今、注目されている「2つの経営分析キーワード」①
1.CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とは何か?
(1)用語の説明
CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とは、企業が原材料や商品の仕入れに現金を投入してから、現金(売上債権)を回収するまでの効率性や日数を示す財務指標です。
【CCCの計算方法】
CCC =棚卸資産回転期間+売上債権回転期間-仕入債務回転期間
(棚卸資産回転期間)
棚卸資産回転期間とは、商品を仕入れてから販売するまでにかかる期間を指す指標です。棚卸資産回転期間が短いほど、一般的に棚卸資産が効率的に収益に結びついていると言われます。
棚卸資産は、大きく分けて以下の5種類に分類できます。
・原材料
・仕掛品
・半製品
・商品在庫
・貯蔵品
■製品と商品の違い
「製品」が自ら製造・加工したものであるのに対して、「商品」は外部から調達したものという点で異なります。
■仕掛品と半製品の違い
「仕掛品」はこれ自体では単独で販売や貯蔵をすることができない状態にあるものをいいますが、「半製品」は、中間的製品として既に加工が終わり、現に貯蔵中で販売できる状態にあるものをいいます。
【棚卸資産回転期間の計算式】
棚卸資産回転期間(日)=棚卸資産÷(売上高÷365日)
(売上債権回転期間)
売上債権回転期間とは、売上債権(受取手形や売掛金)を回収するまでにかかる期間を指す指標です。売上債権回転期間が短いほど、売上債権が短期間で回収できることになります。
【売上債権回転期間の計算式】
売上債権回転期間(日)=売上債権÷(売上高÷365日)
(仕入債務回転期間)
仕入債務回転期間とは、商品やサービスを仕入れてから、その代金(買掛金や支払手形)を支払うまでの期間です。仕入債務は、他社の商品やサービスを後払いで購入した際に発生する負債項目です。
【仕入債務回転期間の計算式】
仕入債務回転期間(日)=仕入債務÷(売上原価÷365日)
【具体例】
棚卸回転期間46日、売上債権回転期間22日、仕入債務回転期間30日
CCC =棚卸資産回転期間+売上債権回転期間-仕入債務回転期間
46日+22日-30日=38日
【目安】
CCC
54日(程度)
棚卸回転期間
35日(平均)
売上債権回転期間
60日(理想)
仕入債務回転期間
41日(平均)
(2)注目されている背景
CCCは、キャッシュフロー創出力を向上させる観点から、短期的な投融資効率について注目する動きがみられる背景から注目されています。
小売業や製造業など、在庫を多く抱える業種では特に重要視されます。
CCCを改善することで、キャッシュフローが改善し、資金繰りが安定します。事業活動の安定につながるのみならず、キャッシュフローを拡大する効果も期待できます。
(3)留意ポイント
CCCを改善するには、次の方法があります。
①仕入先への支払いサイクルを遅らせる
②売掛金を減らして現金取引を増やす
③売掛金の回収サイクルを早める
④仕入れた商品を早く売るために販促する
⑤販売方法を見直して、商品の早期売却を図る