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【企業経営理論#9】企業の外部環境(マクロ環境・ミクロ環境)

企業の外部環境

序論

企業を経営していく上で、周囲の状況を把握することは非常に重要です。

周りの状況を把握することを 経営環境分析 といい、企業を取り巻く様々な要因を分析することで、企業の現状を理解し、将来の戦略を立てるために役立ちます。

経営環境分析については、次回以降、何回かに分けて基本的なフレームワークについてまとめていくとして、

今回は、” 企業の外部環境分析(マクロ環境・ミクロ環境)”についてです。





マクロ環境・ミクロ環境

企業の外部環境は、大きく マクロ環境ミクロ環境 に分けられます。

マクロ環境 とは、社会全体に影響を与える要因で、個々の企業がコントローすることは難しい要素です。
一方、ミクロ環境 は、特定の業界や企業・個人に直接影響を与える要因で、企業努力などによってある程度コントロールできる要素を含みます。

これらの環境を分析することで、企業は 機会 と 脅威 を把握し、効果的な戦略を策定することができます。





マクロ環境

マクロ環境は、PEST分析のフレームワークを用いて分析されることが多いです。

  • Politics(政治)

    • 政治体制、政党、政府の政策、法規制、国際関係、法律の改正、政治的な安定性など

  • Economy(経済)

    • 経済成長率、景気動向、金利、為替レート、インフレ率、失業率、消費支出、投資動向など

  • Society(社会)

    • 人口動態(人口増加率、年齢構成、世帯構造など)、ライフスタイル、価値観、文化、社会トレンド、教育レベル、健康意識、環境意識など

  • Technology(技術)

    • 技術革新、IT、AI、IoT、バイオテクノロジー、新素材、エネルギー技術、研究開発動向、特許、インフラ整備など

マクロ環境(PEST)





ミクロ環境

ミクロ環境は、 3C分析 のフレームワークを用いて分析されることが多いです。

  • Customer(顧客)

    • 顧客ニーズ、購買行動、顧客セグメント、市場規模、市場成長率、顧客満足度、ブランドロイヤルティなど

  • Competitor(競合)

    • 競合企業の数、競合企業の規模、競合企業の戦略、競合企業の強みと弱み、市場シェア、価格競争、製品差別化など

  • Company(自社)

    • 自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)、組織能力、強みと弱み、ブランドイメージ、企業文化、技術力、財務状況など

ミクロ環境(3C)





マクロ環境とミクロ環境の関係

マクロ環境とミクロ環境は、 相互に影響 し合っています。

例えば、

  • 経済状況が悪化すると、消費者の購買意欲が減退し、市場規模が縮小する可能性がある。

  • 技術革新が起こると、新しい製品やサービスが登場し、競争が激化する可能性がある。

  • 社会の価値観が変わると、顧客ニーズや購買行動が変化する可能性がある。

など。

マクロ環境とミクロ環境の関係の例





環境分析の重要性

環境分析は、戦略策定の基礎となる重要なプロセスであり、
企業は、マクロ環境とミクロ環境を継続的に分析し、変化を予測することで、 機会を捉え、脅威に対応することができます。

<環境分析のポイント>

  • 客観的な視点:感情や主観を排除し、客観的なデータや情報に基づいて分析を行う。

  • 多様な情報源:さまざまな情報源(統計データ、業界レポート、ニュース記事、顧客の声など)を活用する。

  • 将来予測:過去のデータだけでなく、将来のトレンドを予測する。

  • 戦略との連携:環境分析の結果を、戦略策定に活かす。





まとめ

今回は、マクロ環境・ミクロ環境について、簡潔にまとめてみました。
次回からは、マクロ環境分析・ミクロ環境分析について、数回に分けてまとめていきます。

マクロ環境分析

  • PEST分析/PESTLE分析/STEEP分析

ミクロ環境分析

  • 3C分析

  • 5フォース分析

その他

  • SWOT分析





復習問題

問題1:穴埋め問題

  1. 企業の外部環境は、大きく( ① )と( ② )に分けられる。

  2. マクロ環境は、個々の企業が( ③ )することが難しい要素であり、
    ミクロ環境は、企業努力などによってある程度( ③ )できる要素を含みます。

  3. マクロ環境分析によく用いられるフレームワークは、( ④ )です。

  4. ミクロ環境分析によく用いられるフレームワークは、( ⑤ )です。

問題2:○×問題

  1. マクロ環境は、特定の業界や企業に直接影響を与える要因である。( ○ / × )

