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片想いフラれる リバーシ
この記事を読む前に、
を読んでほしい。
〜23歳の3月13日〜
話は3月13日に遡る。23:00前、家に着き何気なくLINEを開くと、
あまね「野球好き?」
突然の連絡に驚きを隠せなかった。彼女の方から連絡が来るのなんて9ヶ月ぶりくらいなんじゃないかな。それに12月の壁ドン以来、なんだか連絡するのも気が引けたし。もう一度読み直す。
(当時の再現、本当は未読通知いつも0だけど)
既読をつけてガッツポーズ。
この文面、誘われる予感を感じたし、フったことをリセットしてくれている感じが最高に嬉しかった。ぶっちゃけ野球にさほど興味はないけど、デートはしたい。一生懸命最善の返答を考えた結果
オープン戦なら行ったことあるという、可もなく不可もない様子見の返事をしておいた。
ちなみに2回しか行ったことないけど。
次の返事は、案の定お誘いだった。新聞社から野球のチケットを2枚もらい、野球好きの人を誘ったが、断られたので暇そうな僕へ行き着いたとのこと。この際、僕が第一志望でなくてもいい。僕にとって誘われることが肝心なんだ。日時を聞くと、18日。空いている。さっそく返信。そして、ハッとした。女の子との予定を付けたばかりだった。けど、予定をいれた女の子にはおそらく立派な彼氏がいるんだろうから、僕程度がその日に会わなくてもいいじゃないか。でも、きちんと別日で罪滅ぼしをしよう。最悪な男なのは承知している。だが、貴重な方へ行かせてくれ。僕は、意外と、あまねちゃんを引きずっているんだ。ここまでが誘われるまで。前フリが長くなってしまった。
〜24歳の3月18日当日〜
11:30に外苑前駅で待ち合わせ。
15分前には着いてゆっくり紅茶を飲みながら待つ。この間に選手名鑑を眺める。とりあえずヤクルトの山田哲人選手を覚えておく。なんと、僕はおろか、あまねちゃんもまったく野球に興味がない。彼女の行く理由は、一種の社会見学だった。こんな不安な野球見学はあるだろうか。
さて、約束の時間に彼女から連絡が来る。電話に出ると、「右を向いて」との指示。振り返ると、そこにいた。
いや、その距離なら話しかけろよ!という場面だけど、そのやりとりが、僕たちの空白の3ヶ月を埋めるにちょうど良かった。
流れに任せてまずコンビニへ。近くのセブンが混んでいるので、ちょっと遠いファミマで飲み物とお菓子を少々。その道中の会話も中々にフワッとしてた。怒っているかな、とか考えてたんだ。でも彼女、小さなことで笑う子だった。そこは前と変わらない。
神宮球場内ではつば九郎のストラップのガチャがやりたくて、100円を貸してと言ってきた。野球には興味無くとも、つば九郎は気に入ったようである。僕が、これ出たら良いね、と指差したものが本当に出てきて、2人で顔見合わせながら笑っていた。
ここまで幸せそうなワンシーンを重ねていたのだが、試合が始まると2人してわからない選手のプレーにひたすら目を凝らしていただけだった。さして会話が盛り上がることもなく、野球がそれほど好きでないので、なかなか淡白に終わったと思う。ヤクルトが勝っても、お互い、「あ、勝ったんだー。」程度だったし、その後のトークショーや写真撮影、サイン会は全てスルーして球場を後にしていた。
心に残ったことと言えば、たしか始球式で投げたアイドルが、「SAGEMON GIRLS」というグループの子で、ウグイス嬢のアナウンスが「さげまんガールズ」と聞こえたことかな。ちなみにアナウンスの直後、周りの観客も「さげまん?!」とざわついていた。
そんなこんなで16:00、お互いお昼を食べていなかったので、
僕「何か食べない?」
と尋ねると、二つ返事でOKをもらった。そこで、向こうも察しが良く。
あ「しょうがないなぁ。私が行きたいとこまでの道のりを調べてあげよう。」
とグーグルマップを出してくれる。2人で東京ミッドタウンへ歩いた。とにかく歩いた。途中の神社でお参りをしたり、撮影したりしながら、17:00ミッドタウン着。ウロウロまわりながら2人で親子丼のお店へ。親子丼は控えめに言って美味しかった。そこから、またミッドタウンの散策へ入る。途中であまねちゃんがカフェの看板を頻繁に見るので、
僕「お茶しようか?」
と、問いかけたところ、
あ「いいよ!」
とのこと。なんだか、ここまでサクサク返答もらえるのが嬉しかった。ガラス張りのカフェでこちらはカフェモカとキャラメルタルト、あまねちゃんは何かのジュース(何だったかは忘れた)とベリータルト。カフェモカをラージで頼んだら、お茶碗にカフェモカが入って出てきた。
しかも大きい。ティーボウルというものを知らなかったので、茶道のあの入れ物を思い出した。2回ほど回してから飲むかと思った。
20:00過ぎ、翌日のことを考えて店を出る。2人で駅へ向かう。
僕「また誘ってよ。」
あ「えーー。もういいよ。今までありがとう、また一年後ね。」
僕「切ない!じゃあこっちから連絡する。」
あ「えぇぇ。でも、土曜だったら飲めるよ。」
僕「誘う。」
あ「まって。こっち見ないで!前向いてて!」
僕「なんやそれ」
前を向いていると、彼女が何か僕のカバンへ細工する。
僕「あ、これくれるんだ。」
カバンにはあまねちゃんが当てたつば九郎のストラップが付いていた。今日の思い出。
電車が来たので別れる。2人とも行き先は逆。それぞれの土地へ帰った。
家に帰ってからラインを送ると、また前みたいにグダグダとラインが続いた。なんだかんだでベッドに入ったのは24:00。
つば九郎を置いて眺めた。
明日はもっと楽しくなるよね、つば九郎?
へけっっ!!
そんなやりとりを妄想していた。
あの時のこと、でもほんとは意識していたのかな。だとしたら、そういうのを言い出せない痒さって、なんだか奥ゆかしくて素敵だよね。それとも僕が気にしすぎなんだろうかな。
前向きな悩みを抱いて寝た。
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「街コンに参加した男」
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