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「曲がり角」を曲がった先には〜
以前勤めていたワインバーのマスターが勇退されることになり、歴代のスタッフが集まり、マスターのお疲れ様会を行った。
私は仕事を辞めて2年になるが、その間、一度もお店に顔を出さなかった。
久しぶりに座ったお店のカウンターはとても懐かしく、マスターやお世話になったスタッフと話すごとに、自分がここで働いていた貴重な時間を思い出す。
ワインの美味しさ、奥深さ、そしてワインバーで過ごす時間の愉しさを教えてもらったのがこのお店だった。
当時、私はただのお客として通っていた。ワインバーで働いた経験もなく、知識もないただの呑助だった私に、週に一度、お店で働いてみないかと声をかけてもらった。
そこから、私の人生は大きく動く。
いつも通っていたお店なのに、カウンターから見える景色は全く違っていた。
お客様との距離がとても近く感じられ、私は見られる立場に立ったことに戸惑い、自分の至らなさを痛感して、一つずつ慣れていくことに、マスター、お客様に、ただただ見守ってもらっていた。
お店を離れた今、カウンターから見たあの景色は貴重だったと、改めて思う。
普通の主婦だった私が、自ら動いた訳ではないが、色んなご縁が重なり、想像していなかった場所へと導かれた。
人生は自分の手で創るものという考え方がある一方、私は人生は川の流れのように、導かれていくものだとも感じている。
そして今日、以前に働いていた、もう一つの飲食店の方から連絡があり、キッチンスタッフとして働かないかと、突然声をかけて頂いた。
飲食店の仕事を辞めて2年以上が経つ。ブランクのある私に何かお店のために出来ることはあるのだろうか、使いものになるのだろうか、不安要素は沢山ある。
けれども、今回も導かれてみようと思う。
次はどんな景色に出会えるのだろうか。
曲がり角を曲がった先には…。