【企業経営理論#7】システム学派(組織均衡論・限定合理性)
システム学派
序論
今回は、”システム学派”についてです。
1950年代以降に登場したシステム学派は、組織をシステム(相互に関連しあう要素の集合体)として捉え、全体最適の観点から経営を分析しました。
その背景には、第2次世界大戦後、企業の規模が拡大し、組織構造や経済環境が複雑化していったことがあげられます。
システム学派は「組織とは、様々な要素が相互に関連し合い、影響を与え合う複雑なシステムである」と考え、個々の要素を最適化するのではなく、システム全体としての効率性を追求することが重要だと主張し、従来の機械論的な組織間とは異なる視点を提供しました。
システム学派に関する理論
組織均衡論(チェスター・バーナード):1938年に『経営者の役割(The Functions of the Executive)』の中で組織均衡論を提唱し、のちのシステム学派に影響を与えた。
<組織均衡論のポイント>組織を、「共通の目的を達成するために協力する人々のシステム」として捉える。
組織の均衡(組織の維持と存続)を重視。
組織メンバーの協力と貢献を促すためには、組織目標と個人目標のバランスをとり、メンバーの満足度を高める必要がある。
限定合理性(ハーバート・サイモン):人間の意思決定能力には限界があり、常に完全に合理的な判断を行うことはできないとという考え方。
そのため、限られた認知能力の中で最大限合理的な判断をし、個人の認知能力を超えた成果を生み出すためには、組織構造(システム)を構築し、組織内での情報処理を単純化する必要があるとしている。
<限定合理性のポイント>情報収集能力の限界:すべての情報を手に入れることは困難であり、限られた情報で判断せざるを得ない。
情報処理能力の限界:膨大な情報を処理し、最適な選択肢を導き出すことは難しい。
感情や心理的バイアス:感情や過去の経験、先入観などに影響され、合理的な判断をゆがめてしまうことがある。
<限定合理性の例>
1) 食材や日用品を買う際に、すべての商品を比較検討するのではなく、「いつも買っているブランド」や「特売品」などの商品を選ぶ。
2) 就職活動や転職活動の際に、すべての企業を調べるのではなく、知名度や待遇などで絞りこみ、限られた選択肢の中から選ぶ。
<次回>
復習問題
問題1:穴埋め問題
システム学派は、( ① )年代以降に登場し、組織を( ② )として捉え、全体最適の観点から経営を分析した。
組織を、( ③ )が相互に関連し合い、影響を与え合う複雑なシステムであると捉える。
チェスター・バーナードは、組織を「共通の目的を達成するために協力する人々のシステム」として捉え、組織の( ④ )を重視しました。
問題2:○×問題
システム学派は、個々の要素を最適化することで、システム全体の効率性も高まると考えた。( ○ / × )
ハーバート・サイモンは、人間の意思決定能力には限界があり、常に完全に合理的な判断を行うことはできないと主張した。( ○ / × )
限定合理性は、人間の感情や心理的バイアスが意思決定に影響を与えることを示している。( ○ / × )
問題3:組み合わせ問題
次の用語と、その説明を正しく結び付けてください。
問題4:記述問題
システム学派が登場した背景を説明してください。
限定合理性の例を、あなた自身の経験に基づいて具体的に説明してください。
問題5:多肢選択問題
システム学派の考え方が、特に重要となるのは、以下のうちどれですか? すべて選んでください。
a. 部署間の連携が重要な組織
b. 環境変化が激しい状況下にある組織
c. 単純な作業の繰り返しが多い組織
d. 従業員一人ひとりの能力が高い組織
解答
問題1
① 1950 ② システム
③ 様々な要素
④ 均衡(組織の維持と存続)
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?