さとみちゃんとアップルパイ

〜23歳の3月8日〜

　ひさびさに気分の良かった日。ナンパはしてないんだけどね。この日は女の子と銀座でアップルパイ。相手はなんと、さとみちゃん。1月の食事会以来である。

　お互いの仕事後を考慮して待ち合わせを18:00にしていた。が、この日さとみちゃんの同期が突如休み、シフトを交代した関係で彼女は翌日も仕事に。

　翌日のことを考えてか、早めに会って早めに解散しようということになった。さとみちゃんのLINEのテンションも心なしか低め。まぁ忙しいんだろう。

　そして早めに解散という響きに少しショックを受けるが、仕方ない。そもそもこの日は雨だからな。天気予報もこれから雨が強くなるとのことで、賢明な判断として、16:30待ち合わせに切り替える。それまでにできる仕事はちゃっちゃと済ませる。

　16:30

　強風の中、東急プラザで待ち合わせ。さとみちゃんが先に一階のエレベーターの前で待っていた。こちらは、あえて目的のアップルパイの前を横切ってからのさとみちゃん。一度通り過ぎた店に戻るという気不味さを感じながらも、2人でお店へイン。

　ウィンドウに映るアップルパイを見るなり彼女のテンションは爆上がり。本当にアップルパイ好きなんだなぁ。

さとみ「私ホントに好きで、好きで、え、どれにします？？わー！決められない！」

僕「じゃあ2人で好きなもの頼んで、分け合おうよ」

さとみ「それ！すごく嬉しいです！」

ということでパイを分け合う。

　一緒に頼んだショコラータ(チョコを溶かした飲み物)なども飲みあったり、なんだかとても充実していた。それにしても、この子、めちゃくちゃ質問を投げかけてくる。話がとても好きというだけある。好きなテレビ番組は対談番組、濃いよな。気がつけば18:30。時間はあっという間。

　18:30

　翌日のシフトを考慮して、本当ならここらへんで解散になっても良いのだが、ためしに「お店変える？」と打診してみた。彼女、二つ返事でオッケー。話が盛り上がったおかげだった。

　東急プラザから歩いてコリドー街へ。行きつけのダイニングバーへ。雨の強さによってはタクシーの予定だったが、道中雨が弱まっていたので歩いて向かう。

さとみ「雨弱まってよかった！」

僕「今日LINEしたとき、雨すごく心配してたでしょ？夜強くなるから大丈夫かな？とか。」

さとみ「そうです！よくわかりましたね！心配してたんですけど、この雨なら良かったです！ベストタイミングで嬉しい！」

LINEのテンション低かったのはこれもあるのか。

僕「ちなみに僕は晴れ男だから雨降ってても気にしないけどね。どうせ晴れるから笑」

さとみ「あ！ならヒトシさんのおかげ！ありがとう😊」

　なんだかフワフワした会話だった。そうこうしているうちにお店へ到着。中ではお酒を頼み、彼女は翌日を考えてソフトドリンク。あぁ、さとみちゃんが翌日休みだったら！と思うが、当の本人もいきなりの出勤でお酒を飲みたかったと悔しがっていたので仕方ない。こちらの頼んだお酒を少し分けてあげる。彼女も飲んでる姿を見ると「少しもらっていいですか？」と聞いてきてくるので、それがなんとも可愛らしかった。

　さとみちゃんの異性のタイプを聞いた。どうやら、自分以外の人と話していて、「あ、この人は人が好きなんだなぁ」って側から見てわかった瞬間、その人のことを好きになるらしい。なかなか難しい表現をする子だった。つまり人(やその繋がり)を大事にして、それが何気ない所作で伝わる人が好きなんだろう。

さとみ「ヒトシさんは、どういう人がタイプなんですか？」

　この質問には彼女を見ながら、美味しそうに食べる子が好きと答えておいた。まさに今の彼女。ここぞとばかりの歯痒いアピール。それでも、アップルパイであんなに感動して、ビールのおつまみでも感動する子は素直に可愛かった。気がつくと22:30。

　22:30

　当初の予定では19:00くらいで解散だったはずだった。彼女に時間について聞いてみたら

さとみ「もっと早く帰るつもりでしたけど、アップルパイ美味しくて、しかも楽しいから良いかなって思いました笑」

　まぁ、なんと嬉しいことを言ってくれるのでしょう！

　けれど、ここは紳士に、帰らせる。一緒の路線で帰るとのことでそこまで送る。途中日本酒の話をしていたので、次回は日本酒の原価バーに行こうと提案して別れる。ニコニコされると嬉しくていい一日だよな。もちろん、お互い好きとかではないけど、当初の予定を狂わせるほど盛り上がるって素敵だよね。そう思った。

　とてもいい雰囲気だったけど。

　彼女と会ったのはこれで最後となった。

次回記事↓

「ダーツ、そこに僕」