ラウンジ③
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ラウンジのシステム
ラウンジは、ただボディメイクをするだけにとどまらず、ファッションやメイクなどを学んで、カッコよく可愛くなることを目標としている。そしてそれをお互い評価し合い、高め合うということがコンセプトになっている。また、「カッコよくなった」にも基準があり、それはルーブリックによって上の方に判断してもらう。ルーブリックは曖昧だったが、OKを出されれば一人前になるのだ。そしてその結果マスターという称号が与えられる。
マスターは当時、5人ほどの選ばれた人間だけだった。皆それぞれ昔は自信がなく、いわゆるダサい部類だったらしい。そこから磨きに磨き、マスターへと昇格した。というか、ラウンジ入会後はマスター5人のビフォーアフターをビデオで延々見せられるとこから始まる。
とにかく、このラウンジの人たちにとってマスターという称号は一つの到達点であったし、みんなそこを目指して頑張っていた。僕も当時マスターを目指す時期もあった。
たまにマスター達がOB訪問のようにラウンジに来ることがある(たまにというか、本当はわりといる)。その方々が入られたら、もう我々は席を譲るし、アドバイスを受ける。マスターたちがコーヒーを飲んでいる時に情報を頂く。たまに自分がマスターに近づけてるかを評価していただくこともある。そしてマスター達が去った後、残された僕らは口を揃えて言うのだ。
「カッコいいね……」
「ほんとに可愛い、はぁ、付き合ってみたい」
という具合に。ちなみに僕を勧誘したゆりこもマスターの1人であった。そこではマスターは芸能人のような扱いだった。マスターたちもその雰囲気反応を楽しんでいたと思う。
ラウンジのルール
ラウンジはお洒落なカフェをイメージした現代風トータルコーディネートジムである。レクチャーが無くとも空いている席に座りコーヒーを嗜むこともできるし、そこにいる人たちと交流することもできる。お菓子や食事の持ち込みもOK。わりと自由な空間。そんなラウンジにも、守らなきゃいけないルールはある。
それは、お洒落な食べ物・飲み物以外は持ち込まないこと。このお洒落の基準が非常に曖昧なのだ。最初に聞いたのは、マクドナルドはダメで、スタバはOK、あとはそれに準じてとのことだった。コカコーラはOK。トルティーヤはOK。ラーメンはダメ。そんな感じ。けどこれが難しくて、結局、上からダメと言われたらダメとなる。下手に攻めずにスタバ生活を続ければ良いのだが、マックが不遇だった。ホットアップルパイやチョコパイとか悪くないと思うけどだめなんか。けどダメ。
ここまで書いていて思うことは、ある程度の基準は他者評価であり、他者評価によって自信をつけるのがコンセプトなのだ。見栄えが大事。
だからか、中身が伴わないことも多々あった。多々あっても、なんか良いよね!を上が言ったらそれでいい。自信のない僕らは、彼らに認められることを基準に生きていた。そして、自信のついた人たちは、ラウンジ基準で自信を保っていたから、みんな一様に同じに見えた。僕にはマスター5人、みんな同じに見えた。そこに個性は感じなかったし、話していて印象に残ったことは無かった。何かを隠して話してる風にしか感じなかったから。
でも、自分を変えるために始めたこと。多額の金額を払っているから、僕は学べることは学んだし、ボディメイクを必死にした(結果3ヶ月で10キロ痩せた)。
その先に行きついたのはマスターという称号では無かったけど。
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「ラウンジ④」