生きてることが汚くてグロテスクなのに強さと美しさが心に残る映画を見た
オンラインおしゃべりで映画の話になり、友のオススメ映画がamazon prime videoでプライム特典になっていたので見たら、とんでもない映画だった。
「吉原炎上」
明治の終わりに燃え落ちるまで東京に実在したらしい花街で、借金のカタに売られて女郎になった女たちの怒りや悲しみや純情が乱れ飛ぶ物語。
最後まで気高い名取裕子を、最初からあばずれのかたせ梨乃が「あんたは吉原の嘘で練り上げられたお人形さ。あんたに淫売のほんとのほんとなんてわかってたまるかってんだ」とこき下ろす。
大げさでクサいセリフだらけだし、いろんなシーンでいろんなところから撒き散らされる血糊はどう見ても赤い絵の具を溶かした水なのに、映画自体の世界観と女優たちの体当たりの演技に飲み込まれて全然気にならない。
全員が重い業を背負い、存在を軽んじられて、血と汗と涙を流しながら生きている世界は、救いのない、淫靡でグロテスクな掃き溜めなのに、見終えた今心に残る、この清々しさや愛しさはなんなんだろう。
最初から最後まで、人間のエネルギーがぶっ放され続けていたからかな。映画って、俳優って、こんなにすごいものだったんだ。