
【第9回インタビュー】熱願冷諦。ID24(3年): 村井康次。
こんにちは。Humans of ICUFCです。
第9回インタビューは、ID24(3年)、2022シーズン副主将の村井康次に行いました。
人物紹介
村井康次(むらいこうじ)。
ID24、左足の圧倒的レジスタ。
試合中に声や感情を荒げることはほぼなく、寡黙、かと言ってオフは真面目キャラでもなくふざけ倒す、どこか掴めない性格をしている村井。
しかしサッカーとICUFCに賭ける情熱は誰よりも熱く、2022シーズンは副主将としてチームの大黒柱を担った。
中盤深くから繰り出される左足の精度は一級品で、今シーズンは守備にも大成長したICUFCの心臓。一年次からメンバー入りを果たすと、二年次から出場機会を増やし、年々成熟を見せていった。
その裏付けとして、表に出すことは少ないものの誰よりも勝利と成長に対して強いハートを持ち、日々の練習を常に考えながら励んだ彼の姿勢があるだろう。
今回はそんな彼の日常生活、サッカーに対する価値観に迫っていく。


インタビュー
小学校卒業で親元を離れる決断。精神的自立の中高時代
まず、今までの康次の人生を聞かせてもらってもいい?
村井:はい。
出生地は実は北海道で、母親の実家の近くの病院で産まれて、1歳とか2歳で神奈川の川崎に引っ越した。だから実際は産まれた時から川崎って感じかな、自分的には。
で、小学校卒業まで川崎の公立校に通ってた。小3くらいから塾行ってたんだけど、小6の時にはなんとなく受験したいなーって。
どうせなら離れたところに行きたいなって気持ちがあって、ちょっとかっこいいし、楽しそうだなって思ってた(笑)。でも変なところにいくのは親としても怖いから、じゃあ母親の実家がある北海道の函館に行こうってなって。
それで函館で一番有名な中高一貫を受験して、受かったって感じ。当時は祖母の家で6年間暮らしてた。
あ、サッカーは幼稚園の頃からずっとやってた。
その後は6年間川崎の実家を空けてたってのもあって、(実家に)帰りたいなって。それで東京のICUに行こうと思って、川崎に帰って、今に至るって感じですね。
中学受験は当時は結構珍しかったと思うんだけど、悩んだりはしなかった?
村井:それはやっぱりあって…
今までのサッカー人生で小学校の時が一番強いチームにいたんだけど、そこから進路を決めるってなった時に、サッカーか勉強のどっちかを取るっていう頭しか無くて。
でもそれってどっちかじゃなくて、頑張ればどっちも取れることじゃん。
で、俺は勉強を選択して受験した訳だけど、今考えればどっちもやればよかったなって思う。結局サッカーもずっと続けてたけど、中高は強いチームじゃなかったし。
ICUに入った後にひろ(ID22、近藤央)とか優也(ID24、阿部優也)とかを見て、(勉強とサッカーの)両方を高いレベルでやってきたのを見て、「うわ、それありだったんだ…いいな…」ってなった。
小学6年の時にそこまで考えるのは結構厳しいよね(笑)
早い段階で東京を離れようと思ったのも特殊だと思う。怖さとかはなかった?
村井:特に行く前はやっぱりやめた方がよかったかなって思ってた。
地元の友達はみんな同じところに行くわけだし。
でも(北海道に)行ったら楽しくて。もちろんおばあちゃん家での生活も。
おばあちゃんと仲良かったのも大きいけど、向こう行ってからは全然実家に電話もしないみたいな感じだった。
でもやっぱりこの時期に親元を離れてたのは大きかったと思う。ずっと一緒にいた親が近くにいないから、もし何かあっても頼れないし、自分でどうにかするしかないって感覚はずっとあって。
何かあった時に川崎に電話するのもなんかダサいと思ってたし(笑)だから、自分がいつ精神的に自立したかって言われたら函館に1人で行った時になるかな。
なるほど、ありがとう。

