【財務・会計】安全資産と危険資産
安全資産と危険資産
今回は、” 安全資産と危険資産 ”についてです。
安全資産とは
安全資産とは、元本割れのリスクが極めて低い資産のことです。
「無リスク資産」と呼ばれることもあります。 将来の収益が確定している、あるいはほぼ確定していると考えられるものが該当します。
主な安全資産の例
預金:銀行などの金融機関に預け入れたお金。預金保険制度⁽¹⁾により、一定額まで保護される。普通預金、定期預金などの種類がある。
1)預金保険制度:銀行などの金融機関が破綻した場合に、預金者の一人ひとりを保護するための制度。預金者一人当たり、一金融機関ごとに元本1000万円までとその利息等が保護される。普通預金:いつでも自由に預け入れや引き出しができるが、金利が非常に低い。給与受取や公共料金の支払いなど、日常的な取引に利用される。
定期預金:預入期間が決まっており、一定期間預け入れることで、普通預金よりも高い金利を受け取れる預金。
国債:国が発行する債券。国の信用力が担保となるため、安全性が高いとされる。個人向け国債や利付国債などの種類がある。
個人向け国債:個人を対象に発行される国債。中途換金制度⁽²⁾があるなど、個人にとって利便性の高い国債である。
2)中途換金制度:購入後1年経過すれば、満期日前でも保有している国債を換金できる仕組み。利付国債:機関投資家などを対象に発行される国債。固定金利型⁽³⁾、変動金利型⁽⁴⁾、物価連動型⁽⁵⁾などの種類がある。
3)固定金利型:発行時に利率が決まっており、満期まで保有すると、元本と利子が支払われる。
4)変動金利型:利率が市場金利に連動して変動する。
5)物価連動型:元本と利子が物価に連動して変動する。地方債:地方公共団体が、道路や橋、学校などの公共施設の建設や住民サービスの提供に必要な資金を調達するために発行する債券。国債に比べると流動性が低く、リスクは若干高くなる。
安全資産の特徴
メリット
元本割れのリスクが低い(将来の収益がほぼ確定しているため、価格変動リスクが小さい)
流動性が高い(換金しやすい)
発行元が国や政府系機関、あるいは預金保険制度などの対象となる金融機関であるため、信用リスクが低い(信用力が高い)。
デメリット
利回りが低い(リスクが低い分、得られるリターンが低い)
インフレリスクがある(物価上昇により、実質的な価値が減少するリスク)
危険資産とは
危険資産とは、元本割れのリスクがある資産のことで 「リスク資産」とも呼ばれます。 将来の収益が不確実で、価格変動のリスクが高いものが該当します。
主な危険資産の例
株式:企業が発行する証券。企業の業績や経済状況によって価格が大きく変動する。
投資信託:複数の投資家から集めた資金を、専門家が株式や債券などに投資する金融商品。分散投資によってリスクを抑えることはできるが、元本割れのリスクはゼロではない。
債券:国や企業が発行する借金証書。国債は安全資産とされるが、社債など企業が発行する債券は、発行体の信用リスクによって価格が変動し、元本割れのリスクがある。
不動産:土地や建物などの不動産。景気や金利変動などにより価格が変動する。賃貸収入などのメリットもあるが、流動性が低いというデメリットもある。
コモディティ:貴金属やエネルギー(金や原油)などの投資商品。需要と供給のバランスによって価格が大きく変動する。
デリバティブ:株式や債券などの原資産の価格変動に基づいて価格が決まる金融商品。レバレッジ効果⁽⁶⁾によって大きな利益を狙うことができるが、その分リスクも高くなる。
6)レバレッジ効果:少ない資金で大きな投資効果を狙うこと。信用取引や先物取引において、投資する額の数倍の取引を行うことができる。「レバレッジ」は日本語で「てこ」を意味する。仮想通貨(暗号資産):ビットコインなどに代表されるデジタル通貨。価格変動性が非常に高く、投機的な側面の強い資産。
危険資産の特徴
メリット
高いリターンが期待できる
インフレヘッジになる可能性がある(物価上昇に連動して資産価値が上昇する可能性がある)
デメリット
元本割れのリスクがある
価格変動が大きい
流動性が低い(換金しにくい)場合がある
専門知識や情報収集が必要な場合がある。
安全資産と危険資産の使い分け
安全資産と危険資産は、それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらが良い悪いということではありません。 そのため、どちらか一方に偏るのではなく、それぞれの特性を理解した上で、適切に使い分けることが重要です。
資産運用の基本的な考え方
1. 投資の目的と期間
短期的な目標 (例:1年以内に車を買う)
安全資産を中心に、元本割れのリスクを抑える
急な出費に対応できるよう、流動性を重視する
長期的な目標 (例:老後資金の準備)
危険資産を積極的に活用し、高いリターンを狙う
長期投資では、短期的な価格変動リスクは比較的低くなる
2. リスク許容度
リスク許容度が高い
危険資産の割合を高め、高いリターンを狙う
若い世代や、収入が安定している人は、リスク許容度が高め
リスク許容度が低い
安全資産の割合を高め、元本割れのリスクを抑える
高齢者や、安定収入がない人は、リスク許容度が低め
3. 資産状況
保有資産が多い
危険資産にもある程度投資し、資産を増やす
保有資産が少ない
安全資産を中心に、堅実に資産を積み上げる
4. 分散投資
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