租税法を選択するメリット・デメリット
こんにちは、いちかわです。
今日は、司法試験の選択科目として租税法を選択するメリット・デメリットについて書いていきます。
租税法を選択した感想
短い勉強時間で安定した点数が見込める、高コスパの選択科目だと思います。
私は選択科目の学習に力を入れるのが遅くなってしまい、本試験の約半年前の1月頃にやっと過去問演習に着手しました。それでも本番では70点台前半(1桁順位)の点数を取ることができました。
勉強方法については別の記事で書く予定ですが、基本書の通読・過去問を潰す・百選をまとめる、という極めてシンプルな勉強スタイルで高得点を取ることが可能です。
私が租税法を選択した理由
私が選択科目を決めたのは、ロースクール入学前の履修登録のタイミングでした。
選択科目を選ぶ上で意識した点は、
①暗記量の少なさ
②これまでの経験が生きるか否か
の2点です。
①についてですが、私は暗記が苦手だったので、選択科目は暗記量が少ない科目にしたいと考えました。選択科目ごとの大体の暗記量については、予備校のホームページを利用して情報収集をしました。租税法は暗記事項が少ないというのは大体どこの予備校のホームページでも書かれていたので、租税法が候補に上がりました。
②については、大学生時代に簿記2級を取得しており、その知識が役立つのではないかと考えました。しかし残念ながら、司法試験との関係では簿記の知識はほとんど役に立たず、結果として②の動機はあまり意味のないものになってしまいました。逆に言うと、簿記を持っていなくても租税法の学習を進める上では支障はないので、安心してください。
租税法を選択するメリット・デメリット
本記事のメインテーマである、租税法を選択するメリット・デメリットについてです。
1.租税法を選択するメリット3つ
①出題趣旨、採点実感の記述がわかりやすい
②暗記事項が少ない
③大量の小問に分かれているのでリスクヘッジが可能
以下、くわしく見ていきます。
①出題趣旨、採点実感の記述がわかりやすい
租税法は、基本的には過去問さえやり込めば高得点を取ることができます。そして全ての科目に通じることですが、過去問分析に必須なのが、出題趣旨・採点実感の読み込みです。租税法の出題趣旨・採点実感の記述はとても分かりやすいので、独学であっても過去問を十分にやり込むことができます。特に採点実感では、ありがちな勘違い・間違いを指摘してくれているので、採点者の地雷ポイントを把握することができ、非常に有益です。
②暗記事項が少ない
租税法は暗記事項が少ないです。最低限の規範をまとめれば足ります。イメージで言うと、行政法の3分の2程度でしょうか。そのため、知識量を維持するのに時間はかかりません。
私は学習過程で規範や重要判例のまとめノートを作成し、直前期はそれを見直して知識を想起していました。じっくり読んでも2〜3時間程度で見直せる量だったので、残りの時間を他の科目に充てることができました。
直前期に選択科目の勉強量を圧縮できることは、租税法選択の大きなメリットだと感じます。
③大量の小問に分かれているのでリスクヘッジが可能
租税法の大きな特徴として、小問が多いことが挙げられます。配点が低い小問について、1〜2問落としたところで致命傷にはなりません。
令和6年では、第1問・第2問あわせて、小問が9つ出題されました。私は小問の1つを大外ししましたが、高得点を取ることができました。
小問の数が少ない選択科目では手薄な分野から出題された場合のダメージが大きいですが、租税法はその場合のリスクヘッジが可能です。
2.租税法を選択するデメリット3つ
①受験者数が少ない
②条文が読みにくい
③民法の理解が必要
以下、くわしく見ていきます。
①受験者数が少ない
令和6年司法試験の選択科目別受験状況は、下記の通りです。
選択科目8科目の中で、国際関係法(公法系)、環境法に次いで、3番目に受験者数が少ない科目であることが分かります。
受験者数が少ないことによる具体的なデメリットとしては、勉強方法に関する情報収集が難しいことが挙げられます。私自身、勉強方法について身近に相談できる人はいませんでした。そのため、先輩合格者のX(旧Twitter)やブログから情報収集しながら、基本的には1人で学習を進めていました。
「1人で勉強するよりも、周りに相談できる環境で学習を進めたい!」という方は、受験者数の多い科目を選択するのが無難かもしれません。
②条文が読みにくい
租税法の条文は非常に読みにくく、条文を丁寧に読みながら学習を進めることが不可欠です。そのため、そもそも条文の素読に苦手意識があるという方は、租税法を選択することは避けた方が良いと思います。
もっとも、条文が読みにくいからこそ、条文さえ読み解ければすんなり解答できる問題が多く出題されています。条文を読むのが苦にならない人には、租税法はおすすめできる選択科目です。
③民法の理解が必要
租税法の学習においては、民法の基本的な理解が不可欠です。課税対象となる取引・契約の内容などを理解できていないと、問題の所在を正確に把握することができません。
租税法の学習を本格的に始める前に(遅くとも過去問演習に着手する前に)、民法の基本的な部分について理解しておくことがマストだと思います。
最後に
司法試験の選択科目を何にするか迷っている受験生の方も多いかと思います。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。