ネタ選び
落語家にとってかなり重要なことが「ネタ選び」です。お客さんのウケ具合を左右するのがまずこのネタ選びです。
ネタを考えていく上で必要な情報は色々あるんですけど、ざっと言えばこんな感じです。
初めて聴く人が多いかどうか、年齢層はどうか、子供はいるか、男女比率はどうか、常連さんばっかりか、などなど噺家によってその必要とする材料は色々あると思います。
全員に共通して言えるのは最初の「初めて聴く人が多いかどうか?」でしょうかね。多い場合はわかりやすい噺を選択します。わかりやすい噺も人によって考え方があるんで、自分で思うわかりやすい噺です。
男女比率も大事です。艶っぽい(エロい)噺は男女どっちかに偏っている時はあまりやりません。特に男性ばっかりがいる時にそういう噺に入ると男子校の部室みたいになるのでやらないです(笑)
実際はなってないんですけど、僕が勝手にそう思っているのでやらないです。
お客さんが少ない時もネタが限られます。たくさん入ってればなんでも出来ますが、例えばつばなれしてない時(十人未満の時)は、大騒ぎする噺はみんな避けるんじゃないでしょうか。「湯屋番」「片棒」「祇園祭り」等、わっと騒ぐものはお客さんがある程度入ってないとウケないです。漫談系もですね。漫談は笑わせるが前提なので、お客さんが少ないと一人一人の責任が重くなってお客さんの負担が増えます。
子供が居るか否かですが、これはたくさんいなければあまり気にしませんね。一人いるから「じゃあ明烏はやめとこう」とかは思わないと思います。流石に学校寄席で廓噺はやりませんが。客席に一人いるくらいなら気にせずやります。
ただ、とてもよく知っているお客さんがお子さんを連れて来たとなったら、今度は一転してその子に合わせてネタをやったりする可能性はあります。子供にでもわかるネタをやるわけです。結果、その子だけ笑って他の大人は笑わなかったという経験もあります。
僕みたいに古典落語を主にやる噺家は古典の中で悩んでますけど、古典も新作もやる方はまずそこで悩むみたいですね。新作落語はお客さんを選ぶことが結構あるので、まずそもそも新作か古典かでだいぶ変わってくるという事だと思います。なので、新作古典両方やる方は特にこのネタの選球眼が優れている気がします。
ただ。
ネタ選びももちろん大事ですけど、一番大事なのはどんなネタを選んでも笑わせる力をつける事ですね。これさえあればどんなネタでも大丈夫になります。まあ当たり前のことですけどね。
そんな腕を身につけたい今日この頃です。