「連絡先、教えてください」
夜も深けた頃、合コンは二次会へと発展していた。
ところで、私は困っていた。
彼(以下、堀越氏とします)がめちゃくちゃ見てくる。
まずい、これは多分アレだ。「チョット、気ニナル」というやつだ。
堀越氏が好みだったらーー!
残念なことに、堀越氏は私の好みではなかった。(ごめん)
しかし、人間的には良い印象の堀越氏。何より緊張している堀越氏に素気無くすることも出来ないビビリな私は、ふつーに堀越氏と楽しく談笑していた。
席替えにより堀越氏は私の左隣に座っているので、熱心に私に話しかけてくれる。
「休みの日は何してますか?」
「映画とか観とるよ」
「どんなのが好きです?」
「古いやつやと『風と共に去りぬ』とか…」
「あ、僕も好きです」
「あの古い映画見る同年代、初めて見つけたよ!?え!?誰が好き!?」
おっと、うっかり盛り上がってしまった。
ここらへんで私の中の“長期プラン思考の私”が語りかけてくる。
『ーー堀越氏は確かに好みじゃないかもしれない。
でも、ばっちゃが言ってたじゃない。
「最初はじいちゃんのこと好きじゃなかったけど、一緒におるうちに、あの優しさが好きになったん♡うふふ♡」
って。
恋は一瞬、愛は永遠よ。
堀越氏は安定した会社に勤めてるし、結婚したら安心して子育て出来るかもしれない。
これはチャンスなのよ!』
“長期プラン思考の私”に誘惑され、堀越氏のお顔をじっくり見てみる。
………うん、好みじゃない。生理的に無理ってほどではないけど、デート中に手でも触られたら拒否反応が起こるレベルに好みじゃない。(ほんとごめん)
大学生の頃、好みじゃない人とデートした時に、手を触られて拒否ってしまった事を思い出す。その時の彼も、人間として嫌いなわけではなかった。なのに好きになれなかった。彼はとても傷ついたに違いない。
(ときめかん相手と恋愛関係には発展できんのかなぁ…。自分のモテ度とは関係なく…)
そんなことをつらつら考える私とは裏腹に、堀越氏は真剣な面持ちで、思い切ったように言った。
皆の目の前で。
「こんなに話が出来た女性は初めてです。連絡先、教えてください。」
( Д ) ゚ ゚
合コンって、グループLine作ってから気になる子にLineするものって聞いてたのに、違ったのか…!?
なんてド直球はなんだこの天然ーーー!
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