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普通じゃないから歩く旅〜納沙布岬〜
普通の人が常識的にできることはできないけど、普通の人にできないことは得意、、やと思う。
2015年9月 佐多岬(鹿児島県南大隅町)
2016年3月 宗谷岬(北海道稚内市)
2015年の8月から9月にかけて京都から鹿児島県の佐多岬まで徒歩で踏破し、その翌年の2016年3月に京都から鈍行列車で宗谷岬を訪れました。本土四極へのチャレンジが9年弱止まっていましたが、2024年12月28日に本土最東端の納沙布岬を目指しました。
何かと歩きたがる自分です。現住居の名古屋から根室駅までは飛行機と電車を乗り継ぎましたが、根室駅から歩きで根室半島50kmを一周しての納沙布岬到達の記録です。なんであえて歩くのか、そういう記事を書きたく思います。
①移動 名古屋〜根室
名古屋からセントレアまで名鉄30分、セントレアから新千歳空港まで飛行機2時間。北海道に着いてからが長いので、新千歳空港では飛行機からJR乗り継ぎが25分ほどでタイトでしたが、飛行機で急病人が出て降機が遅れ、更に手荷物返却に時間がかかったため予約していた特急に間に合わず、さっそく計画が崩れて新千歳空港で3時間暇つぶしです。
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一旦ラーメンを挟みました。
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南千歳から釧路まで特急おおぞらで3時間半、釧路からは特急がないので鈍行列車2時間半、根室へ着いたのは19時過ぎでした。
②日本で一番早い朝
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5時半に根室市内のホテルを出発し、東から上ってくる朝日に向かっていく感じで最東端を目指しました。日本一早い朝日の美しさは心に沁みましたが、後から調べてみれば元日の前後10日間ぐらいは緯度の関係で千葉県の犬吠埼が日本で一番早いそうです。感動を返せやと思いました。
③根室半島〜道東太平洋〜
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根室半島の南側にあたる道東太平洋に沿って納沙布岬を目指します。途中の歯舞(はごまい)にあるセイコーマートが根室半島唯一のコンビニです。南側から根室半島を一周する場合、ここが最後のコンビニになります。
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北海道は広いというイメージは誰しもが持っていると思います。面積が広いことは地図見れば分かりますが、今いる空間と景色の広さまで五感で感じるにはその場所に立った方が良い。30坪の土地を何千万円で取り合う都市部に比べ、土地を持て余している感覚すらこの地方には感じます。
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根室市街から歩くこと5時間でオーロラタワーが見えてきました。根室は北海道内では比較的暖かく、凍結や残雪はあるものの、思っていたより積雪もないので雪道をザクザク進まなければならないということはありませんでした。
④納沙布岬
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午前11時、納沙布岬に到着。佐多岬と宗谷岬に続いて本土四極もこれで3つ目、残すところは長崎県の神崎鼻のみとなりました。本土四極を達成したら次は日本最端も行きたいところですが、南鳥島、沖ノ鳥島は到達不可能地なので、現状では日本最端四極をコンプリートすることはできません。
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北方領土まで一望できると言われるオーロラタワーは2020年から経営悪化とコロナ禍で休館。廃墟のような佇まいですが、営業再開の計画はあるそうです。
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花咲蟹をご飯に乗せてかきこむという贅沢な食べ方。50kmも歩くとカロリー消費が多いのでエネルギーの足しにならんとかあまり言ってはいけませんが、北海道来て蟹を食べられて満足です。実家の両親に花咲蟹を買い、納沙布岬を出発してすぐに配送トラックが走り去って行きました。
⑤根室半島〜根室海峡〜
根室半島北側(根室海峡側)は南側と変わって民家が少なく、店舗や自動販売機はありません。更に北から吹いてくる強風を凌ごうにも屋内がないので避難もできず、道路脇に防風壁があるにはありますが、全く風を防げていません。
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エネルギー不足で立ちくらみがしてきたのがこの辺りです。
朝食べた卵うどんが300kcalぐらい、昼に食べたかにめしとてっぽう汁をざっくりカロリー計算すると600kcalぐらい。日常であれば良い食事ですが、50km歩くとカロリー消費量3,000kcalにもなるので、エネルギーが足りていません。普段なら神経質かってぐらいマクロ計算してカロリーを抑えていますが、動く日は逆に食べた方が良いでしょう。
登山家はカロリーメイトやプロテインバーを持っていくと聞きますが、平地であっても長距離ならエネルギーは必要です。
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長距離を歩く際はクロックスで行くのが自分の拘り。京都〜鹿児島、岡山〜鳥取、名古屋〜滋賀など長距離を歩く際は必ずクロックス。通風性が高く、脱ぎやすいメリットはあるものの、そもそも海遊びや近くのコンビニとか行くために作られた物であって、長い距離を歩くために作られた靴ではありません。まして冬季の雪国で履くために作られた靴では断じてないです。
それでも拘るところは変に拘るのは自分の特性ですが、その性格が生き辛さを生み出しています。
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午後になってからは真っ直ぐ歩けないほどの強風と寒さに苦しめられることになりました。また最近では長距離を歩くと起きる激しい膝の痛みが切実な悩みとなっており、夕方ぐらいから膝の痛みも加わって苦行が始まりました。
あまりに辛かったので北方原生花園に放し飼いされている馬に一頭乗って根室の町まで帰ろうかと思ったぐらいです。
しかしそんな辛さの中で眺めた夕暮れは、早く街へ戻らないと暗闇になる焦りと、絶景に対する感動が混じった複雑な感覚がありました。厳しさの中から思考と感動を見出すところはもはや仏道の領域やなと思います。
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18時頃に根室の町へ辿り着き、セイコーマートで北海道産フライドポテトを貪り食い、銭湯の湯に浸かって主に膝を休めました。後は40分ほど歩けばホテルへ到着。日の出前に始まり、日没後に根室半島一周50kmを完結しました。
⑥普通じゃないからできる旅
徒歩、自転車の旅を「自力の旅」と呼んでいて、自分の体力と筋力を使わないと進めないからです。自分の場合、車や鉄道、飛行機のみで移動する「他力の旅」だと記憶にあまり残らないです。記憶と経験にはしんどい目に遭うことが重要だとひねた考え方を持っています。
普通の人にできることができない自分は嫌いですが、普通の人にはできないことがやれる自分まで嫌いだとは思いません。自分自身はADHDなのかASDなのか未だはっきり分かりませんし、恐らくどっちもだと思いますが、そういう特性の人の方がここに書いた「自力の旅」は向いてます。
計画性と想像力が乏しいのが特徴でしょと言われれば確かにそうですし、クロックスを履いて0℃以下の地域を歩いたらどうなるかいまいち想像できないから苦行みたいになるわけです。ただ特定の行動にとんでもない集中力と発想力を発揮できるからこんな旅ができるのです。
発達障害と大括りにされるものは脳の病だとよく言われますが、生きにくさはあるものの、天才的な力を発揮できる可能性もあります。だからと言って開き直るわけではなく、仕事と社会で生きていく上で人より努力する必要もあります。そういうことで悩み続けた2024年でしたが、この旅での気付きのおかげで少しだけ光が差したようにも思ってます。
「しんどいことをした方が記憶と経験に残る」
なぜあえて歩くのかの結論はそこで締め括りとさせていただきます。