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「行動経済学における人間像」――暗号資産・投資における意思決定の本質

暗号資産(暗号通貨)や投資の世界では、市場の動きや価格の変動を理解するために、投資家自身の意思決定が大きな鍵を握っています。私たちはしばしば、合理的に物事を判断し、常に最適な選択をしていると思い込んでいますが、実際には感情や心理的な要因に大きく影響されているのです。この「非合理な行動」を研究し、理解しようとするのが行動経済学の目的です。

行動経済学は、従来の経済学が描く「合理的な人間像」を超え、「人間はしばしば非合理的な行動を取る」という現実に目を向けます。特に暗号資産や投資の世界では、人間の心理的バイアスや感情が大きな役割を果たしており、これを理解することが成功へのカギとなります。

今回は、行動経済学における「人間像」とは何か、そしてそれが暗号資産や投資にどのような影響を与えるのかを探っていきます。


1. 従来の経済学における「合理的な人間像」

従来の経済学における人間像は、「経済人(Homo Economicus)」と呼ばれ、理性的で情報を完全に理解し、常に合理的な判断を下す存在として描かれてきました。経済人は、利益を最大化するために最適な選択をし、すべての選択肢を比較し、リスクやコストを正確に評価できると仮定されています。

たとえば、暗号資産に投資する際、従来の経済学モデルに従う投資家は、リスクとリターンを冷静に分析し、自分の資産を最適に分配します。彼らは市場の情報を完璧に理解し、その情報を基に合理的な意思決定を行うとされます。しかし、実際には市場はこのような完全な合理性で動いているわけではありません。価格が急騰すると「もっと上がるのでは」と思い、逆に急落すると「このままでは損失が拡大するかもしれない」と恐れて売却する――これが現実の投資家の行動です。


2. 行動経済学における「非合理的な人間像」

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