ネメシスの使者(3冊目)
ネメシスの使者
著:中山七里
最高すぎて何も語れない
テミスの剣の続編です。
もうね、最高なんですよ。
何がって、全部がです。
私が好きな系統の話が一つありまして、
それは「人は皆小さな存在で、手が届く範囲が限られている、それを思い知らされる物語」なんです。
テミスの剣もそうでしたが、「真にわからない何かと出会った時、どう主人公が行動していくか」というのは人間観察の視点では、実に面白いんですよね。
小説は主人公や登場人物の人生の一部を観察できる、私はそのような考えを一面として持ちながら読んでいます。
特に、推理小説の犯人や一部キーマンや出来事は、主人公とは全然違った考え方で生きていて
主人公は自分の思う正義と異なるものを見せつけられます。
そこが良いところなんです、そして、その度にやるせなさを感じて、それに何かしらの形で折り合いをつけて物語は進んでいきます。
テミスの剣とネメシスの使者はそんなことを感じさせられる作品です。
話に触れると全部ネタバレになるから書けないんですけど、
どんでん返しはやはり最高です。
これで終わりかな、と思えば、終わらない。真実やその裏に隠された沢山の思惑があるんですよね。
主人公は不器用なのに器用な刑事で、彼の主人公像もたまらなく良いです。
相棒や他の刑事たちの描かれ方も良いんですよね。
人の正義と自分の正義は違う
それを思い知らされる本でした。