管理職の基本④
■知っておきたいコーポレートガバナンスの知識
(1)コーポレートガバナンスの定義
コーポレートガバナンスとは、「企業統治」と訳されます。
「会社は経営者のものではなく、資本を投下している株主のもの」という考え方のもと、企業経営を監視する仕組みのことです。
会社側は企業価値の向上に努め、株主に対して最大限の利益の還元を目的とすべきという考え方が根本にあります。
具体的な取り組みとしては、取締役と執行役の分離、社外取締役の設置、社内ルールの明確化などが挙げられます。
会社側と株主との関係や、会社の経営監視がうまくいっている状態を「コーポレートガバナンスが保たれている」と表現します。
(2)コーポレートガバナンス•コード
コーポレートガバナンス•コードとは、上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス) においてガイドラインとして参照すべき原則• 指針を示したものです。
「Corporate Governance」の頭文字を取ってCG コードと略す場合もあります。この原則•指針によって、企業が透明性を保ち、適切に企業統治に取り組んでいるかどうか、外部からでも明確に分かるようになります。
日本では 2015 年に策定され、2018 年に 1 回目の改訂。その後コロナ禍を契機に、企業がガバナンスの諸問題にスピード感を持って対応するため、2021 年に 2 回目の改訂がなされました。
(3)コーポレートガバナンスの目的•沿革
コーポレートガバナンスは、企業としての社会的責任を果たし、企業価値を持続するうえで重要な役割を果たします。主な目的には以下の3つがあります。
沿革
2015 年 3 月 5 日に、金融庁と東京証券取引所が共同で「コーポレートガバナンス•コード原案」を公表し、WEB サイトに掲載しました。
その後、東京証券取引所において関連する上場規則等の改正が行われ、このコーポレートガバナンス•コード原案を基とする「コーポレートガバナンス•コード」が制定、全上場企業に適用されたのは 2015 年 6 月のことでした。
(4)コーポレートガバナンスのルールの概要
コーポレートガバナンス•コードに取り上げられた 5 つの「基本原則」
(5)内部統制との違い
混同されがちなコーポレートガバナンスと内部統制には「誰が•誰に対して監視•管理をする仕組みなのか」という観点で違いがあります。
経営者が従業員などを管理するための仕組みである内部統制は“経営者のための”仕組みといえます。
一方、コーポレートガバナンスは経営者を監視し、不正や暴走を防ぐための仕組みです。このようにコーポレートガバナンスと内部統制には、「誰が•誰に対して監視•管理をするのか」、言い換えると「主に誰のための仕組みなのか」という点に違いがあります。