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【企業経営理論】リーダーシップの特性理論
リーダーシップの特性理論
今回は、” リーダーシップの特性理論 ”についてです。
リーダーシップの特性理論は、「優れたリーダーは生まれ持った資質である」という考えに基づき、効果的なリーダーに共通する特性や特徴を特定しようとする理論です。
特性理論は、20世紀初頭に、トーマス・カーライルの『英雄崇拝論』に影響を受けて登場しました。カーライルは、歴史は偉大な人物によって形作られると主張し、英雄的なリーダーの資質に焦点を当てました。
その後、多くの研究者がリーダーの特性を特定しようと試み、初期の研究では、身体的特徴(身長や外見)や性格特性(外向性や支配性)など、様々な特性が検討されました。
しかし、1950年代になると、特性理論は批判にさらされるようになります。
リーダーシップの行動理論が登場し、リーダーの行動に焦点が移ったこと、そして、状況によって効果的なリーダーシップの特性が異なることが明らかになったことが主な理由です。
特性理論で挙げられるリーダーの特性
特性理論で一般的に挙げられるリーダーの特性は、時代や研究者によって多少異なりますが、主要なものをまとめると以下のようになります。
1. 知的能力
知性: 問題解決能力、学習能力、状況把握能力、戦略的思考力など
知識: 専門知識、一般知識、経験に基づく知識など
判断力: 正確な状況判断、適切な意思決定を行う能力
洞察力: 物事の本質を見抜く力、将来を予測する力
2. 人格
誠実さ: 正直さ、信頼性、倫理観、責任感など
自信: 自己肯定感、自己効力感、楽観性など
決断力: 困難な状況でも決断を下せる力、リスクを負うことを恐れない姿勢
外向性: 社交性、積極性、熱意、表現力など
支配性: 他者を統率する力、影響力、説得力など
感情の安定性: ストレス耐性、冷静さ、落ち着きなど
3. 社会的能力
コミュニケーション能力: 情報伝達能力、傾聴力、交渉力、共感力など
対人関係能力: 信頼関係構築能力、協力関係構築能力、 konflikto 解決能力など
交渉力: 相手の意見を理解し、合意を導く力
協調性: チームワークを重視し、周囲と協力して行動できる力
4. 身体的能力
エネルギー: 精力的に活動できる体力、精神力
体力: 健康状態、持久力など
外見: 魅力的な容姿、堂々とした立ち振る舞いなど (初期の研究では重視されたが、現代では重要視されない傾向)
5. 動機
達成動機: 目標達成意欲、向上心、挑戦意欲など
権力動機: 他者を影響力、支配したいという欲求
親和動機: 他者と良好な関係を築きたいという欲求
6. 経験
職務経験: 専門知識、スキル、業界知識など
リーダーシップ経験: リーダーとしての経験、成功体験、失敗体験など
7. その他
カリスマ性: 人を引きつける魅力、存在感
創造性: 新しいアイデアを生み出す力、革新的な思考力
適応力: 変化に対応する力、柔軟性
ストレス耐性: 困難な状況にも耐えられる力、回復力
特性理論の限界
特性理論は、リーダーシップ研究の初期段階において重要な役割を果たしましたが、いくつかの限界があります。
状況の無視: リーダーシップに影響を与える状況要因を考慮していない
特性の定義の曖昧さ: リーダーシップに関連する特性の定義が曖昧で、測定が困難
予測力の低さ: 特性のみでは、リーダーシップの有効性を予測することが難しい
リーダーシップ開発への示唆の不足: リーダーシップは生まれ持った特性であると仮定しているため、リーダーシップ開発への示唆が少ない
現代における特性理論
特性理論は、上記の限界から、一時期は下火になりました。しかし、近年、新たな視点から見直されています。
ビッグファイブ性格特性: 外向性、神経症傾向、開放性、協調性、誠実さの5つの要素で人格を測定するビッグファイブを用いた研究では、これらの特性とリーダーシップの有効性との関連が示唆されています。
感情知能(EQ): 自身と他社の感情を理解し、管理する能力である感情知能も、リーダーシップに重要な特性として注目されています。
まとめ
特性理論は、リーダーシップ研究の出発点として重要な役割を果たしました。しかし、特性のみでリーダーシップを説明するには限界があります。リーダーシップは、特性、行動、状況の相互作用によって決まる複雑な現象であることを理解することが重要です。
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