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ラウンジ①

 はじめに

 都心にある不思議なジム。トレーニングジムとは違い、フェイシャルメイク、ファッションも教えてくれるトータルコーディネートジム。通称、ラウンジ。聞こえはいいが、そこは画一的な人間を目指すある種の宗教じみたところであった。

 これは僕が、ラウンジに熱心に通い、崇拝傾倒し、その教えに迷走しながら、自分を取り戻す実話。ラウンジの異様さを回想しながら綴ろうと思う。


 入会

 まず入会の経緯。以前「恋愛奮闘記」にも書いたのだが、やり方がこすい。

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 当時、僕には彼女がほしい一心で寝ても覚めてもマッチングアプリをいじる時期があった。その執着はすごいもので、LINEの通知が来るかソワソワ待つ人のように、自分にいいねをしてくれる人がいないかを暇さえあれば常にアプリを起動して見ていた。ちなみに僕は昔、好きな子のメールのやりとり中はひどく新着メール問い合わせ中をしていたタチだ。古い話ですまない。


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 そして、新着メール問い合わせする人にはだいたいメールは来ない。同じように、寝ても覚めても、僕の元にくるいいねは全くなく。僕が毎日誰かに100いいねをしても返ってきてマッチすることが珍しく、仮にマッチしても、会話が続くこともなく、あとは謎の外国人ゲイか、話が噛み合わない業者の人間がメッセージを送ってくるのみだった。悔しいが、アプリには5万以上課金したが、何にも成果が無かった。こんなことある?ってくらい僕はアプリに向かない男だった。

 だから、どんなにメッセージが続かないとしても、いいねがくることは僕にとって至高の出来事だったし、業者と判明するまでは女の子のメッセージが返ってくるまでの時間は仕事のモチベーションにも繋がっていた。


 こんな悲しい男に転機がくる。それはゆりこと名乗る女性とマッチしたことだった。ゆりこは可愛い女性だった。例えると、ヨーダ多部未華子を足して割る2した感じ。

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 当時の僕からしたら美女。手の届くくらいの美女とか考えてたと思う。もう僕自身も、色々舐めてる。

 結果的に言うと、ゆりこはマッチングアプリに潜む勧誘者の1人だった。そうとも知らない僕は、ゆりこを単に恋愛に積極的な人だと思いながら、二言目のカフェ行かない?にまんまと釣られてしまうのだった。僕にとってアプリでのマッチング自体珍しいし、女の子とメッセージ出来るだけでも舞い上がる。課金もしたけど出会えない。そんな人が、二言目にカフェ行かない?なんて言われるんだから、もう胡散臭さぷんぷんなわけだし普通は疑う。けど、それ以上に切羽詰まってる僕はとにかくなんでも進展が欲しかったし、女の子と話すだけでも貴重なんだ(なぜならキャバクラで女の子と話す練習をするタイプなので)。

 そんなこんなでホイホイゆりこに釣られ連れられ、気がつくと不思議なジムに連れてこられた。

 案内されたジムは、ジムというよりオシャレなリビングに近い作りだった。

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 観葉植物の近くにソファ席。そこに座らされ、代表者から「ラウンジ」と呼ばれるそのジムの説明を聞く。ゆりこは近くでうんうん頷いて聞いている。もうこの時点で胡散臭い。アプリでデートの約束をしたはずが、知らんリビングで年会費15万円のラウンジの会員登録の話を聞いてるんだから。

 リビングの奥にはトレーニングブースがあり、そこでボディメイクをするのだろう。ジム要素はここか。そして、またその奥にはホワイトボードがあるセッションブース。ここでは講義でも開かれるのか?そして、化粧品が並んだ洗面所。ここではメイクを学べるらしい。

 胡散臭いのだが、なんか楽しそう。いろんな人と関わるキッカケになるのなら。。自分を変えられるのなら、、そういう思いに流され、僕はこのラウンジに入会してしまうのだった。

 これがラウンジ入会までの話だった。

 入会手続きをスマホで済ませて、代表者と握手。

「君、気に入ったよ。私は気に入った人しか紹介しないし、本気で向き合わない。これからもよろしく」

 なんか知らんが代表者カッコいいとか思ってた。すぐに初回のレクチャーの予約を済ませて、この日は解散になった。

 ゆりこは、これからもよろしく、と言ってくれた。まんまと釣られたが、ゆりこと話せるのは悪くなかった。


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ラウンジ②

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