価ではないので、そういうものをお使いになられたらと思います。口の中の細菌とウイルス感染の間に混合的な因果があるとも言われています。是非うがいをなさってください。

 わたしはインプラントを専門にしておりますので、悩みごとや相談をお受けします。静岡では、敬天堂歯科医院に参ります折にお話を伺おうと思います。それではどうかお元気で、ごきげんよう。

いいなと思ったら応援しよう!