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フラれたことしかない男05 はじめてのナンパ
当時の恋愛奮闘日記を抜粋して編集してます。
〜23歳の10月某日〜
とにかくやることのない1日であった。だからと言ってここ最近は引きこもるわけにはいかない。こういう日は最近ハマったダーツをするに限る。
とはいうものの、グダグダと1日を過ごし気がつくと15:00を回っていた。これ以上腐ってはいけない。ユニクロのデニムを履いてパーカー、ジャケットのラフな格好で外出をする。休日のスタイルだ。
17:00すぎ都心を散策する。特にやることもない。ショッピングモールに入り、アウターを見る。途中ベンチコートに目を引かれたが、本格的な寒さが来るまでは自分はそういうものを買わない派だ。結局最上階まで上がって下るだけの不毛なことをしていた。
時間的にダーツバーも開いていると見えた。近くのダーツバーへ行く。
バーへ着くなり烏龍茶を頼み、30分ほどアップ(調整)をする。本格的に始めて2~3ヶ月ほどだが、上手くなった実感がない。はじめこそ成長は感じたが、ここ1ヶ月は停滞である。
そんな中、となりの席に1人の女性客が入る。身長は150ほどで小柄、髪は茶色のショート。20代前半だろうか。意識はしたが、あまり気にしないようにする。気にしないようにしても、内心気になる。当然のように自分のプレイも雑に、そして下手になる。まぁ、下手くそなくせによそ見しながらやってるんだから仕方ない。
腹をくくって声をかけた。
きっかけは、僕の隣に落ちたダーツを拾ってあげて、
僕「ダーツは結構やってるの?」
女「へ?!つい最近始めました!」
女の子の第一印象は、この子めちゃくちゃ元気な子だなというところ。
僕「そっか、じゃあさ、今僕のやってるこれ終わったら一緒にやろうよ。」
女「ぜひお願いします!」
やりとりが終わって一安心。そもそも女性への声かけなんて初めてかな?レベルで緊張する。とにかく心臓がバクバクしている。とりあえず今やっている自分のゲームを終わらせよう。心拍数のせいか、残りのラウンドはブル(真ん中)の無いひどいものだった。ダサい終わり方をしてから、女の子を改めて勝負に誘う。
幸いなことに、ダーツをしてみると本当にその子は初心者の様子だった。どうやら前日にダーツを褒められ、今日から本格的に始めたという。しかし、一夜明けたこの日はほとんどアタック(的に当たらず台本体にぶつかること)を繰り返しており、隣の僕に矢を拾われる始末だった。
女「ふぇえ~。当たらな~い!」
ふぇえ〜⁈が自然に出るなんて。なんだか見てて愉快な人だった。1人でも楽しめるタイプなんじゃないだろうか。とりあえず、先輩の受け売りを教える。なんとなくコツをつかませようとするが、自分が身についていないのに教えるのは難しい。それを身に染みて実感した。おそらく、小柄な女性なので普通に投げてもダメなのだろう。
僕「実は先輩がダーツのプロをやっていてさ。ちょっとフォーム撮るから投げてみて。あとで先輩に送って改善点教えてもらうよ。」
女「お願いします」
3本投げたところを撮影する。その間も女の子の悲鳴が店内へ響く。劇団員なのかな。
僕「これ見て、フォロースルーがしっかりしてないといけないんじゃないかな」
知ったような口をききながらiPodの動画フォルダを開き、画面を見せる(この頃のヒトシはまだガラケーで、LINEも動画撮影もiPod touchを使っていたのだ!20代にしては当時でも珍しい)。
女の子が画面を覗きに横に来たタイミングで、
僕「これ送るよ。LINEおしえて。」
女「うん。」
と、すんなりLINE交換できた。プロの先輩に感謝。だしに使ってごめんなさい。そこから少し雑談。ちよちゃん(仮)。美容関係の歳上女性だった。とても年上には見えない。大学生かと思っていたので驚いた。
聞くと、
・ダーツバーに一人で来たのも始めてで、緊張していた。
・すぐに帰ろうかと思ったが、声をかけてくれたことが嬉しかった。
とのことだった。今日は声をかけるタイミングが良かった。
少し話し、20:00前になったところで
僕「ご飯とか食べた?」
女「ううん。」
僕「軽く食べていこうよ。」
女「良いよ!」
と食事に行くことに。ダーツバーでナンパという卑怯な手段なものの、人生初のナンパ連れ出しになった。この時、既に舞い上がっていたと思う。近くのデニーズに入り、会話をした。彼氏はおらず。趣味も多く色々なことをしたいらしい。
気になる展示会があったので、12月の初めに美術館に行こうと約束をした。
21:00、店を出て解散した。
その後もどうにか粘ろうと考えていたが、向こうが帰ると言ったらしょうがない。僕は押しの弱い紳士である。
まぁ、12月に約束もあるし、いいかな、程度に考えていた。
ただ、後日談を言うと、この美術館の約束はダメになる。それでも、初対面の人に声をかけて仲良くなるという経験は大きかった。当時頻繁に通っていたキャバクラやガールズバーに行くよりかは、よっぽど収穫の多い1日になったのだった。
【後日談】
ちよちゃんとは頻繁にダーツをしに行く仲になり、この後も一年ほどはダーツの練習に付き合ってもらった。はじめての声かけは、声が震えながらも良き友に巡り会えるきっかけとなったのだった。
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