「最後に勝てるチームになりたい」想いを胸に大学サッカーへ
今までの経験で一番印象に残ってることってある?
村井:高校の最後の試合が一番かな。これがなかったら大学でサッカー続けてたか分からない。
負けた相手がその地区では一番強い高校だったんだけど、全然勝てるとも思ってなかったし、なんならボコボコにされるかなって思ってた。
でもめちゃくちゃ頑張って、延長後半まで0-0、しかもこっちがちょっと押してるみたいな。でもそこで相手のラッキーゴールが入っちゃって。
結果はもちろん負けなんだけど、負けるべくして負けたって感じだった。
相手の方が日々の練習から頑張ってたし、悔しいけど負けるべくして負けたし、サッカーってなんか最後は精神論ではないけど、そういうところなんだなって。
この悔しさを晴らすには大学でサッカーしない訳にはいかないってその時から思ってた。だからこれが結構印象的かな。
大学でもサッカーを続けるきっかけがそれだったんだね。
村井:そうだね。
高校の時もちゃんとやってたつもりだったけど今考えればどこか手を抜いてたなって思うし、チーム全体でも誰かしらはいつも手を抜いてるなっていう状態だった。
さっきも言ったけどやっぱりそういうチームは最後に負けるって感じたし、俺も馬鹿じゃなかったから大学ではそういうチームになりたくない、最後は勝てるチームになりたいなって思って、大学サッカーに来たかな。
その経験って本当に今の康次に活きてると思う。ありがとう。

自分の強みを意識して生活する
いま康次が普段の生活で特に意識していることって何かある?
村井:これね、一番難しかったんだけど…(笑)
ここ最近は「自分の強みを考える、意識して生きる」っていうことを一番考えてる。これは大さん(スポーツディレクター、長谷川大)に教わったことなんだけど。
これってサッカーにだけ活きることじゃなくて、人生に活きることだって大さんは言ってて。
最初はそれがどういうことか分からなかったんだけど、確かに、強みってサッカーだけじゃなくてどの組織にいてもそれが大事だなって思うことがあって。だから俺はそれを意識してるかな。
それを考える上で、自分で思う康次の強みって何?
村井:やっぱり人生で見ても、人と違うことだったり変なことを普通にできるっていうことは強みかなと思う。
それこそ北海道に行ったのもそうだし、指定校でICUに決めた時も、周りは「上智の方が有名じゃない?」とも言っていたけど俺はそういうのを気にせずに決断できる。そこは他の人には無いことだなって思う。
ありがとう!次はサッカー面の康次を知っていきたいなと思います。

結果に執着?過程を重視?難問に対する村井的私観
ずっとサッカーをしてきた訳だけど、大学に入ってから「サッカー」ってどういうものに変わった?
村井:シンプルに楽しいものに変化したかな。
やっぱり高校の経験から、上手下手とかじゃなくて全力でやってるかどうかがマジで全てだって思うようになって、試合も練習もめっちゃ楽しくなったかな。いつもワクワクしてる。
最後の最後に勝てなかった高校とは違って、ICUFCはいつも本当に真面目で全力だから最後に結果が巡ってくるし、良いチームって言われるのも納得できる。
過去に康次は『もちろん過程も大事なんだけど、勝ちを目指さないと意味がないよね』って感じのブログ(クリックで閲覧)を書いてたと思うんだけど、それに関して。
そもそも結果主義と過程主義なんてニワトリタマゴだし、どっちも大事って言ったらそれで終わりなんだけど、当時は結果に執着してたように見える康次の今は?
村井:大まかには変わってないかな。
でも明確に今までと違うところが一つあって、「成長を考える」ってこと。
結果主義って、確かにそう考えないと一旦何も始まらないから大事なんだけど、結果ばかりに囚われていると成長を見失う気がして。
自分もチームも、両方の成長に目を向けた方が俺はいいかなって思ったから、今年はそれを意識してたかな。
だから、負けが続いた時期も自分的には成長できたなって感じることが多くて。
それは今までの結果主義がこの一年で変化したところではあるかな。
本当にそうだね。
結果を求めないと始まらないけど、やっぱりそれだけだとチームの雰囲気も悪くなったりするじゃん。自分も高校サッカーはそうだったんだけど。
だし、ICUFCの今年は何が変わったかっていうと、負けが増えたじゃん。すると、結果主義がぐらつくよね。そこで何をしなきゃいけないって言うと、成長に目を向けないといけない。半強制的な流れではあったよね。
村井:間違いない。やっぱりどうしても勝たなきゃいけない、負けたらダメってなるとそこで成長というか、何かが止まってしまう気がする。
寛太くん(ICUFC前監督、泊寛太さん)も言ってたけど負けないチームはないから、やっぱりどのカテゴリー・状況にいてもその考え方は大事なのかなって感じた。
今考えると、練習前の集合の時に今年は康次が話す機会も多かったじゃん。
その時も、試合は負けてるけど悪い試合じゃなかったって結構言ってた気がするんだよね。
村井:そうだね。
でも俺はそれを全体に伝染させることはできなかった。それが今年の俺の使命だったと思うんだけど。
幹部で話してても、結構皆は結果結果になってしまってて。もちろん俺もピッチに立っているからそうなるんだけど、さっきから話しているようにそれだけじゃ危ないって言うのも同時に感じていて。
っていうことを俺はわかっていたけどやっぱり全体に対してはあまり言えなかったね。だからちょっと悔しい。

