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片想い、フラれる 後編

前回までのあらすじ

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22歳8月 花火大会であまねちゃんに会う

        2月 あまねちゃんに再開。連絡先交換。

     進展できずウダウダする。

23歳6月 ガールズバーあいちゃんにハマる

  8月 風俗嬢ルナちゃんにも恋する

     ダーツバー、婚活バーに通う

  12月 お店に通い過ぎ、目を覚ます。

今ココ→ あまねちゃんと連絡をとる。

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 当時の日記を編集して載せている。

〜23歳の12月9日〜


 前日、ひさしぶりにあまねちゃんと連絡をとった。夏には三回ほどデートにいっていたが、それ以来まったく会っていなかった。なんだか間を空けなきゃいけないなってお互い感じる時があるよね。それのおかげか、ひさしぶりの連絡はお互いの暇つぶしになれたのだった。

 そして、話が盛り上がると誘いたくなるよね。打診をするとさっそくOK。目的は銀座のアップルパイだけど、その前にあまねちゃんの要望で皇居の紅葉を見ることに。ちょうど皇居が開いている期間だったのだ。迎えたこの日、ジャケットにセーターを通す。下の合わせはデニムにローファーの黒で統一して、上下ツートーンに抑える。最後に買ったばかりのカシミヤの赤マフを首に巻いた。アップルパイなので色的にはちょうどいいか。うるさすぎない格好であり、この時の精一杯のオシャレでもあった。


 13:00桜田門駅にて彼女と待ち合わせだったが、まさかの電車内で会ってしまう、待ち合わせ10分前。


あ「えぇ~。さいあくw」
僕「いや、ひさびさの開口一番がそれかよw」
あ「トイレ行けないじゃん。」
僕「行ってきなよ。僕も行くから。」


 気を遣わない相変わらずの調子だった。
皇居に着くと近づいて来た警備員に入り口へ誘導される。


あ「(警備員が)近づいて来たとき、ヒトシが何かやらかしたのかと思った。」
僕「こんな優しいのに?やると思う?」
あ「とうとうやらかしたか、って思ったよ。」
僕「どんだけ信頼してないんだよw」

 とまぁこんな感じに入り口へつく。ものすごい警備員の数。そしてボディとカバンの中身をチェックされる。僕の警備員が若い女性の方だったのだが、カバンにやましい物が入ってた気がして、焦る。この準備がダサいし気持ち悪いけど、それを入れることが必要な気がしてた。開封されたらとヒヤヒヤしたが、そこまで詮索はされなかった。当たり前か。後ろいっぱい並んでるし。


 門を抜けたところであまねちゃんから「よく抜けられたね。」とまたもキツイ冗談を受ける。基本こんな感じだ。それでも皇居内では落ち着いてゆっくり散歩できた。付き合ってもない女性に使う表現としては恥ずかしいけれど、2人で老後を迎えたかのような錯覚を起こした。


 1時間ほど散歩したのちに、その足のまま銀座へ向かった。ほんとによく歩く子だった。話しながらだったので意外に時間はかからなかったように感じたが、カフェに着く頃には15:00を回っていた。そこでまた30分以上並ぶ。その間も友人の恋愛話で盛り上がる。恋愛をしなさそうな友達2人組がそろって彼氏ができたのだとか。当のあまねちゃんは、我関せずのようだ。アップルパイは、控えめに言って美味しかった。ナンパをはじめた頃の余裕か、他の子ともう一度行っても良いかなっとか考えてた。あてはないけど。ただ、店の雰囲気も良いし、口コミで人気が出る理由もわかった。

 17:00、良い時間だったので店を出る。そこからゆっくり銀座の街並みを歩き回った。


 19:00頃、夕食の時刻。

 あまねちゃんに聞いてみる。


あ「おなかすいた。」
僕「じゃあなんか食べよう。お酒は大丈夫?」
あ「あったら飲むよ。」


 ということなので、銀座コリドー街の恵比寿ビールへ行った。そこはチェーンの中でもオススメの場所だった。


あ「ほんとに良いお店知ってるよね。」
僕「それは光栄です。」


 ちょっと嬉しかった。2人で飲み、食事をしながらあまねちゃんの恋愛に踏み込む。僕の中で、あまねちゃんはまだ好きだったのだ。だから踏み込んだのだけど。

 その時に聞かされた話は当時の僕にはつらかった。


 連絡を取っていなかった間、実は友人から何人か男性を紹介されていたこと。


 その中に一人気になる男性がいること。
 その特に気になる男性とはクリスマスイブに水族館に行くこと。


 これを聞いた時の自分はおそらく固まっていたんじゃないだろうか。なにかを返してはいたが、そのあとはクリスマスのことで頭がいっぱいだった。しかし、会話とは意外と途切れないもので、お酒の力もあるのか、気がつくと23:00を回っていた。そろそろお開きにする。二人で店を出て駅に向かった。この時もやっぱり、あまねちゃんの好きな男のことで頭がいっぱいだった。このままクリスマスを迎えたら、彼女はその人と付き合うだろう。

 だから、僕は思い切って言ったのだ。


僕「気づいてないよね。僕、君のこと好きだよ。」
あ「え?あははw」


 まずい、本気じゃないな。そこでさらに押す。彼女をビルの壁へ追いやって。そして壁ドンをした。人生初めての、壁ドン。

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僕「本気だよ。」


 ここで、あまねちゃんの手を握って、彼女の耳元に口を近づける。


僕「やっぱ彼のことが気になるんでしょ?ここで答えをぼかしたらあまねちゃん絶対彼と付き合うから。だからこそ、今イエスかノーで答えて。」


あ「え、、えと、、」


あまねちゃんが思考停止した。


僕「怖い?嫌?」


あ「、、、。」


僕「今答えて。イエス?ノー?」


 ほぼキスする形に近かったと思う。

 近くで座り込んでた酔っ払いがどこかへ去ったのを背中で感じた。

 5分くらい沈黙が続いた。

 その沈黙はとても長かった。そして、

あ「イエスかノーで言ったら、ノー。」


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 終わり!

 パッと手を離して解放してあげる。


僕「じゃ、帰ろ。駅まで送るよ。」


 あまねちゃんを都営改札へ送る。しきりに向こうがこちらの終電を気にしていたが、「大丈夫だから」と答え続けた。だってもう既に手遅れだし。



 なんとか近くの駅まで帰宅。そこから一人、HUBで飲んだ。

 一人で飲んでいると、変な外国人に絡まれたが、話す気分じゃなかったのですげなく追い返す。

 3:00、タクシーで帰る。何も語らないつもりだったが、運転手がそっと飴玉を差し出してきた。

 そして


タ「寒いよな。つらいよな。舐めときなよ。甘いよ。」


 この言葉で涙が出た。

 自宅までフラれたことをぽつぽつと話した。そこで気づいたのが意外にも自分がフラれてショックを受けていたということだった。再会まで時間こそ空いていたが、なんだかんだ、意外とあまねちゃんのこと気になってたんだなぁ。と気付かされた。

 飴玉を舐めながら、寂しい夜を過ごしたのだった。


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腐った休日

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