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23歳の婚活バー

〜23歳の12月中旬にかけて〜


 クリスマスになれば、好きだったあまねちゃんは他の男とデートに行く。そんな現実に押しつぶされないように。12月はナンパスポットへ行っては声かけの練習をした。

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 そして、イルミネーションを見ては凹んだ。

 そもそも、まだこの当時はなかなか声かけもできず、話しても会話が続かないことも多かったため、女の子と確実に話せる場が必要だった。かと言ってキャバなどのお店ではお話を合わせてもらうので自分のためにならない。そこで、ナンパ終わりには近くの「婚活バー」に出かけ、「一般女性」と話して帰ることを日課としていた。

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 婚活バーではさまざまな女性と話した。会話がもたないことも多々あったが、15〜30分で席移動をするシステムに救われ、切り替えて話すことができた。また、短時間席移動のため、連絡先交換は多くすることができた。

 しかし、この連絡先交換、翌日には返事が返ってこないことが大半でそのまま使わない連絡先となることが多かった。(余談だが、この現象を電話番号が死ぬ、という言い方で死番とも言う。)

 初めのうちこそ、女の子の返信が無いのは、女の子に見る目がないから、僕の魅力に気づいていないから、と他人のせいにすることが多かった。いつかは気が合う、(そして綺麗な)女の子と出会えるはずだと心の底から信じていた。

 ただ、何度も死番を繰り返すうち、自分に悪い点があるのだとわかってきた。婚活バーを通して、自分の非を認めて、磨こうとする姿勢を得ることができたのだ。


パスタ女との出会い


 当時よく行った婚活バーの値段について。男性が一時間2000〜5000円ほど、対して女性はその1/10くらいの料金(場合によってはタダ)というため、男性に比べ女性の方は軽い気持ちで参加する人が多かった。女性に入場料が発生する場所であれば、女性側の本気度も(ついでに年齢層も)上がっていくのに対し、タダ同然の場所では食事目当てに来る女性もかなりいた。ひどい時には「今は話しかけないでください」と先手を打たれ、食事風景を眺めるだけなんていうこともあった。こんなとき、高額な値段を払っている身としては溜まったものではない。こちらは出会いに来てるのだから。

 だけど、それはまだまだ良い方で。中には、かなり酷い女性とマッチしたこともあった。

 もう彼女の名前も忘れ、顔もあやふやだが。はっきり覚えているのは、かなり太めな方だったことと、既に彼女のテーブルの上には大量のご飯が展開されていたこと、だった。

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 席移動で、僕が彼女の前に座ることに。

 座るやいなや、いきなり。

女「あなたモテないでしょ?」

 と辛辣な一言を浴びせられる。まぁ、その通りなのだが、この時点でもう店を出たくなった。

 しかし、入店間もなくでもあったので、彼女と会話することに。

女「君みたいな モテないくん はね、きっとここで色々連絡先交換して、誰からも返ってこないんだよね。でもね、私のお姉ちゃんみたいなモテる人はね、、、、」

 地獄のような説教タイムだった。

 お互い名乗ってすらいないのに、なぜこんな会話が展開されるのか全く意味が分からなかった。

 ただ、こちらも、驚きながらも、頭を下げながら「ハイハイ」と相槌を打っていた。非モテはとにかく弱い。


 説教中も、お腹がすいた彼女はペペロンチーノをかき込んだ。

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 かき込みながらも、説教された。

 口から唐辛子が飛んでくるんじゃないか、とかそのことが気になってしょうがなかった。


 そして、僕が彼女に綺麗な同調と相槌を打った後、彼女は満足した。

女「あなた、なかなか物分かりいいね。どうする?」

 そう言うと、彼女はスマホを用意した。

僕「やめときます。」

 ハッキリ言えた。あまりにも後味が悪いので、これで退店することにした。怒りを通り越して悲しくなった。


 そして、気づいた。

 僕も同じことしてるんじゃないかな。

 僕が相手のためになると思って、いつもおしゃべりしてたこと、自分語りをしてたこと。自分の話は相手にとって面白いと思い込んでたこと。実は少しでもあったんじゃないだろうか。

 そう思った瞬間、僕に対して周りが優しく接していたんじゃないかとか、合わせられて生きてきたんじゃないかとか思うようになった。


 パスタ女は、その強烈な個性ゆえに、僕にしっかり学びと爪痕を残したのだった。


次回記事↓

非モテ、クリぼっちを阻止する

 




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