今までのネタおろしを振り返る
2021年12月27日の『勘蔵の死』をもって二つ目時代のネタおろしを終了します。
流石に真打までこれから残り3ヶ月しかないので、もうネタおろしは出来ません。
20と98
僕はEvernoteにネタ帳をつけています。前座時代が20席。二つ目時代が98席でした。というわけで真打になるまでに覚えたネタの数は、118席ということですね。
その内、すぐにやれって言われて出来るのが大体30席。1、2回さらって出来るのが30席、後は数日欲しい(ほぼ忘れてます)ネタという感じでしょうか。
ネタは覚えたから良いってもんでもないんですが、僕は新しい噺を覚えることでスキルアップすると考えているタイプで、苦しくても毎月ネタおろしを続けてきました。
ネタは長くても短くても、覚えやすさはその噺それぞれです。キャラクターの喋りが自分に合っている時はすぐに覚えます。逆に喋るのが窮屈だと感じている時はとても覚えるのが遅いです。
連続物
コロナになって円朝の連続物をやるようになりました。怪談噺というものに魅力を感じて、速記を漁って読んでいる時期がありました。
連続物は落語をやっているというより小説を読み聞かせているような感覚で、圓朝の速記は講談のような語り口です。
落語家は普段会話だけで話を進めていきますが、講談は逆、話が少なくて地が多い。だから覚えにくんですね。講談の方に訊いたら、あちらは地のとこはいいけど会話が覚えにくいそうです。我々とは逆なんですね。
前座噺
「前座の頃覚えたネタは忘れない」
と良く言いますが、なるほどそうですね。前座の頃ってネタ数が少なくて同じのばっかりやってますから刷り込まれるんですよね。
体力的にも働きまくって忙しい。だからクタクタのまま高座に上がってやるから、新しい噺を覚えるのがなかなか進まない。だけどそうやって身体で覚えた噺はすごく覚えています。
『子ほめ』『牛ほめ』『道灌』『たらちね』
不動の前座噺四天王です。
トリネタ
トリネタも僕は多く覚えました。独演会の度にメインに据えるネタとして覚えて来たので、独演会の数だけトリネタがあります。
寄席以外の場所だと二つ目の高座は割と時間を与えられることが多く、そんな時に良くやっておりました。
『明烏』『寝床』『崇徳院』『茶の湯』『片棒』『芝浜』『文七元結』『幾代餅』『甲府い』『妾馬』
恐れ多くもやらせてもらってます。
中間管理職なネタ
今後の課題として挙げられるのが、「気の利いたネタを増やすこと」ですかね。
前座噺でもない、トリネタでもない、「ちょうど良いネタ」。
なかなか難しいですが、つまり寄席で真ん中くらいに上がった時にポッと出来るネタって事ですね。僕はこれを中間管理職と呼んでます。
時間も伸び縮みが自由に出来ると尚良いですね。寄席は持ち時間が日々変わりますから、この辺りのネタを真打になったらもっと増やしたいと思っています。