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業の人

 「3人の男」を昨日投稿した。
 その中で、D君が私の「カルマメイト」だと感じると書いた。

 続きのようなことが起こったので、急遽投稿する。


 彼が「カルマメイト」であるという確信は、宝くじ当選のお礼参りに阿弥陀如来に手を合わせに行った後、自宅でふと脳裏に浮かんだ。
 調べていくうちに、やはり確固たる形でそう思えてきた。
 先祖や神仏が私の味方になっているならばこれ以上心強いことはなく、誠に有難い。
 生身の人間を相手にしても、怖いもの知らずだ。(あまり調子に乗ると罰が当たる)


 実は、先月中旬ぐらいから、ずっとD君のことが心配だった。
 D君が好き、愛おしい等の感覚ではない。
 ただ「心配」だった。
 彼が孤独に囚われて、寂しがっている気がしていた。
 SNS上では絶縁されているように感じていたが、私は一方的にファンとして動画の感想等メッセージを送り続けていた。
 当然、既読はつかないし、反応もない。
 しかし、彼には、私以外に何十万人とファンがいるのだ。
 私の単なる思い過ごしだし、大丈夫だろうと思っていた。
 

 ところがその感覚は全く消えず、驚くことに、移住の下見旅行先でそれは一段と強くなった。
 移住のことを考えて、新しい生活をイメージしながらわくわくしていると、やたらとD君の誕生日の車のナンバーを見た。
 気のせいだと思い、無視する。
 すると、また対向車の車のナンバーで彼を思い出す。
 段々と車を見るのが怖くなった。
 地元に帰ってくると、それがぴたりと止んだので、私はいぶかしんでいた。


 そもそも、D君は私に何をもたらす人なのだろう?
 私たちの関係性は何なのだろう?

 御仏のご加護もあって、その疑問に、ようやく答えが出た。


 今日、仕事に行ってきた。
 仲良くしている年下の女性がいる。
 「ねぇ、カルマメイトって言葉があるんだよ、知ってる?」
 彼女に聞いてもらいたかった。

 彼女は(仮にOさんとする)熱心に私の話を聞いていた。
 ところどころ真剣な顔つきになり、何か気になる様子だった。
 「私さ、D君に絶縁されちゃったんだよ。でも、最近、彼の誕生日のナンバーをよく見るようになってさ、不思議だったんだよね。忘れている時に見るんだよ、旅行先でもさ…」
 私は、おもむろに手元を動かして、職場のパソコンの新着メールを開封する。
 「えっ、『本日〇時△分に送りましたメールに誤りが…』ホラ、来たよ!D君の誕生日だ、これ」
 「ええっ、本当ですか!!怖い!!」
 Oさんは息を飲んだ。
 「ほらほら。貴女が熱心に聞いてくれてるから、教えようとしてるのかもね、大いなる存在がね」
 私は新着メール本文に入っている、D君の誕生日ナンバーに、思わず笑ってしまった。

 「Oさん、よく覚えておいてね。もし貴女がカルマメイトに出会わなくても、貴女の身近な人がさ、出会うかもしれないでしょ。そしたら、教えてあげてよ。友達とかさ…そういや、貴女の妹さんって結婚してるの」
 「ええ、まだ独身です…そう、そうなんです…色々あったんです…実は」
 珍しくうわずった声で、悲しげにOさんは言った。
 「え?どうしたの?」
 奥ゆかしい彼女は、重い口を開いた。

 実は、新婚のOさんの妹も、Oさんと同時期に結婚前提で付き合っている恋人がいたそうだ。
 親同士の顔合わせも、結婚式も、仲のいい姉妹は同じ時期に執り行おうとしていたのだという。
 ところが、妹の恋人は土壇場で結婚を拒否。
 すべてが白紙に戻ってしまったのだという。
 つい先日、職場のみんなで彼女の結婚を祝った裏で、そんな出来事があったとは…。

 「えええ!!!そうだったの…」
 「妹は初めて付き合った彼氏だったし、年齢も年齢だし、別れられないらしいんです。『もう彼氏なんてできないかも』って。まだ連絡取り合っているみたいなんですよね、妹はまだ好きみたいで…」
 私は確信した。
 「いや、それカルマメイトだよ!それこそ、そうだよ!絶対別れた方がいい。妹さんに教えてあげてよ」
 「そうですね、実は妹が明後日うちに遊びに来るんです」
 「え!そうなの?なんてタイミングなんだ…」
 「…うん…ちょっと話してみようかな…」
 「いやぁ…気の毒に…。その人と別れたら、きっと良い出会いがあるよ。妹さんはきっと、次に出会う人と結婚できる。話してみてよ」
 詳しくは割愛するが、聞けば聞くほど気の毒で、その悲しみは家族を巻き込み、悪縁という感じの関係性だった。

 私は、カルマメイトとは前世からつながりのある相手であること、カルマメイトと別れられたら次のステージに進めること、お互いが幸せな未来に進むためには、好きでも別れる必要があること等を教えておいた。
 Oさんは、きょうだいの中でその妹さんと仲が良く、苦しみを一番近くで共有し理解しているようだった。
 「貴女しか、教えてあげられる人がいないからね。職場に不思議な人がいて、こんなこと言ってたよ、と話してみてよ」
 私は念押しして退勤し、彼女と別れた。

 同じ職場には、結婚してすぐに離婚し、長いこと傷ついていたハンサムな男性がいる。
 しかし、夏のうちに可愛い恋人ができたようで、のろけてはふわふわしたような足取りで行き来している。
 彼の動向も職場のみんなでハラハラしながら、応援しているところである。


 すべての人に、その人に最適な形で良縁が来ることを祈るばかりだ。
    悪縁との離別の向こうにそれはやってくる。

 「御仏のおかげで、また人助けしちゃったなぁ」と、私はおやつの赤肉メロンクレープをほおばっている。

(クレープショップの限定商品なので、これも神様のご褒美かな…)

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