にいがたショートストーリープロジェクト2025応募作品
[運命の出会い] 空泉 著
文具女子博。
日本最大級の文具の祭典。
わたしはこの日を待ち侘びていた。
入場して、最初に手に取ったのが[あまいおはじき]。
新潟県の長岡にある越乃雪本舗大和屋の商品だ。
東京に住んでいるわたしには普段ネット通販でしか手に入れる事が出来ない。
事前に購入したガイドブックで、目を付けていた。
ガラス瓶の中できらきらと輝く飴はおはじきそのものだ。
日本伝統の有平糖で出来ているらしい。
食べてしまうのがもったいない可愛さ。
家に帰っても、しばらく飾っていた。
刻一刻と迫る、賞味期限。
思い切って、瓶を開けると辺りにやさしい甘さが広がった。
一粒手に取ってみる。
飴とは思えない、完成度の高さに感嘆の笑みが溢れる。
窓から入って来る太陽の光に照らされるそれは一つの芸術作品のよう。
口に含むと程よい甘さが広がり、幸せな気分になった。
その日からこの飴は頑張った日のご褒美に。
最後の一粒を口に含みながら、私は越乃雪本舗大和屋のネット通販で、購入ボタンをクリックした。