  2. ミクロ環境は、社会全体に影響を与える要因である。( ○ / × )

  3. PEST分析は、政治、経済、社会、技術の4つの要素から構成される。( ○ / × )

  4. 3C分析は、顧客、競合、協力会社の3つの要素から構成される。( ○ / × )

問題3:組み合わせ問題

次のマクロ環境の要素と、具体的な例を正しく結び付けてください。

問題4:記述問題

  1. マクロ環境とミクロ環境の違いを、具体的な例を挙げて説明してください。

  2. マクロ環境の変化が、ミクロ環境に与える影響について、具体的な例を挙げて説明してください。

問題5:多肢選択問題

以下のうち、ミクロ環境の要素に該当するものをすべて選びなさい。

a. 政治体制 b. 顧客ニーズ c. 競合企業の戦略 d. 技術革新 e. 自社の経営資源

問題6:記述問題

環境分析を行う際に注意すべき点を、3つ挙げてください。

問題7:穴埋め問題

  1. マクロ環境のPEST分析における「Politics」は、( ① )を指します。

  2. ミクロ環境の3C分析における「Customer」は、( ② )を指します。

問題8:正誤問題

  1. 環境分析は、将来の予測を行う必要はない。( ○ / × )

  2. 環境分析の結果は、戦略策定に活用すべきである。( ○ / × )

問題9:記述問題

ある企業が、新たに健康食品市場に参入することを検討しています。 この企業が、マクロ環境分析を行う際に、どのような点に注意すべきでしょうか? 具体的な例を挙げて説明してください。

問題10:記述問題

ある小売企業が、ミクロ環境分析を行う際に、どのような情報を収集すべきでしょうか? 具体的な例を挙げて説明してください。





解答

問題1

  1. ① マクロ環境 ② ミクロ環境

  2. ③ コントロール

  3. ④ PEST分析

  4. ⑤ 3C分析

問題2

  1. × マクロ環境は、社会全体に影響を与える要因である。

  2. × ミクロ環境は、特定の業界や企業に直接影響を与える要因である。

  3. × 3C分析は、顧客、競合、自社の3つの要素から構成される。

問題3

a - 3, b - 2, c - 1, d - 4

問題4

  1. マクロ環境は、社会全体に影響を与える要因(例:法規制、経済状況、社会トレンド)であるのに対し、ミクロ環境は、特定の業界や企業に直接影響を与える要因(例:顧客ニーズ、競合の戦略、自社の強み)である。

  2. 例:少子高齢化(マクロ環境)が進むと、高齢者向けの商品やサービスの需要が高まり(ミクロ環境)、企業は高齢者市場に参入する機会が生まれる。

問題5

b, c, e

問題6

  • 客観的な視点:感情や主観を排除し、客観的なデータや情報に基づいて分析を行う。

  • 多様な情報源:さまざまな情報源(統計データ、業界レポート、ニュース記事、顧客の声など)を活用する。

  • 将来予測:過去のデータだけでなく、将来のトレンドを予測する。

問題7

  1. ① 政治

  2. ② 顧客

問題8

  1. × 環境分析では、将来の予測を行う必要がある。

問題9

  • 社会(Society):健康志向の高まりや高齢化の進展など、健康食品市場に影響を与える社会的なトレンドを分析する。

    • 例:健康に関する意識調査、高齢者人口の推移

  • 技術(Technology):健康食品に関する新たな技術や研究開発動向を分析する。

    • 例:機能性食品の開発、栄養学の進歩

  • 経済(Economy):経済成長率や消費支出など、健康食品市場の成長に影響を与える経済状況を分析する。

    • 例:健康食品市場規模の推移、可処分所得の変化

  • 政治(Politics):健康食品に関する法規制や政策などを分析する。

    • 例:食品表示に関する法律、健康増進法

問題10

  • 顧客(Customer):顧客のニーズ、購買行動、ライフスタイルなどを分析する。

    • 例:顧客アンケート、購買履歴データ、顧客層分析

  • 競合(Competitor):競合企業の戦略、強み、弱み、価格設定などを分析する。

    • 例:競合企業のウェブサイト、商品カタログ、ニュース記事、市場シェアデータ

  • 自社(Company):自社の強み、弱み、ブランドイメージ、商品ラインナップなどを分析する。

    • 例:売上データ、顧客満足度調査、従業員アンケート

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