幹部として駆け抜けた1年間をもとに、これからのチーム作りを考える
なるほど。
来年のチームや幹部に向けてでもあるんだけど、こうしておけばよかったっていうのはある?
村井:やっぱり、もっと全員が言い合える、発言できる環境を作ればよかったと思う。今年の幹部の中では俺がそれをできるはずだったんだけど、結果あまりできなかった。
何故、何でも言い合える環境が大事かって言うと、誰かに依存することが少なくなるっていうメリットがあるじゃん。
たけ(ID23、2021年度主将、中村仁勇)とかひろ、優也とかだけに発言とかチームの引っ張りを任せっきりだと、その人たちがいなくなった時にどうするかっていう問題があるよね。
実際、毎年その問題はあると思うし、そこはもっと来年に残せた部分かなって思う。
でも特にID26(一年生)はその部分では引っ張ってくれそう。サッカーに対して素直だから成長しそうだし。
2年前にひろが引退した時に言ってくれたけど、このチームは本当に学年が関係ないじゃん。オンオフ問わず。別に25(二年生)がその雰囲気を作っても良いんだけど、ID26が下から来ることを期待したい。
やっぱり下級生は助けてあげてほしいよね。幹部を。
村井:うん。来年も2部だし、ID25は引っ張ることで一杯一杯になっちゃうと思うから、ID26のその後押し、下からの支えが大事かなって思うかな。
そういう風な後悔も少しある一方、この一年で最高の瞬間はあった?
村井:幹部とかはあんまり関係ないんだけど、鳩スタでの理科大との試合で、寛太くんに「見違えたな。成長した。」って言われて、それが本当に嬉しかったかな。昔から見てくれてる人だし。
実は俺、優也にシーズン前に「俺今年サッカー上手くなりたいから、頼むわ」みたいなことを言ったんだよね。やっぱりそれはさっきも話したけど結果主義の中にも成長を見出したかったから。
自分で意識してたことを言われたからやっぱり嬉しかったね。

あとは、俺はこのICUFCに育てられた人で、その期待とかに応えるには人としての成長もだけど、やっぱりサッカーが上手くなることだなって思ってたから。
試合とかで見れる成長で恩返しするのが一番だなっていうことは心に決めてて、それで寛太くんに実際に認められたから「やっててよかったな。間違ってなかったな。」って感じて、最高だったかな。
そうそう。幹部代って、後輩と先輩に挟まれてて難しいから、誰かに認めてもらうことが凄く嬉しいんだよね。
村井:そうだよね。色々やってても当たり前だって思われてるし、それが報われる瞬間だよね。
だね。ありがとう。
最後に何か言い残したことがあれば!
村井:まず下級生は、1年間一緒に戦ってくれて、本当にありがとう。
ID22,23の上級生には、本当に感謝しかない。せっかく帰ってきてくれた先輩達に変な思いはさせられないっていうのが自分の確かなモチベーションだった。
同期は、何も言うことはなくて。
結構同期は俺が声かけた人多いんだけど、でも誰一人欠けることなく走り切れたからそれはめっちゃ嬉しい。エモい。最高だね。
以上です!
ありがとうございました!

さいごに
今回は村井康次(ID24)にインタビューを行いました。
次回以降もぜひご覧ください!
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【第8回インタビュー】至誠一貫。ID24(3年): 袴田知優。
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