中学生時代 3

テニスコート脇にマンホールを見つけた僕は
さり気なく観察。蓋には小さな穴が10個くらいある。指がギリギリ入る大きさだ。

僕はこの中に入りたくて仕方なかった。
というのも、昔、漫画で魔太郎が来るというのがあって、その中の話でマンホールの中に住むという話があったのだ。子供心にそれはとんでもないロマンだった。

靴紐を直すふりをしてマンホールの穴に指を入れてみる。持ち上げようと力を込めるが全く歯が立たない。
(今日は無理だな)
僕は真面目に球拾いをし、下校。
その際、学校敷地外からグラウンドを観察。
テニスコートを眺めるように学校周囲を歩いてみた。すると、大きめなドブ川の側壁に大きな穴が。位置的、角度的に間違いなくあのマンホールと繋がっていると確信した。

明くる日、放課後、僕はすぐさま体操服に着替えて、部活、、、ではなく、あのドブ川に向かった
人が居ない事を確認し、四つん這いになり横穴に侵入したのだ。

何のために? 今でもわからない。
とにかくあのマンホールの下に行きたかったのだ
約束を破った顧問に対するアンチテーゼだったのかもしれない。それにしても異常だ。狂気だ。
だがそれがいい。

穴の中は真っ暗。だんだん怖くなってきた
20分くらい進んだ。意外にしんどいぞ。
重大な事に気付いた。
Uターン出来ない。
そんなスペースに余地はないのだ。

前方に小さな光が見えてきた。
マンホールの穴だ!
遂に到達した。
耳を澄ますとテニスボールを打つ音が聞こえる。
顧問の声も聞こえる。

さて、どうしよう。
そこは何も考えてなかった。

穴から指出してみた。

ぎゃあ!!!と悲鳴

「みんな!下がれ!」顧問の声がした。
やばい。
マンホールの蓋が開けられ、引き摺り出された。
「何やってんだおまえ!!!」
体力の限界だった僕は大の字になり
空を眺めていた。

その後、親まで呼び出されこっぴどく叱られた
何度も言うが
ほんとに何を考えていたのか我ながらさっぱりわからない。。。

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