第四回 ハヤシにのって ご来場御礼
池袋演芸場での独演会「ハヤシにのって」、無事に開催することができました。会のギリギリまで予約が伸びずかなりヒヤヒヤしましたが、蓋を開ければ当日かなり入ってくださったおかげで、お客様にも盛会で良かったと言って頂きました。
考えてみれば前売りも当日も同じ値段なので、当日で良っか?と考えるのも当然でしょうね。
さて、今回はゲストに柳家小団治師匠をお招きして、色物の岡大介くんにもあがってもらいました。独演会は普段わたしの会に通ってくださるお客様もいますが、ここぞとこの会に運んでくださる慣れない方もいらっしゃるので、色物ゲストが入るととても全体が和やかになります。
昨日の番組を振り返ると。
一、ご挨拶 はな平
一、初天神 歌きち
一、七段目 はな平
一、ぜんざい公社 小団治
仲入り
一、カンカラ三味線 岡大介
一、淀五郎 はな平
池袋演芸場を借りてやる場合は落語協会を通じてやっているため、お囃子さんや前座さんはこちらが選ぶというわけではなく、たまたまその日配属された方にやってもらう形になります。
前座さんに関していうと、私も寄席に行くまで誰がその日配属されているか知りません。というわけで昨日上がったのはたまたま歌きちさんというわけで、かわいらしい初天神をやってくれました^_^
七段目
この噺は二つ目になって割とすぐに覚えた噺で、実際は20分くらいあるんですが、私のは本編だけで13分くらいです。NHK新人落語大賞にこのネタで挑戦した際に縮まりました。
ところどころ自分のくすぐりを加えていますが、この噺は歌舞伎を知らない人にもわかってもらえるように、あまり芝居のシーンを深く掘り下げないようにバカバカしくやっています。
昨日はとてもよく笑っていただけました。
ぜんざい公社
小団治師匠のぜんざい公社は学生の頃から何度も伺ってますが、やっぱり楽しいですねえ。公社という響きがもはや古典落語みたいですが、役所でたらい回しに会う状況って今でも普通にありますから、そのエッセンスは現在かもしれません。
いつかお呼びしなければと思いながら長らく来てしまいました。小団治師匠にはやっと少し恩返しが出来た気がします。ほんの少しですけど。
カンカラ三味線
明治とか大正の演歌だそうです。なのでどの音楽系の色物さんとも付かない(かぶらない)ですね。
寄席の色物として本当にこれから期待出来る方だと思います。とてもやりやすい状況を作ってくださいました。
淀五郎
さて、淀五郎です。噺にはやるタイミングがあると思っていて、特に人情噺はその人の人生が乗っかる気がしているので、そういう意味でも真打になって少し経った今のタイミングはこの噺とマッチしていたと思います。
鹿芝居を5年ほどやったこととか、人にお稽古をつけるようになったとか、普段から自分の子供に振り回されているとかw
色々な要素がこの噺に活きたのではないかと考えています。
特に前半の、淀五郎が市川団蔵に詰め寄るところ。なぜダメなのか、どうしてですか?と聞くシーンはとてもその気持ちがわかるんです。正に自分が二ツ目時代にずーっと感じていたことなので。なんで受けないのか、良い落語はどうやったら出来るのか?と今でももちろん思いますが、当時はこのことが頭をグルグルグルグルしていたので、それと全く同じなんですよね。
淀五郎の苦悩がよく分かる。
市川団蔵も中村仲蔵も考えている先っぽは一緒で、淀五郎の才能を見抜いていてるが、教え方が明と暗。全く違います。
そしてこの噺の最も大事なポイントだと思うのが、団蔵と仲蔵がお互いを認め合っていること。
それが分かるのが最後の団蔵のセリフに現れています。
「こらあ、こいつ一人の知恵じゃねえなあ…そうか。仲蔵だな…」
この「仲蔵だな」がこの噺の中で一番好きなセリフです。この仲蔵だなで、二人の関係、バックボーンがサーっと背景として出て来て、お客様に想像してもらえたら、「淀五郎」という噺はさらに良くなる気がしています。
淀五郎のラストの「待ちかねた」ももちろん良いんですが、やっぱり僕はこの団蔵と仲蔵の関係性に奥行きが見えるんですよね。
まだまだ最近やり始めた噺なのでこれからどんどん磨いて行きたいと思っております。
改めまして、ご来場頂きありがとうございました☆
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