IP5
気ままに生きる青年と、彼を慕う少年が、謎めいた老人と共に不思議な旅をする姿を描くロード・ムーヴィー。現代風俗の典型と言える若者と、古風で、自然を友とする老人との異世代の交流の物語でもある。ミステリアスな老人を演じたイヴ・モンタンは、この作品のクランク・アップ直前に心臓発作で他界し、これが遺作となった。監督・製作は「ロザリンとライオン」のジャン・ジャック・ベネックス。脚本は同作のジャック・フォルジア。撮影は「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」以来ベネックスとコンビを組んでいるジャン・フランソワ・ロバン。音楽は「愛人 ラマン」のガブリエル・ヤーレが担当。なお「IP5」という暗号のようなタイトルは、フランス公開時の副題L'lleAux Pachydermesと、ベネックス監督の五作目の“5”という頭文字をとったもの。
ストリート・アーティストのトニー(オリヴィエ・マルティネス)と、彼を慕う少年ジョッキー(セクー・サル)は、トニーが片思いしているグロリア(ジェラルディン・ペラス)に会うため、トゥルーズへ旅立った。途中でレオン・マルセル(イヴ・モンタン)という不思議な能力を持つ老人と道中を共にし、三人は神秘的な森を通り抜け、美しい湖に行き着いた。そこはレオンの若き日の恋の思い出の場所だった。しかし、そこにいたのはレオンの昔の恋人クラレンスの妹モニク(コレット・ルナール)だった。モニクはクラレンスがレオンと別れた直後に溺死したと語った。三人はトゥルーズへ向って再び旅立つが、途中レオンが心臓発作に襲われて入院してしまう。偶然この病院の夜勤看護婦となっていたグロリアは、トニーの熱い想いを知り、二人は結ばれた。ジョッキーは、余命いくばくもないレオンと共にあこがれのピレネーへ向けて旅立った。トニーとグロリアは後を追うが、二人が追いついた時、レオンは息絶えるのだった。
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